2021年8月29日(日)

プラスチック部品の修理 − medama1goさんより

前回 に引き続き、E34乗りのmedama1goさんより、マニアックな小ネタのレポート第2弾をいただいた。これも知っていると色んなところに応用できそうだ。


E34なみなさま、medama1goです。

車も旧くなるといろいろな部品が壊れてきますが、その中でも樹脂部品は良く壊れますよね。それでもまだ、ショートパーツなどで入手が容易なものならば良いのですが、エンジン回りの加飾部品などで生産中止とかだと困ります。そこで、こんな方法をご紹介してみようと思います。

これは535iに付いているスロットルのカバー。以前に割ってしまったものをちょっと塗装してみたのですが、割れ目がしっかり残ってしまっていますね。

以前にプラリペアを使ってみたのですが、素材の問題か今一つ付きが悪いように感じます。普通は、ひび割れを修理する時はパテを使うかと思うのですが、私はコレ。

アロンアルファです(爆 これを割れ目に沿って盛り付けるように塗っていきます。ただ、このままでは固まらないので、こいつを使います。

アルテコプライマー。アロンセッターとも言いますが、早い話がスーパー液です。これを直接液体がかからないよう、30cm〜40cm程離した所からサッと吹きかけます。

そのまま1〜2分放置すればしっかり硬化します。

これではいかにも接着した後が目立ちますので、これを#100〜#200ぐらいのペーパーで削っていきます。削る対象面にも因りますが、堅い木片などで当て木を使い、元の形を変えないように削っていきます。

こんな感じになるまで削りましょう。

目安として指で触って段差がなくなるくらいですかね。この時に取り切れない段差がある場合は、そこへ再度アロンアルファを盛り付けて硬化させ、研磨します。そこまで削ったら、プラサフを吹いて40分ほど乾燥させて#400くらいのペーパーで研ぎます。

こんな感じで均しきれなかった細かい窪みをプラサフで埋めるイメージです。そこまで出来たら、もう一度プラサフを吹きます。

この時に、普通はしっとりと表面が濡れるように吹くのですが、あえて遠めの距離からサッサッと、表面を荒らすように吹き付けていきます。20分ほど乾燥させたら、艶消し黒で塗っていきます。この時も遠めの距離からサッサッと。

あえて遠くから吹くことで塗料中の溶剤を飛ばし粘度を上げて、サッと素早く動かすことで、塗料の粒子同士がくっつかないようにします。で、その粒状の塗料の上に、次の塗料の粒を乗せて粒を育てていくような感じで塗装します。イメージとしては普通の塗装が雨が降って周りが濡れるのだとしたら、今回の塗装は雪がフワッと降って、それが降り積もっていくイメージ。普通の塗装ではやってはいけない部類というか、失敗塗装の分類に入る塗装ですが、これを繰り返すと、こういう肌になります。

いわゆるゆず肌とも違う、無塗装樹脂部品の様な感じの塗装肌です。砂目塗装とも言われ、スプレーガンに専用のノズルを付けて吹く方法もありますが、缶スプレーでも距離とスピードの調節で、この程度の仕上がりまでは持っていけます。

仕上がりの肌を補修前と比べるとこんな感じ。ホワイトバランスや倍率が違うのはご容赦ください。上が補修後、下が補修前

大体似たような感じが再現できたのではないかと思います。

応用としては、鏡面仕上げ部品のへこみをアロンアルファで埋めて、肌を調整してから塗装し水研ぎしてバフ掛け等で艶出しをするときれいに面を出すことができます。

今回のアロンアルファでの代用パテは、バンパーストリップなどをこすった時にも使えますし、普通のパテのように硬化するのを待たなくてもよいので、クイックリペアに重宝しています。


瞬間接着剤とアルテコプライマーでこんなことができるんだ! 割れたプラ部品の補修だけでなく、パテの代わりにも使えそうだ。末尾ではあるが、いつも有用なメンテレポートを送っていただくmedama1goさんに感謝する。



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