2007年12月15日(土)

E39 後期型ヘッドライト 光軸調整ロッド交換(分解編) − ミッチョさんより

今回はミッチョさんよりE39後期型ヘッドライトの光軸調整ロッド交換のレポートをいただいたので紹介しよう。


【はじめに】

E39ヘッドライトの光軸調整ロッドの主要パーツはプラスチック製で、5年程度で必ず折れる。光軸調整ができなくなると車検にも通らないし、何より走行でライトがグラグラしてしまっては安全面でも問題がある。

前期型ライトはレンズカバーが取り外せる構造で、光軸調整ロッドが折れても交換が可能だ。ディーラーで部品も2,000円程度で手に入る。しかし、後期型ライト(俗に言う「イカリング」)は密閉式で分解不可のため、補修部品もなくアッシー交換となる。これがキセノンライトだと片方で約10万円の出費となり、後期型E39オーナーの悩みの種となっている。今まで何度もネットでも話題になっている。

このサイトでも、以前にhiro-4さんがロッド補修の記事を投稿している。このロッドは、細くなった一番弱い部分が折れやすいのはあたりまえだが、全体が劣化しているため、ベース部分が砕けることもある(写真1)。こうなると部分補修は困難だ。


写真1 砕けたロッド

私の車も後期型ライトに交換してあり、やはり5年ほど経過したところで、先日折れていることに気がついた。何とか根本的に部品交換できないか、ネットで情報を集めても、日本のサイトではほとんど有効な情報は得られなかった。

前置きが長くなるが、今回、光軸調整ロッドのリペアパーツが入手でき、交換に成功したのでレポートする。

 

リペアパーツ入手までの経緯】

海外のサイトを検索していると、アメリカとイギリスの部品販売店で、補修用光軸ロッドを販売しているのを見つけた。

Odometer Gears LTD
こちらのアメリカのサイトでは、プラスチック製で片側で85ドル。両側だと2万円弱くらいか。
英語だが、交換方法のPDFファイルもダウンロード可能だ。

CA Automotive Technologies
こちらのイギリスのサイトでは、アルミ製で片側37ポンド。両側で18,000円弱となる。

しかし、どちらも日本への発送に対応しているとの記述はない。英語を駆使してやり取りする必要があるし、送料を考えると結構な金額となる。すんなりと購入できればまだよいが、トラブルがあると、私の英語力では対応する自信もない。

ためらっていたところ、海平さんという方が、イギリスからこのロッドを苦労して輸入されたという情報を得た。

海平さんのHPによると、送料が19ポンド(約4,500円、高っ!!)で、総額、約23,000円ほどかかったようである。交換方法も詳細にレポートされている。このレポートには、アルミ製光軸調整ロッドの外箱に「BMW大燈調整桿」というシールが張られていることが述べられている。イギリスの会社から取り寄せたロッドは、漢字圏の国で作られたということである。

この情報を元に、もっと安く入手できないか調べたところ、どうやら製造元は台湾の会社であるらしいことを突き止めた。

ここでは4,000元(16,000円くらい?)とある。しかし、言葉が全く分からないので、ますます輸入は困難である。

いろいろ調べた結果、日本人がいる台湾の自動車部品会社に依頼をし、イギリスから輸入するより安価に輸入できる目処が立った。

早速、4セット(ライト8個分)のロッドを発注したところ、翌日には仕入れをしてくださり、1週間後には自宅に品物が届いた(写真2)。アルミの削り出しで作られているようで、想像していたよりずっしりとして、頑丈そうな部品である。使用箇所から考えても少々オーバークオリティといっていいくらいのものだ。間違いなく車の寿命が先にきそうだ。


写真2 アルミ製ロッド

 

【ライトの取り外し】

1 ライト裏のコネクターを抜く

コネクターは、ロービーム、ハイビーム、スモール、ウインカー、光軸調整モーターの5個だ。

2 固定ボルトを外し、ライトアッシーを引き抜く

8mmのボルト(写真3)をライト上から取り外し、ラジエター側から前方に抜き取る(写真4)。


写真3 ライトの取り外し1


写真4 ライトの取り外し2

ラジエター側から抜くのは、フェンダー側は写真5のような爪が勘合しているのからである。この爪は折れやすいので、注意が必要だ。


写真5 フェンダー側の勘合

取り付けは逆の手順で行うが、ライトが定位置にすんなりと収まらない場合は、ライト下部の噛み合わせがうまくいっていないので、無理に押し込まないように注意する必要がある。

3 アンダートリムを取り外す

ライトを裏返し、2箇所の勘合をドライバーなどで外す(写真6)。


写真6 アンダートリムの取り外し1

ラジエター側は爪で固定(写真7)されているので、ドライバーなどで勘合を外して折らないように抜き取る。


写真7 アンダートリムの取り外し2

 

【ライトの分解】

1 分解の前提

ライトボディとレンズカバーは、非分解構造となっている。しかし、このシール材は弾性があって、熱を加えると柔らかくなり、黒はするが何とかライトカバーを外すことができる。交換作業全体で一番手間がかかるのは、ライトカバーを外すことである。分解できれば、内部のクリーニングができて、曇りもかなり解消できる。

しかし、後に14個のライトを調べたところ、シール材の違いにより加熱して分解できるものと分解できないものが存在することが判明した。オレンジウインカーライトは分解できるものが多いが、そうでないものもあった。また、ホワイトウインカーライトは、分解できないものが多いが分解できたものもあった。分解できないライトは、今回のレポート方法では交換ができない。その後、非分解での交換方法も開発できたので別にレポートする。

2 必要な工具等

3 分解方法

(1) 取り外し可能なパーツをすべて取り除く。(図1参照)


図1 ヘッドライト構成部品

下記の部品をすべて取り外す。

  • ヘッドライト上部のシール(図1の1)
  • レンズカバーを固定するトルクスネジ2本(T-10、図1には記載がない)
  • 防水カバー(図1の2、LOW・HIGHビームバルブの防水カバー)
  • バルブ類すべて(LOW、HIGH、ポジション、ウインカー)
  • 光軸調整モーター(図1の8 トルクスネジ3本を外し、右にスライドさせて勘合を外す)

分解後の写真だが、写真8のように先端の球がプラスチックパーツにかみ合っている。これは、ライトを3枚おろしにした後に、かみ合わせ部分を見ながら取り外しても良い。


写真8 光軸調整モーターの勘合の様子

(2) ライト本体を加熱する。

海平さんはヘ、アドライヤーでライトレンズの合わせ部分を直接加熱している。私も、以前セカンドカー・パッソのライトHID化の際にヒートガンで直接加熱したが、保持する手も熱くなるし、時間がかかるため夏は耐えられない。

先に紹介したPDFファイルの例では大型のオーブンで200°F(約90℃)で熱している。そんなオーブンは持っていないので、ダンボール箱にライトを入れて穴を開け、ヒートガンの先を差し込んで15分ほど350℃の温風を吹き込んで加熱した(写真9)。ヒートガンは温度調節もできるので便利である。あまり高温にすると、ボディまで溶けてしまうので注意が必要だ。温度計を差し込んでモニターすると間違いがない。


写真9 ライト加熱の様子

(3) レンズカバーを取り外す

手袋などをして火傷に注意しながら、カバーの合わせ部分にスクレーパーなどを差し込み、爪の勘合を外しならがレンズカバーを剥がす。ドライバーを使用してもよいが、幅の広いスクレーパーを使った方が、プラスチック部分破損の可能性が低くなる。ラジエター側から外側に剥がす方が、やりやすいようである。

スクレーパーを差し込んでも、シール材が硬い場合は加熱不足だ。無理に力を加えると、レンズカバーが割れるので注意しながら、慎重かつ大胆に引き剥がす。

(4) インナートリムを外す

イカリングがついているインナートリム?を外す。レンズカバーと一緒に足の部分がシール材で固定してあるだけだが、シール材が冷えている状態で引っ張ると足の部分が折れる。レンズカバーを一緒に外れてくるので、部分的に再加熱しながら外すのがコツだ(私は2箇所折ってしまった)。これで、ライトの「3枚おろし」完了だ(写真10)。


写真10 レンズカバーを外したところ

最後にレンズカバーを接着する際、シール材を再加熱して柔らかくし、そのまま押し込むという手も考えられるが、シリコンシーラントなどで接着する場合は、暖かいうちにシール材をできるだけきれいに取り除いておくとよい。

(5) ライトユニットを取り外す

光軸調整ロッドが2本とも折れている場合は、この段階でライトユニットが出てくる。ロッドが生きている場合は、強めに引っ張ればよい(これで必ず折れる)。ユニット下部のアース線を抜いてユニットを取り外す。(写真11)


写真11 リフレクターを取り外したところ

写真12、13は折れたロッドの様子である。


写真12 折れたロッド(左右調整用)


写真13 折れたロッド(上下調整用)

折れたロッドの頭がキャッチ部分に残っているので、取り除いておく。ロッド受けには抜け止めの爪があるので、この爪を折らないように注意が必要である(写真14)。ラジオペンチで折れたロッドの残骸をつまんで抜こうとしたら、ボロボロと崩れていった。なんと脆い材質だろうか。


写真14 ロッドのキャッチ部分

 

4 光軸調整ロッドの交換

(1) ロッドのベース部分を取り外す

プラ製ロッドを、背面の調整ネジを回して抜き取る。プラスドライバーではなく、写真15のように下の10mmのボルトをラチェットなどで回したほうが早いし、プラ部品の破損が防げる。写真は後日レポートするボディを切り取って交換したときの画像だ。ロッドとの位置関係が分かりやすいと思う。


写真15 ロッドの脱着方法

(2) 交換用ロッドを取り付ける

アルミロッドを、調整ネジを回して取り付ける。(写真16)


写真16 アルミロッドを取り付けたところ

5 ライトの組み立て

(1) リフレクター部の取り付け

アース線を接続し、ユニットの位置を合わせて、ロッドのキャッチ部分にロッドの先端を押し込む。「パチン」といって収まるはずである。取り付ける前に、ライトユニット内部をきれいにしておくとよい。ただし、リフレクター部分はこすったりするとメッキが剥がれてしまうので、ネルなどの柔らかい布で拭くか、手で水洗いするくらいにとどめておいたほうがよい。

(2) 光軸調整モーターを取り付ける

先にモーターを取り付けておいたほうが、ユニットがグラグラしないので取り付けておく。取り外しの逆の手順でモーターの先端を勘合させる。(ちょっとはめ込みにくい)

(3) インナートリムを装着する

イカリングの接合に注意しながら、インナートリムをはめ込む。

(4) レンズカバーの接合

接合部にシール材を適量充填し、内部にごみが入らないように注意してレンズカバーとボディを接着する。シール材は、普通のシリコンシーラントでもよいと思うが、今回はブラックの「POSシール」というのを使用した。充填は少なすぎると水の浸入が心配だし、多すぎるとはみ出して後が大変である。2個のトルクスネジだけでは不十分なので、幅広の強力な輪ゴムかストレッチシートなどで圧をかけておいた方がよい。一晩乾燥させれば完成だ。

 

【おわりに】

分解してロッド交換すると、内部の構造が良く分かるし内部のクリーニングもできる。しかし、分解できないライトの場合は、この方法は使えない。その際は、別のレポートを参考にされたい。なお、ご自分で作業される場合は、自己責任で行っていただきたい。

アルミ製光軸ロッドは小さな部品だが、台湾からの輸入なので送料が結構かかる。某掲示板で共同購入の募集をしたところ、大量の申し込みがあった。いかに皆さんが悩んでいるかが良く分かる。アルミロッド入手についての問い合わせは、DDさんの掲示板に書き込みをしていただきたい。


いかがだろうか? イカリングなE39の方には非常に有用な情報だろう。

末尾ではあるが、いつも詳しいレポートをいただいくミッチョさんに感謝する。でも、ミッチョさんってナニモノ?(笑) タダモノではないなぁ・・・


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