2017年12月23日(土)

DD2号 エンジンの異常振動 − イグニッションコイル不良

先日、DD2号で仕事に行こうと車を動かしたところ、エンジンの音がなにかおかしい。シルキーシックスのはずが、アイドリングでも大きな振動がある。しばらくすると、写真1のようにエンジン警告灯も点灯した。やばい・・・。とりあえず、今日は電車で行こう。


写真1 エンジン警告灯

帰宅してからもう一度エンジンをかけてみたが、やはり振動が出る。こんなときは、写真2のようにコンピュータを接続してエラー記録を見てみよう。


写真2 コンピュータを接続したところ

まずは、図1のようにINPAを立ち上げる。


図1 INPA初期画面

DD2号はE63だが、E63の設定はないのでE60を指定するためのF9キーを押す。すると、図2のようなコンポーネントを指定するウィンドウが表示される。


図2 コンポーネント選択

ここで、「Engine」を選択し、右側のリストでエンジン形式を選択する。DD2号の場合は「MSV 80.0 For N52KP (NG6)」をダブルクリックする。すると、図3のようなMSV80.0のメインメニューが表示される。


図3 MSV 80.0メインメニュー

エラーメモリーを読み込むにはF4キーを押す。すると、図4のようにエラーメモリーメニューが表示される。


図4 エラーメモリーメニュー

エラーの内容を詳しく知りたいので、ここでF2キーを押す。すると、エラーメモリーの内容が表示される。以前に、ヒューズ切れによる中枢電子回路異常があったので、いくつかエラーが記録されていたが、その最後に図5のようなエラーが記録されていた。


図5 エラー詳細

う、ドイツ語か・・・。かすかな記憶と辞書を頼りに読んでみる。

赤矢印の部分の「Verbrennungsaussetzer, Zylinder 3」は「3番シリンダー失火」という意味だ。やはり一気筒死んでいたようだ。えーと、その下の「(5514) Einspritzung wird abgeschaltet」は「インジェクションを止めている」という意味なので、どうやら3気筒目が爆発していないことを検知して燃料噴射を止めているようだ。とりあえず、大きな振動は3気筒目が爆発していないからということはわかったので、プラグやイグニッションコイルを確認してみよう。

写真3にボンネットを開けたところを示す。


写真3 ボンネットを開けたところ

ここからプラグを外すまでの手順については、このレポートを参照のこと。写真4にヘッドカバーを外したところを示す。


写真4 ヘッドカバーを外したところ

ヘッドカバーを外すと、写真5のようにイグニッションコイルが見える。


写真5 イグニッションコイル

写真5の赤矢印で示したものが3気筒目のイグニッションコイルだ。前から順に1気筒目、2気筒目・・・、と順番になっている。E34のDD号に乗っていた時は、よくヘッドカバーガスケットからプラグホールにオイルが漏れていてエンジンがかからなかったりしたものだが、これはどうだろう? 写真6のように3気筒目のイグニッションコイルを外して、中を覗いてみた。


写真6 イグニッションコイルを外したところ

どうやらオイルは漏れていないようだ。セーフ! とりあえず、ひと安心だ。いや、安心している場合ではない。外したイグニッションコイルを写真7に示す。


写真7 外したイグニッションコイル

外見上からは特におかしなところは見当たらない。写真8にイグニッションコイルに書いてある文字を示す。


写真8 イグニッションコイルに書いてある文字

いろいろ書いてあるが、「BOSCH」という文字が見える。すなわち、これはBMWのOEM製品としてBOSCHのイグニッションコイルであることがわかる。また、その型番は「0 221 504 470」であろう。E34のDD号のイグニッションコイルは壊れると一部が白くなると言われていたが、このイグニッションコイルには白くなっている部分は見られない。

とりあえず、2気筒目のイグニッションコイルも引き抜いて、3気筒目のものと比べたところを写真9に示す。


写真9 イグニッションコイルの比較(上:3気筒目、下:2気筒目)

見比べてみても、特に違いは見られない。う〜ん? もしかしたらプラグかもしれないと思い、2気筒目と3気筒目のプラグも外してみた。写真10にプラグの比較を示す。


写真10 プラグの比較(上:3気筒目、下:2気筒目)

あまり綺麗に焼けていないが、特におかしなところは見られない・・・。問題を切り分けるために、まずはイグニッションコイルを疑ってみよう。すなわち、2気筒目と3気筒目に付いていたイグニッションコイルを入れ替えてエンジンをかけてみて、2気筒目が失火するようならイグニッションコイルが原因、相変わらず3気筒目が失火するようならイグニッションコイルはシロである。

イグニッションコイルを入れ替えてみてエンジンをかけると、やはり大きな振動が出る。さすがにイグニッションコイルを入れ替えただけでは直らないか(笑)。その後、PCを接続してエラーメモリーを見ると、図6のように今度は2気筒目が失火しているというエラーが記録されていた。


図10 2気筒目失火のエラー記録

図10の上の矢印はイグニッションコイルを入れ替える前のエラーで、3気筒目の失火を示している。一方、下の矢印はイグニッションコイルを入れ替えた後のエラーで、2気筒目の失火を示している。どうやら3気筒目に付いていたイグニッションコイルが原因のようだ。これで原因はハッキリした。

いろいろ調べてみると、イグニッションコイルは1つ壊れると次々と壊れるために、一本壊れたときは全部交換するのがいいらしい。また、イグニッションコイルが壊れる原因としてはプラグの劣化も考えられるそうだ。これまでプラグも交換されていないので、この際、プラグとイグニッションコイルを全部交換したほうがいいだろうなぁ。イグニッションコイル6本、プラグ6本を交換するとなると、いくらかかるんだろう。



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