2006年6月27日(火)

天井内張りの交換 − ミッチョさんより

今回は、ミッチョさんより天井内張の交換レポートをいただいたので紹介しよう。E39に乗り換えた今でもE34ネタを投稿するとは!


天井内張りの交換

以前からE34に限らず「天井の垂れ下がりを何とかしたい」という話をよく聞く。天井のボードはクロス張りであるが、このクロスは裏側に薄いスポンジが貼り付けてある。このスポンジが経年劣化でボロボロになり、ボードから剥がれてくるためにクロスが垂れ下がってくるのが原因である。クロスが少し浮いてくると、その後は重力で加速度的に垂れ下がりはじめ、頭に触れるまでになるとどうしようもなくなる。

以前に所有していた525、530(いずれも93年式)は天井の垂れがなかったが、91年製造のM5は見事に垂れが発生していて、リアシートに座ると頭に触れる状態であった。

ディーラーで聞いてみると、新品の天井は部品代が55,965円、工賃27,545円と合計で8万円オーバーだ。しかも、A・B・Cピラーカバーの爪が折れると(古いとよく折れる。実際折れた)その交換も加算するので、10万円を超えるだろうとのこと。

内装業者に張替えを依頼すると4万円くらいでできるそうだが、車を預けないといけない。天井交換は、リアガラスなどを外さなければならない車種もあるそうだが、E34はリアドアから取り出せる。

張替えをする自信がなかったし、部品を手に入れて自分で作業すれば金額は大きくは違わないので、新品に交換することにした。実際の交換作業は1年半前(2005年1月)に行ったのだが、リクエストがあったので思い出しながらレポートをする。

 

【部品調達】

※部品の価格はすべて2004年12月のディーラー価格で、現在は価格改定されているため、もう少し高いと思われる。

1 天井(ルーフライニング サンルーフ装備車用 P/N:5144 2235 254 55,965円 写真1)

M5の天井はすべて黒で統一されていた。黒の天井は国内に在庫がなく、本国発注となったため3週間ほど待たされた。

色、仕様、年式によってたくさんの種類がある。天井までレザー張りというものもあったようだ。私のM5には、赤外線式のキーレスが装備されていて、その受光部がサンルーフモーターカバーと、天井のルームミラーの上の部分の2箇所に取り付けられている。古い部品表には赤外線キーレス装備車用の天井もあったが、新しい部品表には載っていない。どうやら今は赤外線受光部の穴やミラー照明用の穴は、切り取ってつけることになっているようだ。


写真1 ドイツからやってきた天井

2 サンルーフモーターカバー(P/N:5144 2235 255 2,740円)

これは問題がなければそのまま流用すればよい。しかし、固定用の爪もプラスチックのため、折れて固定できない状態になっているのをよく見かける。実際、私のもガムテープで固定してあったし、クロスもボロボロだったので新品を発注した。これも黒は本国発注であった。

しかし、届いたカバーを見ると赤外線受光部の取り付け穴がない。ディーラーの発注ミスのようで、P/N 5144 2235 258が正しい部品のようだ。長く待たされるのが面倒なので穴を開けた。

3 クリップ類

これは古いものをそのまま流用するつもりで発注をしなかった。しかし、作業の途中で折れるものもあって、安いものでもあるので、これから作業される方は用意したほうがよいと思う。

(1) 天井の後端を支えるブラケット(P/N:5144 1957 623)とクリップ(P/N:5421 8195 800)各3個
 すんなりと外れれば再利用できるが、今回の作業では3個のうち2個がどうしても外れなかった。何とか再利用できたが、折れてしまったり、破壊しなければ取れない場合もあるので用意しておくとよい。

(2) サンルーフ開口部を固定するクリップ(P/N:5144 1938 868だと思う)
 このクリップは丁寧に外せば再利用できるが、私は16個のうち1個を折ってしまった。  

【天井の取り外し】

自分が行った手順で番号が振ってあるが、順序は特に気にしなくてもよいだろう。

1 サンルーフ開口部の固定クリップを外す

サンルーフをオープンし、サンルーフから身を乗り出して、写真2のような開口部周囲の固定クリップをドライバーなどでこじって外す。写真3でわかるように、前後に各5個、左右に各3個の、合計16個のクリップで固定されている。


写真2 サンルーフ開口部のクリップ


写真3 天井の裏側のようす

2 ルームライト・ミラー照明・サンルーフモーターカバーの取り外し

サンルーフモーターカバーはドライバーでこじって外し、サンルーフスイッチのコネクタを抜き取る。赤外線の受光部がある場合はこれも抜き取る。ルームライトやミラー照明も外しておく。

3 サンバイザーとキャッチ部品を外す

写真4・5(画像が残っていなかったのでE39のもので代用した。構造は同じである)のようにトルクスねじで固定してあるので、トルクスドライバー(T-15だったかな?)が必要だ。ミラー照明つきの車両はリードがつながっているので、これも外す。


写真4 サンバイザー取り付け部分(E39)


写真5 サンバイザーのキャッチ部分(E39)

4 A・B・Cピラーカバーを外す

ウエザーストリップをめくって、各ピラーカバーを引き抜く。天井が垂れているくらいだから、固定用の爪ももろくなっているので、慎重に外すことをお勧めする。爪の向きを考えると、上部から引き抜く方が破損の可能性が少ないと思われる。「E39 サスペンションキットの交換 リア編」でも述べたが、E39はドア内張りのクリップと同じようにクリップだけが交換できる構造で、小さなことだがD.I.Y派にはうれしい改良である。

写真6は左Cピラーカバーを取り除いた写真である。中央部に見える長方形の箱は、アンテナブースターだ。


写真6 左Cピラーの内部

5 アシストグリップの固定ねじを外す

アシストグリップは2本のプラスねじで固定されているので、ねじを隠すカバーを取ってねじのみを外す。写真7でわかるように、アシストグリップは天井の裏側から白い2個のプラグで仮留めのような感じで留めてあるので、先に取り除くときは紛失しないように気をつける必要がある。私は天井を車外に出してから取り外した。


写真7 アシストグリップの取り外し

余談だが、E34には写真8のようなアシストグリップ部分に装着する「純正グラストレー」(P/N:5116 2266 727、ねじ穴のキャップはP/N:5116 2267 193)が存在する。オプションパーツカタログにも記載はないが、部品表を元に本国から取り寄せたものだ。ハイスピードでコーナリングするとサングラスが飛び出しやすいという欠点はあるが、収納の少ないE34には便利な装備だと思う。


写真8 純正グラストレー

6 天井後端の固定部分を外す

天井の後端は3箇所のクリップで固定されている。わかりにくいが写真9が天井の固定用ブラケットを差し込むレール位置、写真10がクリップから外れずにルーフに残ってしまったブラケット、写真11がブラケットを固定するクリップ、写真12がルーフ後端の固定位置だ。


写真9 天井後端固定のしくみ1


写真10 天井後端固定のしくみ2


写真11 天井後端固定のしくみ3


写真12 天井後端固定部分の位置

固定のしくみは、ブラケット断面がT字となっていて、天井後端のレール状の金具にベース部分を差し込むことで、A・B・Cピラーカバーの爪のような形となる。それをクリップに差し込むことで固定されている。

この部分が簡単に外れればよいが、強力に噛み込んでいて中央部のみしか外れなかった。左右はブラケットがレールから外れてしまい、ルーフに残ってしまった。これをどうしても外すことができずに、天井を取り付ける際にレールをブラケットにスライドさせて取り付けた。予備が用意してあれば、破壊して取り付けなおすことができる。

7 天井を取り出す

以上で天井は外れるので車外に出す。事前にすべてのシートのヘッドレストを外しておき、フロントシートのシートバックを倒しておく。天井を車内空間で回転させ、リアドアの一番幅広い部分を通過させる。天井のボードが折れてしまわない程度にたわませることで車外に出すことができる。一人で悪戦苦闘していたので、写真を撮り忘れてしまった。

天井を車内に落とす際に、ルームミラーにぶつけると取れてしまうことがあるので気をつける必要がある。実は私はぶつけてしまい、ルームミラーを取り付けなおす手間が増えてしまった。

写真13は新旧の天井内張り、14は天井を取り外したサンルーフ部分の様子だ。


写真13 新旧の天井内張り


写真14 内張りを外した天井の様子

 

【部品の移植と組み付け】

1 ミラー照明取り付け部分の穴あけ

写真15はミラー照明部分を切り取っているところだ。切り取り部分にプレス跡があるのでカッターナイフで穴を開け、照明固定用の爪が当たる部部の金具を移植する。もちろんミラー照明がない車両は切り取る必要はない。


写真15 ミラー照明取り付け部分を切り取っているところ

2 赤外線受光部の穴あけ

写真16は赤外線受光部の取り付け部分を切り取って、移植しているところである。


写真16 赤外線受光部を取り付けているところ

3 アシストグリップのとりつけ

アシストグリップは、天井を車両に固定してから取り付けてもよいが、私は先に白いプラグで取り付けておいた。

4 固定用ブラケットとクリップの移植

サンルーフ開口部の16個のクリップと後端のブラケットを新しい天井に移植する。

5 天井の組み付け

取り外したときと逆の要領で車内に入れて組み付ける。私は後端のブラケットが外れなかったために車内でブラケットをレールに差し込んだために少々苦労したが、部品を用意しておけば簡単に固定できる。

写真17は交換作業完了後の写真だ。今回、サンルーフの内張りは交換していないので、日焼けによる色合いに違いが出ている。実際は写真ほどの違いは感じられなかった。新しい天井は気持ちがいい。


写真17 天井交換完了

【おわりに】

少々面倒な作業ではあるが、新品交換の場合は難易度は高くなく、一人で十分に作業が可能である。

クロスの張替えとなると、これにクロスを剥がして劣化したスポンジをきれいに取り除き、接着剤を塗布してクロスを張るという作業が加わる。1日で仕上げるのはちょっと・・・という気がする。

このレポートが、これから天井修理をされる方の参考になれば幸いである。1年半も前の作業を思い出しながら作成したので、思い違いがあるかもしれない。その際はご容赦願いたい。


いつものことながら、完璧なレポートだ。作業時にちゃんと写真を撮ってあったところをみると、さては出し惜しみしてたなぁ〜(笑)。

レポートにあったように、純正のメガネ入れ(グラストレー)があったとは驚きだ。DDもちょっと欲しいかも・・・(笑)。

末尾ではあるが、いつも詳しくわかりやすいレポートをいただいくミッチョさんに感謝する。



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