2009年4月27日(月)

E39 前期型ヘッドライト光軸ロッドの交換 − 555さんより

今回は初登場の555さんより、E39前期型ヘッドライトの光軸ロッド交換レポートをいただいたので紹介しよう。


【はじめに】

DD様、皆様、情報ありがとうございます。参考にさせて頂いています(なるべくなら、余りご縁が無いほうがいいのですが・・・助かります)。事前に構造や要領が分かると、安心して自分で修理する気になれます。

2000年式のE39ですが、先日もミッチョさんのレポートを拝見して、フロントガラスモールを交換してみました。既にボロボロの状態だったので、古いモールは簡単に外すことができました。因みに作業時間約2時間、部品代は税込み5,150円でした。

そして今回はヘッドライトの光軸調整ロッドの交換に挑戦しました。

以前レンズ内に水滴がたまり、分解して拭き取った際に光軸ロッドが折れていることに気が付き、ゴムの当て物を貼り付けてガタ止め・高さ調整していました。

今回も皆さんのレポを拝見し、ディーラーで光軸ロッドの単品部品が入手できることを知って修理したのですが、レンズカバーが着脱できる前期型のタイプは後期型タイプとは若干違っていましたので、参考までに投稿しました。

 

【必要工具】

ライト着脱用ソケットレンチ8mm・マイナスドライバー・プライヤー・カッターナイフ・ヘアドライヤー・大きなダンボール箱・マスキングテープ

 

【部品】

まず、購入した光軸ロッドの部品をミッチョさんのレポート写真と比べたら形状が違うので、少し、ドキッ! としましたが・・・やるっきゃない。


写真1 新品の光軸調整ロッド

 

【光軸の確認】

まず現状の光軸調整状態を確認しておきます。ヘッドライトの前にダンボール箱を置いてライトを点灯し、光軸調整状態(ロービームのカットオフラインとエルボー点位置)をマスキングテープとボールペンでダンボールに印をしました。


写真2 光軸の確認

壁に直接 印をしてもいいですが、作業スペースが狭くなるので、毎回ダンボール箱を同じ位置(ライトからの前後左右位置)に置けるように壁に密着して置き、印をしたらよけておきます。・・・ライト再取付け・再調整が終わるまで車も動かさないようにします。

 

【ライトアッシーの分解】

ミッチョさんの詳細レポの通りに、電源コネクターを抜き4本のビスを緩めて車体からライトアッシーを外し、上部シールゴムとアンダートリムを外します。


写真3 ライトアッシーの取外し


写真4 ライトアッシー

7箇所の爪をドライバーでこじってライトボディとレンズカバーを分け、背面のロー・ハイ用のバルブ防水ゴムカバーを外します。


写真5 .ライトボディとレンズカバー

前に一度分解しているので、ここまでは順調でしたが、ライトボディとライトユニットの分離方法が分からず、中央下部あたりの連結が外れず、数十分程いじくりまわしながら考えていたところ、下側の白いロッドが六角形で先端がマイナス形状であることに気がつき、試しにプライヤで反時計方向に90°廻してみました。


写真6 光軸調整モーターロッド

あれれ、こんなに簡単に外れちゃうんだ、という感じに分解できました。 この部分が光軸調整モーターに連結しているロッドでした。

ライトボディとライトユニットとは、光軸調整モーター部分・光軸上下調整ロッド・ 光軸左右調整ロッドの3箇所だけで連結保持されて、浮いている状態になっています。 案の定、上下調整ロッドと左右調整ロッドが2本とも見事に折れていました。


写真7 ライトユニット側の折れたロッド


写真8 ライトボディ側の折れたロッド


写真9 ライトボディ側の折れたロッド

ライトボディ側の破損ロッド残骸は、光軸調整ノブを廻して外します (ノブが若干固かったのでCRC5-56をかけたらスムーズに廻せました)。

ライトユニット側はロッドの先端がロッドキャッチから抜けませんが、 ミッチョさんの言われるとおり常識では考えられないほどロッドは脆いので、 カッターの刃先でつついていると、ボロボロと崩れて綺麗に取り除けます。

 

【組立】

新品部品のロッド先端を抜け止め付きのロッドキャッチ(プラスチック)に入れる作業は、 非常に固いためにそのままでは困難です。 手のひらに穴があくほど押し込んでも入りません。

そこで、ヘアドライヤーでロッドキャッチ部を過熱して適度に暖めた状態で押し込みました。 加熱しすぎないよう、手でキャッチ部品を持って加熱した程度で入りました (グリース塗布でも入るかもしれません)。

それと、上下調整ロッド・左右調整ロッドともに穴が開いているだけで、 光軸調整ノブの雄ネジと連結するための雌ネジが切られていません。 そこで各々のロッドを光軸調整ノブの雄ネジに押し当てながら、 光軸調整ノブを廻して一度仮り組みします。するとロッドの穴に雌ネジができますので、 正式に組み立てる時に無理な力が不要になります。

 

【ロッドキャッチへのロッドの取付け】

左右調整ロッド側は小さなロッドキャッチ部をライトユニットから取り外し、 ロッドキャッチにロッド先端を手で押し込んではめ込みます。


写真10 左右調整用ロッドキャッチ

このロッドキャッチ付きの左右調整ロッドをライトボディの溝に入れて、光軸調整ノブを廻して雄ネジに取付けます。


写真11 左右調整ロッドの取付け

上下調整ロッド側は、ロッドキャッチの部品を爪1箇所とビス2本を緩めて 、ライトユニットから外し、ロッド先端を手で押し込んではめ込みます。


写真12 上下調整ロッドの取付け

上下調整ロッド付きのロッドキャッチ部品を元通りにライトユニットに取付けます。


写真13 ロッドキャッチの取付け

この時点で左右調整ロッドはライトボディ側に取付け、 上下調整ロッドはライトユニットに取付けてあります。

 

【ライトユニットのライトボディへの組み込み】

ライトユニットの穴にライトボディの光軸調整モーターシャフトを通し、 上下調整ロッドをライトボディの溝に入れて、 光軸調整ノブを廻して上下調整ロッドを少しだけ引き込みます。

次に、ライトボディ側の左右調整ロッド先端のロッドキャッチを ライトユニットの穴に差し込んで取付けます。 光軸調整モーターシャフトを時計方向に90°廻してロックします。 2個のバルブ防水ゴムカバーを取付け、ライトボディにレンズカバーを取付けます。

この時、日頃からライト内部に水が浸入する不具合のある場合には、 ゴムパッキンを交換したほうが良いようです。(片側2,415円)


写真14 ライトボディのゴムパッキン

 

【光軸の簡易調整】

元通りに組んだライトアッシーを車体に取付けたら、 ダンボール箱を最初と全く同じ位置に置いてライトを点燈します。 光軸上下調整ノブと光軸左右調整ノブとを廻して、最初の印の通りに カットオフラインとエルボー点位置を調整します。

夜走行して、今までと上下左右変わらないので問題ないと思いますが、 もうすぐ車検なので、正式にはその時にライトテスターで調整してもらいます。 因みに車検の時には、初度登録H10年8月までの車両はハイビームで、 初度登録H10年9月〜の車両はロービームで検査しているようです。

 

【おわりに】

ロービームのコネクター部分を動かすと 左側のライトユニットが少しグラつくのに対して、 右側のライトユニットは極端に大きく動いたので、 右側ライトの光軸調整ロッドが折れていることに気が付いたのですが、 今回、右側ライトの2本の光軸調整ロッドを交換したら ライトユニットは完全に動かなくなりました。

ってことは?  少しグラついている左側ライトの光軸調整ロッドも折れている?・・・トホホ!

部品代は税込み2,583円(片側分)でした。 ディーラーに問い合わせたところ、このパーツはいつでも在庫しているとのこと。 「今は6個あります」との回答に、こんなところ「そんなに頻繁に壊れるんかい」と、 6個だけに ちょと ムッツ としてしまいました。

 

【ご紹介】

これは、フランス・ファコム社のラチェットレンチです。

小径ヘッドと操作角度約5度の細かいストロークは、狭いスペースでの作業に最適です。 細かい場所のメンテには威力を発揮するので、持っていても損はない工具だと思います。詳しくは、以下のURLを参考にしてください。

http://www011.upp.so-net.ne.jp/facomjapan/
http://www.blackhawk.co.jp/facom_ratchet.htm


非常に詳しいレポートで、はじめて作業する人も安心して作業できるだろう。最後に紹介いただいたラチェットレンチも便利そうだ。DDは、PROXONの72枚歯(これも操作角5度)のものを使っているが、確かに作業スペースが狭いところで威力を発揮する。

末尾ではあるが、詳しいレポートをいただいた555さんに感謝する。



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