2006年6月20日(火)

E39 サスペンションキットの交換 リア編 − ミッチョさんより

E39 サスペンションキットの交換 フロント編 − ミッチョさん」に引き続き、リア編のレポートが届いたので紹介しよう。


【リアのサスペンション交換手順】

図1はリアサスペンションの構造図、図2はリアサスペンションの構成部品だ。


図1 リアサスペンション


図2 リアアクスル構成部品

整備書で確認した手順の概略はおおよそ次のとおりである。

(1) リアシートを取り外す。
(2) リアシェルフを取り外し、リアスピーカーを取り外す。
(3) ホイールハウスカバーを取り外す。
(4) アッパーマウントのナットを外す。
(5) アクスルキャリアからスプリングストラットを外す。

ブレーキキャリパーは外さなくてもよいみたいだし、フロントより簡単そうだと思って作業に取りかかった。

【実際の交換作業】

1 リアシートの取り外し

(1) シートの座面を持ち上げて外す(写真1)。


写真1 リアシート座面の取り外し

座面を取り外すのに工具は不要だ。E34は座面の下にバッテリー、ジェネラルモジュールなどが格納されているが、E39はガソリンタンクがある。フューエルポンプの交換もここで行える。

(2) ヘッドレストを引き抜き、背もたれを外す。

ヘッドレストは上に引き抜くだけだ。背もたれはドア側の下部にある2本のボルトを外し、上に持ち上げるだけで外すことができる。(写真2)


写真2 バックレストの取り外し

2 リアシェルフの取り外し

(1) ドアのウエザーストリップをめくり、Cピラーの上部を手前に引いて外す(写真3)。


写真3 Cピラーカバーの取り外し1

ルームライトのコネクタを外す(写真4)。


写真4 Cピラーカバーの取り外し2

電装系のコネクタは、E34と比べてどれも非常に小型になっている。また、E34のA、B、Cピラーカバーは固定用の爪が折れるとカバー自体の交換が必要だが、E39はドアの内張りと同じようにクリップのみの交換ができるようになっている。小さなことだが、D.I.Y派にはうれしい改良だ。

(2) リアシェルフのエアグリルを外す(写真5)。


写真5 リアシェルフのグリル取り外し

このグリルは空気の排出口で、写真6のように後ろの爪でリアシェルフの後端を固定する役割もある。


写真6 リアシェルフグリルの裏側

(3) センターヘッドレストの取り付けベース(写真7の@)を取り外す。


写真7 リアシェルフの取り外し

これを外さないと、リアシェルフを引き出すのに苦労する。

(4) 写真7のCのクリップを引き抜くと、リアシェルフを引き出すことができる(写真8)。


写真8 リアシェルフを外したところ

ウインドスクリーンが装着された車両の場合は、事前にトランク側から固定ねじを外してコネクタを抜いておく必要がある。写真9のように、リアシェルフ中央部分のインシュレーターに四角い切り取りがある。純正ナビゲーションのGPSアンテナは、この部分に装着されているようだ。社外ナビも、ここにアンテナを張り付けると、うまく隠すことができる。


写真9 純正GPSアンテナ取り付け部分

(5) スピーカーを取り外すと、アッパーマウントの取り付け部分と対面できる(写真10)。


写真10 アッパーマウント取り付け部分

写真11は取り外したスピーカーだ。独立したエンクロージャーボックス(密閉型)に取り付けられているのがわかる。


写真11 リアスピーカーBOX

3 ホイールハウスカバーの取り外し

写真12はカバーを取り外す前の様子だ。アッパーマウントを抜くのにカバーが邪魔になることが想像できる。


写真12 ショックとホイールハウスカバー

写真13が取り外したカバーで、写真14がカバーを取り外したあとのフェンダー内の様子だ。


写真13 取り外したホイールハウスカバー


写真14 ホイールハウスカバー取り外し後の様子

黒いホースは燃料給油口につながっていて、カバーを取り外してもショック周りのスペースはあまり広がらない。

4 スプリングストラットの取り外し

アッパーマウントの固定ナット3個を取り外し、ショック下部の固定ボルト(写真15)を抜き取ると、スプリングストラットがフリーとなる。


写真15 ショック下部の取り付け部分(右)

しかし、ホイールキャリアをバールなどで押し下げ、ありこれ向きを変えてみてもストラットが取り出せない。どうやら、コントロールアーム(写真15のショック左のアーム)を取り外す必要がありそうだ。これはリペアマニュアルには記載が無かった。

アームを取り外すことでようやくストラットが出てきた。コントロールアームを外せば、ホイールハウスカバーは外さなくても取り出せそうな気がする。写真16はBTSキットと純正Mスポの比較である。純正の方がほんの少し長いようだ。


写真16 ショックの比較

写真17はスプリングの比較である。BTSはH&R製で、線材が太く、巻き数も多い。


写真17 スプリングの比較

5 組み付け

(1) スプリングストラットを分解し、BTSのサポートキャリアとワッシャーを移植する。リアはスプリングコンプレッサーを使用しなくても分解・組み立てができる。
トップナットの締め付けトルク:27Nm

(2) バールなどでホイールキャリアを押し下げ、スプリングストラットをセットする。アッパーマウントを仮止めしてからショック下部のボルトをとめる。
アッパーマウント固定ナットの締め付けトルク:28Nm
ショック下部の固定ボルト締め付けトルク:127Nm(乾燥重量状態※で締め付ける)

※乾燥重量状態とは、「フル装備で車両を通常の動作状態にし、燃料を満タンにした状態」のことだ。通常はジャッキなどでサスを縮め、タイヤが接地している状態を再現して締め付ける。

(3) コントロールアームを取り付ける。
締め付けトルク:ボディ側110Nm ホイールキャリア側142Nm(乾燥重量状態※※で締め付ける)
※※乾燥重量状態で締め付けないと、アームのブッシュが常にねじれた状態となり、寿命が極端に短くなる。

(4) その他の取り外した部品を元に戻せば完了である。

【交換後の変化】

1 車高の変化

BTSと比べフロントは17mm、リアは10mmの車高アップとなった。これは、ノーマルサスより20mmダウンで、狙ったとおりの車高変化となった(あたりまえか)。わずか2cmだが、運転席に座っただけで変化がよくわかる。

2 乗り心地

動き始めてすぐにBTSよりもマイルドになったのが体感できる。フロント編でも述べたが、BTSは高速道路やワインディングロードでの安定感はすばらしいが、街中では少々ハードだ。

交換後にskoyamaさん主催の「奥飛騨オフ」に参加し、中央高速とワインディングロードを600kmほど走ったが、純正スポーツサスは程よいダンピングであると感じた。更にハイペースに走る場合には、少々物足りないかもしれないが、自分の走り方にはピッタリだと思う。

以前、E34 ノーマルサスの530で同じオフに参加した際、ややハイペースでワインディングロード走ったところ、妻が車酔いをしてしまったが、今回はそのようなことも全く無かった。

実は、Mスポのサスを購入する際に調べたところ、「Mスポーツバージョン」と「Mスポーツバージョン2」の2種類のショックが存在することがわかった。私が入手したのは「バージョン2」の方だ。ディーラーの部品部に問い合わせたが、その違いは不明だった。Mスポーツが発売された当初の評判は、「固い足で突き上げがある」と聞いたことがある。勝手な憶測だが、途中で少しマイルドなセッティングにしたのではないだろうか?

3 アライメント測定

走行した感じでアライメントに問題は感じなかったが、アライメント測定をしてみたところ、フロント・リアともにスポーツサスペンションの規定値にピッタリ収まっており、調整の必要も無かった。

「さすがはMテクサス」だ。今回のサス交換には大満足である。最後に、やっぱりサス交換は2人以上でワイワイ言いながらやりたいものである。


いかがだろうか? いつものようにきちんと作業内容を整理したレポートなので、実際に作業を考えている人には有用な情報だろう。

末尾ではあるが、いつも詳しく有用なレポートをいただいくミッチョさんに感謝する。


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