2021年3月6日(土)

フロントハブベアリングの交換 − medama1goさんより

今回は、medama1goさんより、E34のフロント側のハブベアリング交換のレポートをいただいたので紹介しよう。


E34な皆様、medama1goです。

my535iですが、1月前ぐらいから走行中に「ゴ〜ッ」というようなロードノイズとも何とも言えないような音が耳につくようになりまして、はて、なんじゃろな?と思っていたのですが、ある日、左コーナーで音が顕著に大きくなる、右コーナーで若干小さくなるといった現象に気が付きました。「これはアレだ。ハブベアリングだな。」という事でフロントのハブべリングを交換することにしました。

フロントのハブベアリングってこんな構造になっています。

出典

ネットから拾った画像ですが、この紫色の部分がブレーキディスクとホイールが付くところ。アウターレースとも言います。「内輪」と書いてある部分の青い方が外側、赤い方が内側になります。どちらもインナーレースとも言います。

さて作業ですが、まずはジャッキアップしてホイールを外します。

この後は順番はさほど重要ではないので、やりやすいところから進めていくと良いでしょう。ハブのセンターキャップをタガネなどで叩いてこじって外します。

センターに見えるのがハブナット。こいつは46mmのボックスレンチが必須です。しかもトルクが290Nmとアホみたいなトルクで締め付けてありますので、工具もそれなりの工具を用意しましょう。

今回用意した部品はコレ。

FAG製のハブベアリング。純正はSKF製ですが、BMWでも他車種ではFAGが純正で使われているものもあるので、今回は若干安かったこちらにしました。他に、ハブナットとハブキャップが必要です。

作業に戻って、ブレーキディスクを外しますので、キャリパーを外します。

スライドボルトには手を付けずに、ブラケットごとアッセンブリーで外すと後が楽です。キャリパーを外して6mm六角穴のボルトをとればブレーキディスクが外れます。ハブナットの回り止めに折り曲げてあるところを内側からタガネなどで叩いて戻し、46mmのレンチでハブナットを外すと、中のベアリングが見えてきます。

完全にベアリングが死んでいる場合は、手で引っ張れば簡単に抜けてきますが、まだ生きている場合は簡単には抜けませんので、ハブ軸の中へ14mmのロングソケットを突っ込み、ギアプーラをかけて引き抜きます。

抜けたところがこちら。

錆びのように見えるのは、汚れ切ったグリス。先端に見えるのは突っ込んだロングソケット、その奥の方、ハブ軸の根元にインナーレースが残っているのが見えます。このインナーレースを外すのですが、ドライバーなどで根元をこじれば簡単に抜けるのですが、周りにダストカバーがあって、このままではこじれません。そこで、

ダストカバーを外します。ハブ軸周りに10mmのボルトが3本ありますので、これを抜くとポロっとバックプレートごとカバーが外れます。
ここまで見えると簡単に取れます。

インナーレースを取り去って、ハブ軸をパーツクリーナーで清掃したところ。

本来ならばABSセンサーも外して作業するらしいのですが、特に干渉する事も無い為、そのままにしておきました。

バックプレートを戻してハブ軸に軽くマシン油を塗布。

後は軸が斜めにならないよう注意しながら、新品のハブを組付けます。この時に、外した古いハブナットを新品のベアリングインナーレースに当ててハンマーで叩くと無理なく挿入することができます。間違っても新品ハブの外縁を叩かないように。無理にアウターレースを叩くと、インナーレースが外れてしまいます。外してグリスアップ前提のベアリングの場合は問題ないのですが、このタイプはそのようには作られていないので、インナーレースが分離した場合はオイルシールが破損することが多く、そうなると内部のグリスが保持できませんので、短期間で壊れてしまいます。

最後にハブナットを規定トルクで締め付け、回り止めの割りのところをタガネで叩き折ります。


後はブレーキを戻し、ホイールを取り付けて終了。

外したベアリングですが、左側はきれいだった物の、右側のベアリングの内側インナーレースはこの有様でした。

表面が剥離したように荒れておりガタガタになっていたため、ボールが通過するたびに異音を発していたものと考えられます。なお、これはハブ軸の下方にあたる部分。同じ内側インナーレースでも、上方はこの通り。

かすかな傷は認められるものの、下方のような触ってわかるほどの段差はありませんでした。やはり車重のかかる下側の負担は大きいようです。

交換した結果ですが、いうまでもなく車内が静かになりました。後はステアリングに伝わる振動が変わった事。上質な感じになりました。
プラシーボレベルだと加速が多少良くなったかも?
まぁ劣化したベアリングだと転がり抵抗が増えていても不思議ではないですけどね(苦笑

片方交換するのにジャッキアップ込みで約50分、両輪替えても90分ほどで終わり、オーナーさん大満足の結果となりました。

新たに右コーナーでの異音が発覚したため、次回はリアハブベアリング交換になりそうです。(苦笑


両輪のハブベアリングを交換して90分とはメッチャ作業が速い! DDはいつもチンタラ作業するので、半日以上かかってしまいそうだ(苦笑)。末尾ではあるが、いつも有益な情報をいただくmedama1goさんに感謝する。



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