2023年2月18日(土)

DD2号 リアスタビリンクの調整 − 純正リアスタビリンクの改造

フロントのスタビリンクは、純正のスタビリンクを切断して、その間にパイプナットを入れることで長さを調整できるようにした。調査の結果、リアのスタビリンクも同じように改造できそうなので、ちょっとやってみよう。まずは写真1のようにリア側にウマをかけ、タイヤを外す。


写真1 リア側にウマをかけたところ

リアのスタビリンクを外すためには、写真2のようにT-30のトルクスを使ってボルトが供回りしないように固定しながらナットを緩める。上側のナットは16mm、下側のナットは18mm、締め付けトルクは両方とも65Nmだ。


写真2 ボルトを固定しているところ

写真3に外した左右のリアスタビリンクを示す。


写真3 リアスタビリンク

さて、DD2号は車高を下げているため、このリアスタビリンクを短くしなければならないが、どれぐらい短くしたらいいのだろうか? スタビリンクは、写真4の真ん中の矢印のところに取り付けられているはずで、スタビライザーとスウィングアームの間を接続するようになっている。


写真4 スウィングアーム

写真4の右の矢印がスウィングアームの支点、左の矢印がタイヤ側(作用点)である。そのため、例えば、タイヤ側が3cm下がったとすれば、スタビリンクの短縮はそれより小さくしなければならないはずである。スウィングアームの支点からタイヤ側(作用点)までの長さは、写真5のように、38cmぐらいだ。


写真5 スウィングアームの支点からタイヤ側までの長さ

一方、スウィングアームの支点からスタビリンク取り付け位置までの長さは、写真6のように15cmぐらいだ。


写真6 スウィングアームの支点からスタビリンク取り付け位置までの長さ

だから、例えばリアの車高を3cm下げたとすれば、スタビリンクの短縮量は

3.0 (cm) × ( 15 / 38 ) = 1.2 (cm)

となる。スタビリンクのロッドの長さは6.3cmだったので、少し調整代を入れて1.5cmだけロッドの中央を切断するようにしよう。そこで、写真7のように切断場所の印を付ける。


写真7 切断場所の印を付けたところ

そして、写真8のように印のところを正確に金鋸で切断する。


写真8 金鋸で切断しているところ

このようにして、3つの部分に切断したリアのスタビリンクを写真9に示す。あ〜あ、切っちゃったよ〜。


写真9 切断したところ

では、切断したスタビリンクの両方のロッド部分にネジ山を切ろう。まずは、L字型のボールジョイントのある方から。写真10のようにボールジョイント部分を万力に固定して、ロッド部分の先を少し細くするようにヤスリで削る。


写真10 ヤスリで削っているところ

おおよそ、写真11ぐらい削ればいいだろう。


写真11 ヤスリで削ったところ

そして、このロッドの先からダイスを使ってネジ山を切る。今回は、写真12のようなタップ・ダイスセットを購入して使った。


写真12 タップ・ダイスセット

M8×1.25のダイスを使って、写真13のようにオイルを付けながらねじ山を切っていく。


写真13 ネジ山を切っているところ

切断して残っているロッド自体が短いため、可能な限りネジ山を長く切ろう。

一方、L字型ではないストレート型のボールジョイントのほうは、そのまま万力に挟んだだけではネジ山を切っているときに大きなトルクがかかるので、たとえ万力でボールジョイント部を固定したとしても滑って回ってしまう可能性がある。そこで、直径約30mmのボールジョイントをきちんと挟み込むための治具を作ることにした。まず、写真14のように2×4の木材に34mmの穴を開ける。


写真14 穴を開けているところ

写真15に穴を開けた2×4材を示す。


写真15 穴を開けた2×4材

そして、写真16のように鋸で穴を開けた2×4材に切り目を入れていく。


写真16 切れ目を入れていること

2×4材に、写真17の赤線の部分4か所に切れ目を入れる。


写真17 切れ目の位置

そして、写真18のように2×4材の先端を切り落とす。


写真18 先端を切り落としているところ

これで、写真19のような二つの木材片ができたことになる。


写真19 出来上がった木材片

さらに、写真20のようにこのときに使った厚さ3mmのゴム板を5cm×3cmぐらいに切ったものを2つ用意する。


写真20 用意したゴム板

これらを写真21のように並べてボールジョイントを挟む。


写真21 ボールジョイントを挟む治具

具体的には、写真22のようにボールジョイントを挟む。


写真22 ボールジョイントを挟んだところ

すると、ゴムの摩擦と接触面積の大きさで、ネジ山を切るときに大きな回転トルクがかかっても、ボールジョイントが回ったりしない。写真23にこの治具を使ってボールジョイントを万力に固定したところを示す。


写真23 ボールジョイントを万力に固定したところ

この治具を使って固定した状態でネジ山を切っていく。こちらもロッド部分が短いので、可能な限り長くネジ山を切る。両方のロッドのネジ山を切ったら、写真24のように長さ30mmのM8の長ナットとM8の薄いナット2つを使って、スタビリンクを組み立てる。


写真24 スタビリンクを組み立てたところ

純正のスタビリンクのロッドの長さは6.3cmだったので、写真25のように1.2cm短くなるようし、ロッドの長さが5.1cmなるように調整して組み立てる。


写真25 調整したロッドの長さ

これで短くなったスタビリンクの出来上がりだ。そして、これを写真26のように車両に取り付ければいい。


写真26 車両に取り付けたところ

タイヤを取り付けてウマから車体を降ろした状態でリアのスタビライザーがどのようになっているか見てみると、写真27の赤矢印で示すスタビライザーがうまく水平になっているのがわかる。


写真27 スタビライザーの角度

リアスタビリンクの長さ調整後に走ってみると、特に小さな凸凹をうまく吸収して滑らかに走るようになったことに気づいた。タイヤの空気圧が低くなった感じと表現すればわかってもらえるだろうか。確かに乗り心地は改善している。ただし、大きな段差や凸凹については、スタビリンクの長さ調整前とそれほど変わらないように思う。



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