前回のレポートでフロントスラストアームを取り外したDD号だが、劣化したブッシュを新しいものに交換してから再度車両に取り付ける。ブッシュもBMW純正からサードパーティのものまで様々なものがあるが、今回は手堅く写真１に示すLemförderのものを購入した。
写真１ 購入したフロントスラストアームのブッシュ
部品番号(P/N)は31126765992、価格は二つで9,535円(送料込み)であった。このブッシュに交換するわけであるが、もちろんDDは自分ではできないので、苦しいときのtake-Mさん頼みだ。事前に予約したうえでアームとブッシュを持って行くと、快く交換していただいた。下記は交換作業の様子である。
まずは、写真２のようにブッシュの方向をアームとブッシュにマーキングしておく。
写真２ マーキング中
そして、写真３のようにして油圧プレスで古いブッシュを押し出す。
写真３ 古いブッシュを押し出しているところ
そして、新しいブッシュの方向をマークに合わせて押し込む。このとき、写真４のように事前に測った位置まで定規を使いながら正確に押し込む。
写真４ ブッシュを押し込んでいるところ
take-Mさんにかかれば、雑談しながらほんの15分ほどで作業終了だ。作業工賃は2,360円だった。なお、take-Ｍさんからは、取り付ける前にボールジョイントの軸を少し磨いておいた方がいいことと、ボールジョイントのグリスを入れ替えておいた方がいいことのアドバイスをもらった。写真５にボールジョイントの軸を示す。なんかずいぶん焼けているなぁ。
写真５ ボールジョイントの軸
写真６のように、これを600番のサンドペーパーで軽く磨いておく。
写真６ サンドペーパーで磨いているところ
その後、ボールジョイントのグリスを入れ替えるために、写真７のようにしてピックツールでボールジョイントブーツを留めているクリップを外す。
写真７ クリップを外しているところ
このブーツは単独では部品が出ないし同じ形状の汎用品もないので、ブーツが破れたらアームごと交換するしかない。だから、クリップの取り外しは丁寧に作業しよう。クリップが外れたら写真８のようにブーツをめくる。
写真８ ブーツをめくったところ
そして、写真９のように古いグリスを丁寧に拭き取る。異種のグリスが混じると良くないそうなので、完全に拭き取っておこう。
写真９ 古いグリスを拭き取ったところ
そして、写真１０のように新しいグリスをタップリ入れる。今回はモリブデングリスを使った。これって、何を入れるのが正解なんだろう？
写真１０ 新しいグリスを入れたところ
写真１１のようにブーツとクリップを戻して、はみ出たグリスをきれいに拭き取ったら交換完了だ。
写真１１ グリスを交換したところ
左右両方のアームのグリスを交換したら、アームを車体に取り付ける。写真１２のように、アームを元の位置に戻してボルト、ナットを軽く締める。ボルトがブッシュに通りにくい場合は、フロントの車軸をジャッキで上下させるか、ハンドルを少し左右に切れば簡単に入る位置がある。
写真１２ アームを戻したところ
これらのナットを締めこむには、いわゆる「ノーマルポジション」で締めこむ必要がある。ノーマルポジションとは、大雑把に言うと車両を水平に置いたときの重力が車軸にかかった状態だ。でも、タイヤを取り付けて車を水平に置くとナットを締めこむためのスペースがなくなるため、車軸をジャッキで上げてやることでノーマルポジションと同様の状態を作り出し、その状態でナットを締めこめばいい。どれぐらい車軸を上げてやればいいかというと、写真１３のジャッキアップしていない状態の車両の写真が参考になる。
写真１３ ジャッキアップしていないDD2号
この赤い線分は写真の上に車軸を通るように引いた線だ。写真１４のように、この赤線と同じようにテープを貼り、ジャッキで車軸を同じように持ち上げてやればいい。
写真１４ 車軸を持ち上げたところ
これでおおよそ「ノーマルポジション」が再現できたので、この状態でナットを締めこむ。まずは、写真１５のようにボールジョイント側のナットを締める。ここの締め付けトルクは、165Nmだ。
写真１５ ボールジョイント側ナットの締め込み
次に、写真１６のようにブッシュ側のナットも締めこむ。ここのトルクは100Nmだ。
写真１６ ブッシュ側のナットの締め込み
そして最後に、写真１７のように取り外したスラストアームカバーを取り付ければ作業完了だ。
写真１７ スラストアームカバーの取り付け
スラストアーム交換後、まだあまり距離を乗っていないが、直進安定性が増したような感じがある。DD2号もそろそろ9万kmなので、他のアーム類もそろそろ交換時期かもしれない。
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