2012年10月31日(水)

リアゲートハーネスの修理 − やはり断線

以前より、E34ツーリング乗りのFanaticさんより「リアワイパーが動かなかったり、ライセンスランプが点灯しなかったりするんだけど・・・?」と相談を受けていた。この症状は、まさに配線の劣化による断線だろう。断線するのはいいのだが(良くないが・・・)、断線した配線同士だ接触してショートするのは問題である。そこで、先日、Fanatic号のリアゲートのハーネスを修理したのでレポートしよう。ちなみに、ディーラーでハーネスを注文すると、片側だけで37,000円ほどするらしい。両方で74,000円!? たかが配線のためにそんなにお金をかけられないので、「トランクハーネスの修理 − やはり断線」と同じ方法で配線を交換することにした。

写真1にFanatic号のリアゲートを示す。


写真1 Fanatic号のリアゲート

まずは、写真2のようにリアゲートを開ける。


写真2 リアゲートを開けたところ

すると、写真3の位置にネジが見えるので、これを外す。


写真3 ネジを外しているところ

今度は、リアのガラス部分を開ける。E34ツーリングはリアのガラス部分だけでも開けることができる。


写真4 リアのガラス部分を開けたところ

すると、写真4の赤矢印の位置にゴムキャップが見える。この2つのゴムキャップを外し、その下にあるネジを外す。すると、写真5の赤矢印で示したプラスチックのカバーを外すことができる。


写真5 プラスチックのカバーを外したところ

このプラスチックカバーは、一部が細くなっているため、折れないように注意して外そう。

さて、プラスチックカバーを外すと、写真6のようにリアゲートの付け根部分にハーネスが見えてくる。ちなみに、セダンはトランクの左側のヒンジにのみ配線が来ているが、ツーリングは両側に配線があるので、同様の交換作業を右側もやらないといけない。


写真6 リアゲートの付け根部分

写真6の赤矢印で示したものがハーネスである。この中に多くの配線が入っている。交換作業をしやすいようにゲートのヒンジについている配線カバーを取り外し、写真7のように、このハーネスを外に取り出す。


写真7 ハーネスを取り出したところ

このハーネスはリアゲートの開閉により折れ曲がるので、経年劣化により中の配線が切断してしまう。そこで、この中の配線の折れ曲がる部分を交換する。ハーネスは、黒いメッシュのチューブに覆われているので、写真8のようにニッパーやカッターで適当なところから剥いてしまう。


写真8 ニッパーでチューブを切断しているところ

チューブを剥く際には、中の配線を切らないように注意が必要である。DDは注意深くニッパーでチューブを一周切断した後、写真9のようにハサミでチューブを切り開いていった。


写真9 チューブを切り開いているところ

チューブを切り開くと、写真10のように、中から劣化した配線が出てくる。


写真10 劣化した配線

リアゲート左側の配線は被服が割れてはいるものの、断線しているものはなかった。ただ、ショートすると怖いので、この際、すべての配線を交換する。

交換の際には、主にリアゲートの開閉によって折れ曲がる部分を中心に、写真11のように配線をニッパーで切断し、切断した配線の長さに合わせて新しい配線をハンダ付けする。


写真11 配線を切断しているところ

配線を交換する際には、以下のことに注意すること。

  1. 配線交換後も全長が変わらないようにすること。
  2. 配線の太さは3種類ほどあるので、交換の際には同じぐらいの太さの配線を使うこと。できれば数色の配線を用意したほうがいい。
  3. ハンダ付けした部分は熱収縮チューブで絶縁保護すること。
  4. 配線を切断する部分を同じ場所にせず、少しずつずらしておくこと。
  5. 一気に配線を切断して交換しようとはせず、2〜3本ずつ交換作業すること。
  6. ボディを傷つけないように、養生テープを貼っておくこと。

ハンダ付けした部分はどうしても太くなってしまうため、上記4のように、太くなってしまう場所が一箇所に固まらないように、切断箇所を少しずつずらしておくといいだろう。このようにして交換した配線を写真12に示す。


写真12 配線を交換したところ

この配線は、写真13のようにハーネステープを巻いておこう。このテープはビニールテープのようにベタベタしないから便利だ。


写真13 ハーネステープを巻いたところ

最後に、このハーネスをリアゲートのヒンジ部分に押し込んで、プラスチックの配線カバーを取り付ければいい。DDは念のため、写真14のように配線カバーが外れないようにインシュロックで留めておいた。


写真14 インシュロックで配線カバーを留めたところ

リアゲートの右側についても、同様の配線交換作業をする。右側は、配線の被服が劣化して割れていただけではなく、配線そのものが3本ほど切断していた。リアワイパーが動作しなかったり、ライセンスランプが点灯しなかったりするのは、右側の配線が切断されていたためのようだ。

なお、DD号もFanatic号も95年式である。ということは、気候にもよるだろうが日常的に使われているほとんどのE34で、同じようにトランクやリアゲートの配線が劣化して大変なことになっていると思っていいだろう。あなたの愛車は大丈夫!?



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