2005年9月29日(木)

エンジンヘッドカバーの塗装 − けろよんさんより

今回は本サイト初登場のけろよんさんより、エンジンヘッドカバー塗装レポートをいただいたので紹介しよう。けろよんさんはBMW@FUNでもご活躍なので名前をご存じの方も多いだろう。


最初にお断りしておくが、私には塗装の専門知識はないので、あくまでも素人が色々調べて試行錯誤したレポートである。

以前からエンジンヘッドカバーの塗装のはがれが気になっていたが、点検時にヘッドカバーからのオイルにじみでオイルシール交換を勧められたのを機に、ヘッドカバーの塗装をすることにした。写真1が塗装前のエンジンヘッドカバーである。オイルが減るほどではないが、確かにオイルが滲んでいる。塗装に触るとパリパリとはがれてきて、いかにもみすぼらしい。プロに頼むとV8エンジンはヘッドカバーが2個あるため、結構な費用がかかるようだったので、DIY塗装に挑戦した。


写真1 塗装前のヘッドカバー

ミッチョさんがV8エンジンのヘッドカバーオイルシール交換を試みて、取り外す部品が多くて途中で断念したという話を聞いていたので、ヘッドカバー脱着とオイルシール交換はプロにまかせた。写真2に取り外したヘッドカバーを示す。隠れて見えなかった部分の塗装もデロデロにはがれていた。


写真2 取り外した塗装前のヘッドカバー

ヘッドカバー塗装について調べてみると、本格的な塗装の手順は以下のようである。丈夫な塗装にするためには塗装の下地つくりが重要らしい。古い塗装の上から塗装しても剥がれてくるのは目に見えているので、今回はこの手順に従うことにした。

   洗浄→旧塗膜剥離→下地処理→脱脂→マスキング→下地塗装→本塗装→乾燥

1)洗浄
ヘッドカバー裏はオイルスラッジでベトベトだったので、灯油と洗剤で何度か洗浄し、塗料薄め液(シンナー)で表面/裏面とも不純物を洗い流した。洗浄に結構手間がかかるので、専用の洗浄剤で浸け置き洗いをする方がよさそうだ。ヘッドカバー裏にも塗装してあるように見えたが、裏面をへたに塗装して剥がれると問題があるので、裏は剥がれかけた塗膜部分だけ洗い落とした。どうせ裏は見えなくなるので気にしないことにする。

2)旧塗膜剥離
ミッチョさんの「エンジンタペットカバー(ヘッドカバー)の塗装」の記事を参考に、古い塗膜はホルツの「自動車塗装用塗装はがし液」で剥離した。この塗装剥離液を筆で塗ると塗装が柔らかくなって浮いてくるので、ブラシやスクレーパで削り取る。平面部は電動ドリルにサンドペーパのホイルブラシをつけて研磨した。ただ、細かいところや凹部はなかなかきれいに取れず、V8でヘッドカバーが2個あるため、旧塗膜剥離に8時間も要した。二度とやりたくない作業ではあるが、もし今度やるなら時間貸しのサンドブラストを使おう。写真3が旧塗膜を剥離したヘッドカバーである。ちょっとマダラだが気にしないことにする。


写真3 古い塗装を剥離したヘッドカバー

3)下地処理〜下地塗装
このヘッドカバーはマグネ合金らしいので、塗膜の密着性を少しでも高めるための下地処理として、化学的な足付け処理(エッチング処理)を施した。エッチング処理液は、鉄道模型の塗装下地用のもので、マッハ社の「エッチングプライマー69」(420円/100ml)を使った。塗装する面に筆で薄く塗布して乾燥させた。この処理液がいいのかどうか分からないが、気休めにはなる。
次に、ボルトやネジ穴など塗料がつくと困る部分をテープでマスキングしてから、ブレーキクリーナで全体を脱脂した後に、ホルツの「プラサフ」で薄く下地塗装をした。

4)本塗装〜乾燥
本塗装にはVHT社の耐熱スプレー塗料(SP-731、ブレーキキャリパ用の赤色)を用いた(写真4)。ヘッドカバーはキャリパ程温度が上がるわけでもないので、耐熱性はこれで十分である。耐油性はうたっていないが、同じメーカからエンジンのちぢみ塗装用のものが出ているので、これでよしとした。通販で2本購入(1280円/本)した。


写真4 プラサフとキャリパ用耐熱塗料

本塗装は塗料が完全に乾くまでに3〜5回に分けてスプレーする。スプレー2本でギリギリであった。最初は薄く均一にスプレーし、最後はペイントがたれる一歩手前にすると一番つやが出るらしい。今回、横着して2個のヘッドカバーを並べて塗装したため、片方の塗装の飛まつが他方にかかり、少しざらざらとした艶のない表面になってしまった。つや消しを塗ったということにして気にしないことにする。写真5では朱色っぽく見えるが、実物は写真7に近い鮮明な赤である。


写真5 塗装後のヘッドカバー

本塗装後に8時間ほど自然乾燥させた後、電気ストーブの前で30分ほど加熱して塗装を定着・硬化させた。塗装後すぐに加熱するより、自然乾燥させてから加熱する方が耐久性が高くなるらしい。

ヘッドカバー裏のオイルシールをつける合わせ面(凹部)の塗装も剥がしたので、当て板をしたサンドペーパで裏側全体の面を整えた後、シルバーのラッカーペイントで凹部を筆塗りした(写真6)。これは、本塗装の前にしておく方が傷をつける心配がないのでよいだろう。


写真6 筆塗り塗装後のヘッドカバー裏のあわせ面(凹部)

写真7が赤く輝くヘッドカバーを装着したエンジンである。苦労したわりにはヘッドカバーがほとんど見えなくてちょっと寂しい。樹脂カバーのシルバーの部分も赤く塗ると良いという助言を頂いたが、塗装前のみすぼらしいエンジンよりだいぶマシなので、これでよしとする。


写真7 塗装したヘッドカバーを取り付けたエンジン

所感
洗浄と旧塗膜剥離さえなければ、出来不出来は別として塗ること自体は面白い。今度はがれてきたら、、、見なかったことにしようかな〜。


ヘッドカバーの塗装は普段見えないところのお洒落である。喩えて言うなら、●●の■■のようである(「●●」と「■■」に入る言葉はたにやんさんに聞いてほしい)

末尾ではあるが、面白いレポートをお送りいただいたけろよんさんに感謝する。次のレポートも期待ておこうっと!(と、軽くプレッシャーをかけておく)



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