2007年12月19日(水)

E39 後期型ヘッドライト 光軸調整ロッド交換(非分解編) − ミッチョさんより

さて、今回が「E39 後期型ヘッドライト 光軸調整ロッド交換」シリーズ最後のレポートだ。分解せずに光軸ロッドを交換する方法だ。そんなことができるのか!?


【はじめに】

ユニットボディ切り取り編」に続き、穴あけ加工をせずにロッド交換に成功したのでレポートをする。

はじめにお断りしておくが、手探りのような状態の作業となるので、内部構造を熟知しておく必要がある。たとえるなら、前編が「切開手術」に対して、今回の方法は「内視鏡手術」だろうか。
分解編」「ユニットボディ切り取り編」と合わせて見ていただきたい。

 

【作業方法】

1 光軸調整モーターの取り外し

はじめに光軸調整モーターを取り外す。方法は前編にあるとおりである。モーターを外すと、リフレクターユニットが前後左右に少し動くようになるので、狭くて難しいが、何とかロッドを定位置に持っていくことができる。

2 破損ロッドの交換

(1)左右調整ロッド(外側)の取り外し

これは、ロービームの後ろ側から見えるので、作業は比較的楽である。最初にロッドのキャッチ部分をトルクスドライバーで外す(写真1、2)。これを取らないと、破損ロッドの取り外しと、新しいロッドを入れるのに邪魔になる。


写真1 折れたロッド(外側)


写真2 キャッチを外したところ

次に調整ネジを回してロッド本体を抜き取る(写真3、4)。


写真3 ロッド本体の抜き取り


写真4 取り外したロッドとキャッチ部分

(2)左右調整ロッドの取り付け

隙間から新しいロッドを挿入し、定位置にあてがって調整ネジを回してねじ込む(写真5)。


写真5 アルミロッドを入れたところ

ライトを上下さかさまにしておくと重力が働くので定位置に入れやすい。このとき、リフレクターをうまく動かして、ロッドの先端を奥深く入れる隙間を作る必要がある。(言葉では表現しにくいが・・・)

次に取り外したキャッチを元に戻す。ただし、まだはめ込まないでおく。はめ込んでしまうと、もう1本のロッド交換をする際に、リフレクターの動きが制限されてしまう。

(3)上下調整ロッド(内側)の取り外し

こちらは、ほとんど見えない位置にあるので難易度が高い。スモール(イカリング)バルブの開口部からブレードが長くて(80mm以上)細いT-15トルクスドライバー(T-10を使用しているロットもあり)で、キャッチを外す(写真6)。


写真6 上下調整のキャッチを外すところ

イカリング用の光ファイバーが邪魔でよく見えないが、外す方は比較的楽にできる。

次に(1)と同じように、ロッド本体を抜き取る。

(4)上下調整ロッドの取り付け

この作業が一番やりにくい。リフレクターを最大限ずらし、ハイビームの開口部からロッドを中に入れる。次にロッドを定位置に持ってくるのだが、見えない位置なので手探りでの作業だ。しかも手が十分入らない位置なので、ライト本体を回転させて重力を利用したりしながら定位置に収める。ちょっとした「知恵の輪」状態である。見えない所での作業なので写真は無い。また、このノウハウは、言葉で表現することが難しい。「分解編」の内部写真を参考にしてほしい。

ロッドを定位置に収めたら、キャッチを取り付けるのだが、これがやりにくい。何度も試行錯誤した結果、キャッチを先にロッドの頭に差し込んで動かないようにするのがやりやすいことが分かった。写真7は、ユニットボディを切り取ってあるが、これを見えない位置で行う。


写真7 上下調整のキャッチ挿入

次にキャッチを回転させ、リフレクターの取り付け部分にあてがってネジ止めをする。これもとてもやりにくい作業だ。スモールバルブ開口部の小さな隙間から、光ファイバーケーブルをすり抜けてネジを定位置に差し込む。リフレクターを動かして、穴の位置をうまく合わせないと、ネジが入らない。何度もネジがボディ内に落ちる覚悟で行う。トルクスドライバーの先端に、ブチルゴムなどをくっ付け、ネジが脱落しないようにすると、比較的入れやすい。これも言葉での表現が難しい。

(5)左右方向のロッドをキャッチに差し込む

一番最後に左右方向のロッドをキャッチに差し込めば、作業は完了である(写真8)。


写真8 左右調整ロッドのはめ込み

これもユニットボディ切り取り時の写真だが、交換後は写真9、10のようなイメージとなる。


写真9 取り付け完了後のイメージ1


写真10 取り付け完了後のイメージ2

後は、取り外した部品を元に戻すだけだ。初めてやったときは、試行錯誤の連続で、片側のみで2時間以上もかかってしまった。作業中は、「分解できたら簡単だったのになぁ」と何度も思った。また、リフレクターユニットをガチャガチャ動かしていると、メッキ部分が傷だらけになる可能性があることも付け加えておく。

その後、集めたジャンクライトの修理や、依頼されたライトのロッド交換を何度も行ううちに、両方で2時間弱でできるようになった。このレポートには、できるだけ分かり易く書いたつもりだが、実際に行ってみないと分からないところが多々あると思う。これも、作業される方は自己責任で挑戦してほしい。

 

【おわりに】

この方法は、作業自体は難しいが、防水処理を全くしなくてよいという利点がある。以前、ミニオフを兼ね、隣の県から走って来てくださった方のライトを修理したが、半日ですぐ装着して帰ることができた。

今、研究用に購入したロッド折れライトが8個もリビングと倉庫に転がっている。新品ライトアッシーが購入できるくらいの投資を少しでも回収するため、近いうちにこれらを修理して売りに出す予定だ。

また、ロッド折れでお困りの方は、この方法での修理をお受けすることも可能なので、掲示板経由でご連絡をいただきたい。

ライト修理が一段落したので、次は内部を改造して、E46後期やE60のようなバイキセノンライトを移植する計画が進行中である。どこまでもオバカなわたし・・・。

最後に、ここまで追及する気になったのは、海平さんのレポートのおかげである。
この場をお借りして、海平さんに感謝の意を表したい。


これはかなり難しそうだ。もしも分解できるライトユニットなら素直に分解した方が良さそうだ。

末尾ではあるが、今回、非常に有用なレポートをいただいたミッチョさんに感謝する。



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