2018年3月3日(土)

DD2号 リアアッパーコントロールアームの交換 − グリス漏れ

車検の際に指摘されたのはフロント側のアームのブッシュの他に、リア側のアッパーコントロールアームもある。ボールジョイント側のブーツが破れ、グリスが漏れているようだ。図1に該当のリアアッパーコントロールアームを示す。


図1 リアアッパーコントロールアーム(19の部品)

実際のリアアッパーコントロールアームは、写真1の赤矢印のものだ。これは図1とは逆の右後ろ側だ。


写真1 右後ろのリアアッパーコントロールアーム

写真2のように、このアームにはブレーキパッドセンサー等のケーブルが付いているので、これらを外す。


写真2 アームに付いているケーブル類

ケーブルが外せたら、写真3に示す手前側のボールジョイントのナットを外す。このナットは21mmで165Nmで締まっているから結構固い。


写真3 ボールジョイントのナット

これはボールジョイントのナットなので、そのまま回せばボールジョイントの軸も共回りしてしまう。そこで、写真4のように10mmのソケットで軸を固定しながらナットを緩めていく。


写真4 中心軸を固定してナットを緩めているところ

ボールジョイント側のナットが外れたら、今度はブッシュ側のボルト・ナットだ。これは、写真5のように車体奥側にある。


写真5 ブッシュ側のボルト・ナット

このボルトもナットも18mmの大きさだ。E63の足回りは、16mm、18mm、21mmと、普通は持っていないサイズのオンパレードだ。何かのイヤガラセだろうか? ちなみに、この部分の締め付けトルクは100Nmだ。作業スペースが狭いので苦労しながらナットを外す。写真6にナットを外したところを示す。


写真6 ナットを外したところ

その後、写真7のようにリアの車軸をジャッキで多少上げる。


写真7 車軸を上げているところ

車軸を適当な高さに調整すると、ブッシュ側のボルトが簡単に抜ける位置がある。写真8にボルトを抜いたところを示す。


写真8 ボルトを抜いたところ

さらに車軸の高さを調整すると、写真9のようにブッシュを下に落とすことができる。


写真9 ブッシュを下に落としたところ

そうすると、写真10のようにリアアッパーコントロールアームを車体から抜き出すことができる。


写真10 リアアッパーコントロールアームを外したところ

外したリアアッパーコントロールアームを写真11に示す。写真のように、黒いプラスチックのケーブルホルダーが付いている。


写真11 外したリアアッパーコントロールアーム

今回は、下表のようなFEBI製の新品のリアアッパーコントロールアームを準備した。左右で若干価格が異なるのは謎だ。

パーツナンバー

価格

備考

33322347990

9,756円

FEBI製 右側(価格は一括購入した送料を均等配分した金額込み)
33322347991

9,682円

FEBI製 左側(価格は一括購入した送料を均等配分した金額込み)

写真12に新旧の比較を示す。


写真12 リアアッパーコントロールアームの新旧比較

古いリアアッパーコントロールアームに付いているケーブルホルダーを新しいリアアッパーコントロールアームに移設しなければならないので、写真13のようにケーブルホルダーを外す。


写真13 ケーブルホルダーを外しているところ

プラスチックが劣化しているため、パキッと折れてしまいそうだ。折れないようにロック部分に潤滑スプレーを塗って慎重に外そう。うまくケーブルホルダーが外せたら、写真14のように新しいリアアッパーコントロールアームに取り付ける。


写真14 ケーブルホルダーを取り付けたところ

ここまでできたら、写真15のようにリアアッパーコントロールアームを仮に取り付ける。ここでは、ナットを軽くかけるだけにしておく。


写真15 リアアッパーコントロールアームを車体に仮付けしたところ

このアームを取り付けるときには、いわゆる「ノーマルポジション」でナットを締め付けないといけない。ノーマルポジションは、大雑把に言うと車を平地に置いたときの状態だ。でも、車をジャッキから降ろしてしまうとナットを締め付けるスペースがないので、簡易的に車を平地に置いたときと同じ状態になるように、リアのスプリングを縮めた状態にしてナットを締める。どれぐらい縮めればいいかは、写真16に示すジャッキアップ前の車体の様子を見ればいい。


写真16 ジャッキアップ前

写真16の赤線は、ホイールの中央を通る線分である。すなわち、写真17のように、赤線分に該当するところにテープを車体に貼ってやり、そのテープに合うように車軸をジャッキアップすれば、おおよそノーマルポジションが再現できることになる。


写真17 ノーマルポジションの再現

この状態でナットを締める。ブッシュ側のナットは100Nm、ボールジョイント側のナットは165Nmだ。ナットを規定トルクで締め付けたら、写真18のようにケーブル類を元通りにケーブルホルダーに取り付ける。


写真18 ケーブル類を取り付けたところ

左右両方のリアアッパーコントロールアームを交換すれば作業完了だ。車体に付いていたリアアッパーコントロールアームは、写真19、20のように、ボールジョイントブーツがパックリ割れている。


写真19 リアアッパーコントロールアームのボールジョイントブーツ(左)


写真20 リアアッパーコントロールアームのボールジョイントブーツ(右)

この部分はDDもブレーキ等をメンテするときに見ていたのだが、ブーツが割れていることに気づかなかった。確かに、写真3を見てみるとブーツが割れているようには見えない。こんなところも見逃さないとは、さすがtake-M さんだ。



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