2008年6月13日(金)

電動ファンレジスタの交換? − たにやんさんより

今回は、北海道E34乗りの有名人、たにやんさんより電動ファンレジスタの交換レポートをいただいたので紹介しよう。


車齢も17年目を迎えますと、距離の走行に関わらずいろいろなところが不具合を起こしてきます。

「もう車売ったら? あの車の存在理由が私には全くわからない!」と家族に言われつつ乗っている愛車ですから、万が一にも高額の修理費が掛かることが判明したら、即「廃車、時期車両は黄色いナンバーの中古に決定!」って事は、想像に難しくないのです。

そして今回私の車(俗称Ezo5)もエアコントラブルと言う、一歩間違えば買うより高い修理代の事態に見舞われましたので、その顛末をご報告したいと思います。

途中、とんでもないチョンボを犯したりして、完全回復までには回り道をしたキライもありますが、こちらを巡回されてるオーナーさんの中には私のような「初心者」の方もいらっしゃると考えましたので、「あえて」投稿させていただき、私の失敗を他山の石としていただけたらと思います。

 

ここ最近、エアコンの効きが悪いような感じがしておりました。普段日中にあまり乗る機会がないので、いつからおかしかったかは不明なのですが、それでも暑くなってからの室内温度は、ちょっとヤバイ状態になっておりました。これは単に自分の体調が悪くて変な汗が出てるんじゃなくて、室内が異様に暑いからに違いないと。

電気関係や空調関係はいくつかのトラブルシュートがこちらのサイトや諸氏のサイトで掲載されておりますので、それを元に調べようと思いましたが、まぁ「餅は餅屋」の言葉がありますので、とりあえずお世話になっているディーラーさんに行って診てもらうことにしました。

ディーラーに行く前に最初に疑ったのが、重症度の高い方の「コンプレッサーご逝去」でした。素人は闇雲に重たい病気から疑う傾向がありますね。咳をすれば「肺ガン?」みたいなもんです。

クラッチが焼き付くなんて話も聞いたことがありますから、その辺どうなってるのだろうと思って、コンプレッサー部分を見ますが、クラッチの入切の音がしません。

「いきなり高額お布施の洗礼か?」と首をうなだれつつディーラーに向かう覚悟をします。ただ室内に時折聞こえる「シューッ」というエアコンが動作しているときに聞こえる音のことはすっかり頭から抜けていました。

それでも悪あがきでいろいろと調べてみようと思い、「電動ファンのリレー部分のチェックと、ヒューズチェック」を行ってみました。ここで私は今後起こりえるであろう、どうしようもないチョンボを犯すのでありました。

電動ファンのリレーはエンジンルーム左側の、ヒューズボックス前方にあります。

左が前側です。リレーを抜いてみました。それも一度に(これが大失敗の元です)。ベントレーのマニュアルEWD100を参考に、リレーの足が刺さっている穴にテスターのピンをつっこみ、86と30に12Vが来ているか確認してみます。

無事12V来ていました。これでリレーの問題はクリヤーだと思いました。そして装着しました。

はい、見事に逆に取り付けています(自爆)。これが今後の作業にある「電動ファンレジスター交換」しても、ファンが回らない原因となったわけですね。

教訓
「複数のパーツがあるとき、取り外しは一つずつ行うこと。もしそれが不可能であれば、デジカメで記録するか、必ずメモを取ること」

次にヒューズを確認します。9番、25番、29番が電動ファン関連のようです。

きれてな〜い。ヒューズ関係も問題ありません。これでコンプレッサーの疑いを強く持ち始めてしまったのでした。

「コンプレッサーはリビルトだろうか? 新品だろうか? ディーラーメンテだから新品なのかなぁ」と頭の中はコンプレッサー修理のことで一杯です。

 

ディーラーメカニックさんに事情を説明し、見てもらいます。そして一言、

メカ:「コンプレッサーは回ってますから大丈夫ですよ」

私:「え? でもクラッチの音がしないんですけど。今まではカチカチ言って回ったり止まったりしてたんですけど」

メカ:「今ですね、ずっと動きっぱなしで切れてないんですよ(笑)」

スイッチが切れないから音がしない。それを動いていないと勘違いするすっとこどっこいなド素人がここにいました。

メカ:「ガスが少ないのかなぁ」

てことで、まずはエアコンのガスが入っているか?の検証を行います。

エアコンの配管にケーブルを繋ぎます。え? どちらが高圧側かって? すいません、判りません(^_^;。

でも見る人が見れば、赤がどっちだとか黄色がどっちだとかってのは、規則があるんでしょうね。ここはタイヤチューブのバルブような感じになっていました。

メカニックさんに測定してもらっています。隣には内装メッキバリバリのアメリカンチックなE28が修理?を待っていました。

周りを見渡せば、2000年以降の新型車ばかり。SOHCは私の車と隣の520だけのような雰囲気。

この日は気温20℃前後ありましたから、右のメーターは少なくとも11時付近を指していなければならないようですが、私のはなんだか申し訳程度に圧が上がってる感じです。

メカ:「ガスが抜けてますね、これでは冷えないですね。」

私:「そうですか・・・、ガス抜けですか・・・この時代のエアコンってR12のガスなんですよね」

メカ:「そうですね、でも代替フロンがありますので、それで大丈夫ですよ」

私:「それ、高いんですよね」

メカ:「R134から比べると高価ですけど。まぁ他にも原因がないか診てみましょう」

と言うことで、エンジン周りを詳細に見ていただき、ある一点の異常に気づかれたメカニックさん。

メカ:「あれ?電動ファンが回ってないなぁ」

私:「へ?」

メカ:「エアコンを入れると、強制的に低速側の電動ファンが回る仕組みになっているんですよ。でも回ってないですねぇ。ガスが足りないからかな?」

ここで一つ、電動ファンレジスターの故障が考えられることは判りました。これの電動ファンレジスター修理その他をお願いしたのですが、工場が一杯のようでしたので、交換だけはDIYで行うことにしました。

諸氏のサイトで電動ファンレジスタ交換の記事を見て、簡単そうなのでトライです。面倒なのは一人でバンパーを外すことくらいです(四十肩には重たいものを持つのが一番の苦労なんです)。

 

その前に再びいくつかのトラブルシュートを行います(素人はある意味懲りないんです(^_^;)。

水温センサーの直結でファンが回るかを検証します。検証方法はラジエーター右にある水温センサー部分で行います。

アプローチにはライト裏カバーを外す必要があります。ライトカバーのねじは90度回すだけです、回し続けてもねじは外れません(昔、私はこのねじをひたすら回し続けたことがあります)。

水温センサーはただ差し込まれているだけなので、固着してても自分を信じて引き抜きます。

3本の線が出ていますが、茶色はアースですから、アースと他の線を直結してみて、ファンが回るかを確認します。

配線ですが、紫/灰と茶をジャンプしてLoで回り黒/灰/黄と茶をジャンプしてHiで回ります。どうやら電動ファンレジスターが壊れていると低速側が回らないようです。私のも高速側は回るのに、低速側はしっかり回りませんでした(^_^;

ということでパーツを入手です。

入手した電動ファンレジスターです。ディーラー価格6,000円弱程度のものです。配線が何本もあるのかと思ったら、本体の両端からそれぞれ1本ずつ。ただし長短がありましたので、何か理由があるかもしれませんが、メカニックさんの話では「極性はないですね」とのことでした。

今回はハンダ付けをしてみましたが、このくらいの配線なら圧着コネクタでも大丈夫な感じがしました。防水が心配なら、防水ギボシ端子カバーメスとビニルテープがあれば完璧でしょう。

 

休日の早朝、作業が楽なように車をスロープに乗せてバンパーを外します。

バンパーの外し方はナットを4つ外して、外気温センサーをとフォグの配線を外すだけです。

これが噂に聞く「電動ファンのバランスウエイト」ですかね。くるくる回してみましたが、ココ以外に付いていなかったので、きっとそうなんでしょうね。かなりさび付いていて17年間の塩害の影響を感じます。

電動ファンレジスターが付いている場所です。2つのねじで固定されています。

一説には固定部分に熱対策の?シリコングリスも塗られてるそうですが、この辺もメカニックさんに聞いてみたところ「特に必要ないんじゃないですか?」って。でも外してみたら何かそのような痕跡は付いていました。これから交換する方は、きっとあった方が良いんじゃないかと思います。

長いドライバーでは作業が難しいので、このようなものがあれば楽ですね。ねじが固着している場合があるので、あらかじめCRCなどの潤滑剤を塗布しておくと外れやすいようです。

外れました。コードの部分に長さの違いがあります。今回はこれに準じて取り付け向きを決めました。

適当な長さでファンレジスターコードを切断します。

新しいファンレジスターをハンダ付けして、収縮チューブで絶縁加工を施した後、所定の部位に再固定します。

ケーブルがファンに巻き込まれないようにしっかり固定し、動作確認を行います。今までのE34のエアコントラブルの多くは、この電動ファンレジスターの故障のようですので、私のもきっとこれでファンが回るはずです。

エンジンをかけて、エアコンスイッチを入れます。コンプレッサーが回ってますので、ファンの動きを見に行きます。

・・・・、回ってません orz。

もうお気づきだと思いますが、絶対にファンは回りません。だって、リレーがHiとLo、逆に付いてるんですから。

ちなみにHiとLoではリレーの足の本数が違います。Hiは4本、Loは5本です。

電動ファンは水温センサーからの命令を受けて動くようで、91℃でLoが、99℃でHiが動くようになっているようです。それ以外にエアコンオンで強制的にLo(ステージ1と言うらしいです)が動くようになっているようです。

他にも制御系があるようですが、興味のある方はベントレーのマニュアルのEWDのページの配線図とにらめっこしてみてください。

んで、その配線があるかないかで、リレーの足の本数が違うんでしょう。まぁその辺の難しい話は、ベントレーの回路図を読める電気関係中級以上の人だけ判っていれば良いかもしれません(笑)。

とにかく、リレーを間違えて取り付けてるのでエアコンオンで通電するピンがないわけですから、何をどうしても動きません。

 

最初は「外気温センサーを抜いて-37℃になったから動かないのかなぁ?」なんてお気楽なことを考えていましたが、時間が経ってからも動かないのでやっぱりおかしいだろうって事になり、再度ディーラーへ。

私:「電動ファンレジスターを交換したんですが、Loが回らないんです」

メカ:「そうですか、となると・・・・プレッシャースイッチ方面の可能性もありますかね。」
いや、だから作業者のリレーの差し間違えだから(天の声)

メカさんは手慣れた手つきでエアクリーナーを外し、ウォッシャータンクを外してエアコンのドライヤー付近を調べます。テスターを持ってきて、

メカ:「電気が来てないですね」
だから、リレーが・・・

メカ:「この辺になるとプレッシャースイッチとかドライヤーとか、その辺を交換しますので、7万から8万位じゃないですかね。あ、レトロフィットって方法もありますね。こちらの方が少し安いかも?」

私:「そうですか・・・・」
だから作業者がリレーを付け間違えただけだから(再び天の声)

家に帰って、いろいろ考えてみました。何か自分のやった行為で落とし穴はないだろうか?

そんな時にピーンと閃いたのが「もしかしたらリレーを逆に取り付けてないか?」って事でした。
良く気がついた!(天の声)

外はあいにくの雨、電気系統を雨の中で検証するのはさすがに怖いので、翌朝仕事前に車のところに行ってリレーを調べてみます。

 

後ろ側のリレーを抜いてみます。やはりピンが4本のリレーが刺さっていました。前後のリレーを交換してイグニッションオン、電動ファンが無事動きました!

狂喜乱舞です。時は折しも「よさこいソーラン祭り」の真っ最中。私はそちらはあまり興味はありませんが、電動ファンが回ったことで一人車内で小躍りしておりました。

これでエアコンのレトロフィット計画もしばらく延期です。これからならレトロフィットの方が安いようです。2001年頃は12万くらいだったのが、今は10万円以下で行けるような話です。

え? エアコンガス漏れの原因?

それは今回ガスを入れてもらったときに一緒に蛍光剤も入れたので、それで場所が特定できるでしょう。もしエバポレーターあたりから漏れてたら? 思い切り泣きます(爆)

ちなみに代替フロンガス注入作業で諭吉さんお一人程度の出費でした。自分では何も出来ないですし、これは仕方のない出費だと思います。

今回は作業者のチョンボから大変遠回りをしてしまいましたが、おかげでいろいろなことが判りました。

 

DIY、楽しいけれど全ては自己責任。皆さんも楽しいカーライフを。

最後に、電気的な助言を頂いたBONBYさん、イワンさん、庭師@さん、おくさん他多数の熱烈E34愛好者の皆様、ならびに本サイト管理人様、BMWディーラーメカニック様に感謝いたします。


リレーとは盲点だ。だれでも犯してしまいそうなミスである。皆さんも十分気を付けて欲しい。

末尾ではあるが、面白いレポートをいただいたたにやんさんに感謝する。



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