2023年11月25日(土)

DD2号 ブレーキマスターシリンダーの交換 − 内部リーク?

前回のレポートで、車検の事前整備としてブレーキフルードを交換したことを報告したが、交換後にブレーキペダルを踏み続けると、ペダルが床まで沈んでいくことがわかった。キャリパー等を見てもブレーキフルードが漏れている感じはないし、何度ペダルを踏んでみてもタンクからブレーキフルードが減っていったりしない。ということは、マスターシリンダーの内部リークだろうか?

バイクのブレーキマスターシリンダーの場合はオーバーホールキットがあるようなのだが、車の場合は見つからない。ブレーキ関係は重要なパーツなので、ここは気持ちよく新品のマスターシリンダーに交換することにした。まずは、写真1のように前後にウマをかけてタイヤを外す。


写真1 ウマをかけたところ

全部のタイヤを一度に外す必要はないかもしれないが、マスターシリンダーを交換するのでブレーキラインに入ったエアを完全に抜くために、念のためエア抜きを2回しておくつもりだ。

次に、写真2のエアコンフィルタトレイを外すと、ブレーキフルードタンクが見える。マスターシリンダーはタンクの真下にある。これが本当の「マシターシリ・・・(以下、略)」


写真2 フルードタンク

このタンクを外すために、タンクからフルードをできるだけ抜いておく。そのため、タンクの蓋を開けて写真3のようにフィルタを外す。


写真3 フィルタを外しているところ

このフィルタがなかなか外れない。無理矢理ラジオペンチで挟んで引っ張ると、写真4のように抜けてくる。これって、本来はどうやって外すんだろう?


写真4 フィルタを抜いたところ

そして、写真5のように洗瓶にシリコンホースを付けたものでタンク内のフルードを抜く。


写真5 ブレーキフルードを抜いているところ

以前のレポートで報告したように、最近ブレーキフルードを交換したので綺麗なものだ。このブレーキフルードは再利用しよう。さて、ブレーキフルードがおおよそ抜けたら、タンクを外すために、写真6に示すタンク下のボルトを外す。


写真6 タンク下のボルト

このボルトはアルミ合金で星形の頭をしており、そのサイズはE8だ。これを緩めようとしたのだが、かなり堅く締まっている。無理矢理回すと、頭をなめてしまった。ええっ!? マジか・・・。仕方がないので、フルードタンクをマスターシリンダーに付けたままブレーキブースターから取り外すことにする。マスターシリンダーは2つのナットでブレーキブースターに固定されている。そのため、まず写真7の片側のナットを外す。サイズは13mmだ。ちなみに、取り付け時の締め付けトルクは26Nmだ。


写真7 マスターシリンダー取付ナット

写真手前側のバキュームホースも引き抜いておこう。これは引っ張るだけで外れる。もう一つのナットも反対側に付いているので外す。これを外すには、写真8のように長いエクステンションとユニバーサルジョイントが必要だ。


写真8 もう一つのナットを外しているところ

さらに、マスターシリンダーを自由に動かすために、写真9に示す2か所のブレーキパイプとのジョイント部分を緩めて抜いておく。太い方のブレーキパイプのジョイントを外すには12mm、細い方は11mmのスパナが必要だ。取り付け時の締め付けトルクは9Nmだ。


写真9 ブレーキパイプとのジョイント部分

この2本のブレーキパイプを自由に動くようにするために、写真10のプラスチックの固定を外す。


写真10 ブレーキパイプの固定

さらに、写真11に示す、この2本のブレーキパイプの反対側のジョイントを外す。こちらも12mmと11mmのスパナが必要だ。取り付け時の締め付けトルクは9Nmだ。


写真11 ブレーキパイプの反対側のジョイント

さて、ここまで外せたら、フルードタンクごとマスターシリンダーを外すことができた。しかし、タンクとマスターシリンダーを接続するボルトは頭をなめてしまっているため、緩めることができない。タンクはそのまま再利用したいのに・・・。バイス等で挟んで回してみたが、堅く締まっていてビクともしない・・・。仕方がないので、写真12のようにして、このボルトを金鋸で切断することにした。


写真12 金鋸でボルトを切っているところ

ほとんど金鋸のストロークがないので、切断するのにめちゃくちゃ時間がかかってしまった。作業中、何度新しいタンクを買おうと思ったことか・・・。苦労の末に、一応、ボルトが切断できてタンクをマスターシリンダーから外すことができた。写真13に外したタンクを示す。


写真13 外したブレーキフルードタンク

一方、マスターシリンダーは写真14のようにTRW社製の新品を用意した。価格は15,090円(税込み)であった。ちなみに外したマスターシリンダーもTRW社のものだったので、購入したのは純正OEMのようだ。


写真14 購入したマスターシリンダー

これを写真15のような方向でブレーキブースターに刺すようにして取り付ける。


写真15 マスターシリンダーの取付方向

取り付け時には、新品のマスターシリンダーに付属していた2つのロックナットを使う。締め付けトルクは26Nmだ。この時、ブレーキパイプも仮付けしておこう。すなわち、ブレーキパイプのジョイントを軽く締めた状態にしておこう。写真16にマスターシリンダーを取り付けたところを示す。


写真16 マスターシリンダーを取り付けたところ

そして、写真17のようにブレーキパイプをうまく引き回して、両端のジョイントを締め付ける。締め付けトルクは9Nmだ。


写真17 ブレーキパイプの引き回し

さて、ブレーキタンクを取り付けるのだが、タンクを外すときにボルトを切ってしまったのでボルトがない。そこで、写真18のように、5×50mmのステンボルト、5×10のスペーサー、ワッシャを用意した。


写真18 用意したボルト等

これを使ってタンクを固定する。タンクは、写真19のような方向でマスターシリンダーに上から押し込む。


写真19 タンクを付ける方向

そして、写真20のように用意したボルトを取り付ければいい。


写真20 ボルトの取付

最後に写真21のようにバキュームホースを取り付け、ブレーキパイプを固定するブッシュを元に戻す。


写真21 バキュームホースと固定ブッシュの取付け

これでマスターシリンダーの交換作業は完了だ。あとはいつものようにタンクにブレーキフルードを入れ、キャリパーのブリーダーボルトを緩めてエア抜きすればいい。最初はマスターシリンダーやブレーキパイプにエアが入っているため、何度ブレーキペダルを踏んでもスカスカのままだが、そのうち、エアが抜けてくるとしっかりとした踏み心地になってくる。念のため、左後輪のキャリパーからはじめて、右後輪→左前輪→右前輪の順でエア抜きを2回実施した。

マスターシリンダー交換後は、ブレーキペダルを踏み続けても床まで沈んでいくことはなくなった。これで安心だ。



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