2005年1月30日(日)

ドア内張り(バッファローレザー)の補修 − ミッチョさんより

先日、ミッチョさんよりM5のドア内張り(バッファローレザー)の補修のレポートをいただいたので、紹介しよう。


ドア内張り(バッファローレザー)の補修

現在の愛車M5の購入時に、一番気になったのがリアドア内張りの剥がれである(写真1、2参照)。


写真1 補修前右後


写真2 補修前左後

パネルの剥がれだけでなく、アームレスト部分もしっかり縮んで全体が浮いているし、上部のプラスチック部分も取れそうであった。

E34の持病のひとつである内張りの剥がれは、窪んだ部分に貼り付けてある(ビニール)レザーが縮んで浮き上がってくるために、パネルが剥がれてくるのが原因である。浮いているレザーにボンドや両面テープでパネルを貼り付けても、すぐに剥がれてきてしまうので、困っている人は多いと思う。この浮き上がったレザー部分を、下地にしっかりと貼り付けてやる必要がある。

 

<実際の作業>

1.内張りを外して分解する

しっかりと接着するために内張りをはずす。脱着方法は他のレポートページを見て欲しい。年式が年式なので、プラスチックのクリップがいくつか破損するのは覚悟しておいたほうがよい。あらかじめいくつか手にいれとおくと破損しても気にならない。私は、30個ほど入手しておいた。ディーラーで1個20円であった。(P/N 5141 1973 500)

グリップなどが邪魔になるので、補修しやすいようにできるだけ部品を外す。分解したところを写真3に示す。


写真3 分解したところ

アームレスト部分は、剥がれ対策のためか、後期になると別部品となっている。写真4は取り外したドア内臓のロールスクリーンユニットだ。


写真4 ドア内臓のロールスクリーン

2.浮き上がったパネルを剥がす

ベロベロとめくれているパネルを完全に剥がす。ただし、心材が割れやすいので注意深く剥がす必要がある。以前に乗っていた93年式530の補修の時には、見事に割ってしまった(写真5)。


写真5 割れた530のパネル

今回は、前オーナーが一度修理したようで、簡単に剥がすことができた。パネル下のビニールレザーを一部切り取り、剥がれを確認する。ドアハンドル下とアームレスト部分が完全に浮いている(写真6・7)。


写真6 剥がれの様子


写真7 アームレスト剥がれ

3.窪み部分に切り込みを入れる

再び浮いてくる心配があるので、窪み部分に切り込みを入れる。レザーの縮みが少ない場合は最後に接着するパネルで隠れるところまでにしておくと後が楽である。フルレザー張りの内装はビニールレザーの上に、更にバッファローレザーが張り合わせてあるため厚みがあり、貼り付けも難しい。私の場合は革の縮みが激しかったため、大胆にカットすることにした(写真8・9)。


写真8 切り込み1


写真9 切り込み2

4.浮いている部分を接着剤で貼り付ける

再び剥がれることがないように、接着剤でしっかり貼り付ける。接着剤は、ホームセンターなどで普通に手に入る合成ゴム系の透明のものを使用した。接着剤は薄く伸ばし10分ほど乾かせて、触っても手につかないようになったところで張り合わせるのがコツだ。1時間ほどで実用強度になるので、その間クランパーで押さえておく(写真10)。


写真10 貼り付け1

手持ちのクランパーが少ないので、部分に分けて張り合わせていった。切込みを入れたコーナーの窪んだ部分をしっかり貼り付けるのが、見栄えよく仕上げる秘訣である(写真11)。


写真11 貼り付け2

切込み部分が広がって隙間ができるので、隠れる部分のレザーを小さく三角に切り取り、差し込んであるのが分かるだろうか?

後ほど、ステアリングの修復に使用したパテと染料で仕上げるので、少々の段差や隙間は気にしないことにした。

アームレスト部分は、手持ちのクランパーをかませることができないので、最終的に隠れる下地の部分に、大胆に穴を開けて押さえることにした(写真12・13)。


写真12 ア-ムレスト部貼り付け


写真13 ア-ムレスト部貼り付け裏

5.切り込みの部分をパテ埋めして色をつける

切り込み部分を隠すために、革用のパテで埋めた後(写真14)、革用の染料で色付けをする(写真15)。


写真14 パテ埋め


写真15 着色

その後、色落ち防止用のコート剤を塗っておいた。

6.パネルを接着する

最後にパネルを接着する。しっかり圧着するため、重量物で一晩押さえておくとよい。補修完了後を写真16に示す。写真では分かりづらいが、下地にしっかりと貼り付けられているのが分かるだろうか。


写真16 補修後


いかがだろうか? バッファローレザーはDD号のようなレザー風ビニールに比べて厚く、補修も少し難しそうだ。でも、最後の写真を見てもわかるように、本当に綺麗に補修されている。

末尾ではあるが、いつもレポートを提供していただくミッチョさんに感謝する。さて、次のネタは何かな?



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