2001年3月24日(土)

キーレス取り付け − その2

前回は、「キーレス取り付け − その1」というタイトルでキーレスの基本的な取り付け方法とキーレス受信機の改造方法を紹介した。今回は、以下の仕様を実現するために行ったキーレス受信機の改造Part2とハザードランプへの接続について説明する。今回の改造で目標としたのは以下の機能仕様である。

  1. リモコンのアンロックボタンを押すことでドアのロックが解除される(ダブルロックからも)。その際に、ハザードが2回点滅する。
  2. リモコンのロックボタンを押すことでダブルロックがかかる。その際に、ハザードが三三七拍子で点滅する。
  3. 三三七拍子点滅中にもう一度リモコンのロックボタンを押すと、開いている窓が自動的に閉まる(ウィンドウクローズ)。その際には、2秒ごとにハザードが点滅する。
  4. ウィンドウクローズ中に、リモコンのロックボタンまたはアンロックボタンを押すと、ウィンドウクローズが止まり、ドアのロックが解除される(緊急停止モード)。

 

1. キーレス受信機の改造 Part2

前回の取り付け応用編では、キーレスの受信機にワンチップマイコンを搭載して、ダブルロックやウィンドウクローズを実現した。今回の改造でも、基本的に前回と同じである。

用意する部品は、前回の改造と同じで、PICチップ12C509、抵抗240Ω、ツェナーダイオード(5V)である。まずは、12C509にプログラムを焼き込む。焼き込むプログラムのソースコードは、これである。前回と同じように、このソースコードをアセンブルしてオブジェクトコード(HEXファイル)を生成し、12C509に焼き込む。焼き込みの際のコンフィギュレーションは、WDTオフ、MCLRオフ、内臓RC発振OSCである。ちなみに、PICチップは私のようなアマチュア電子工作をするものにとっては非常に使いやすいチップであり、関連ホームページも無数にある。PICのアセンブラを含めた統合開発環境やチップのデータシートは、マイクロチップ社のホームページからダウンロード可能だ。

チップが用意できたら、写真1a、1bのように基板に取り付ける。


写真1a 基板への接続箇所


写真1b 受信機基板にチップ、抵抗、ダイオードを取り付けたところ

写真中の丸数字は、チップに接続する際のピン番号を表している。2番ピン・3番ピン・5番ピンに接続するダイオードは、足を切断しておく。また、青い丸印のダイオードの足は切断する(ダイオード自身を除去してもよい)。ツェナーダイオードは、1ピンと8ピンの間に接続する。これは前回と同じである。抵抗も前回と同じように接続する。

一方、基板裏では、写真2に示す矢印の部分3箇所をショートさせる。


写真2 基板裏面でショートさせる部分

これで、受信機側の改造は完了である。
余談ではあるが、キーレス受信機基板にはもともと3つのICが載っている。1つはCMOSロジックの40106(HEX INVERTER、14ピン)である。もう一つは、片電源オペアンプ(8ピン、型番を忘れた)である。最後の一つは、ASLICのAX5327P-3(18ピン)である。このAX5327P-3がリモコン送信機から送られてくるIDコードと押したボタンを解読している。ロックボタンを押すと、10番ピンがHighになり次にアンロックボタンが押されるまでHighをキープする。アンロックボタンを押すと、11番ピンがHighになり次にロックボタンが押されるまでHighをキープする。アンロックボタンやロックボタンを押している間は、17番ピンがHighになる。
基板には、12Vを降圧して8Vを生成する三端子レギュレータ78L08が搭載されており、上記のIC類は8Vの電源電圧で動作している。今回の改造で用いたPICチップの電源電圧は5Vであるので、抵抗とツェナーダイオードを使って強引に5Vを発生させている。それでも、信号として4番ピン・6番ピン・7番ピンに入力される電圧は8Vなのでチップの定格を越えて使用していることになる。そのうち、壊れるかもしれない(笑)。ちなみに、キーレス受信機の待機電流は10〜20mA程度である。

 

2. ハザードランプへの接続

ハザードランプ(方向指示器)を点滅させるには、キーレス受信機の灰色の配線を車の方向指示器の配線に割り込ませればよい。しかし、両側の方向指示器のラインにそのまま割り込ませると、左右の方向指示器が常に同時に点灯するようになってしまう。そこで、ダイオードを2つ使ってキーレス受信機から左右の各方向指示器の配線へだけ電流が流れるようにする(写真3)。ダイオードは整流用の6Aのものを2つ用いた。これについてもBMW@FUNのE34オーナーズルームでご活躍の岩野様からアドバイスをいただいた。


写真3 ダイオードをによる信号の分配(黒いところに2つのダイオード)

車両側の方向指示器の配線は、ロック線やアンロック線と同様にリアシート下にある。配線の色は、「青い電線に緑の線」と「青い電線に茶色の線」である。無数にある配線の中から根気よく探して欲しい。

 

これらの作業の後、取り付けた様子を写真4に示す。


写真4 リアシート下に取り付けたところ

写真4で赤の割り込みコネクタを付けたところが方向指示器の配線である。

 

上記の作業により、ロック時にハザードが三三七拍子で点滅する変な車のできあがりである(私はお洒落だと思っているが・・・・)。

前回のメンテナンス記録にも書いたが、改造はあくまで自己責任で行ってほしい。もし、改造に失敗しても私はなんら責任を負わない。

なお、最後ではあるが、今回のキーレス取り付けでは、岩野様に大変お世話になった。ここに再度、感謝の意を表したい。



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