2011年3月4日(金)

E90 ドリンクホルダーの修理 − ミッチョさんより

今回もミッチョさんより、ちょっと面白いレポートが送られてきたので紹介しよう。


E90のドリンクホルダーは、グローブボックスの上部に収納されていて、プッシュするとロックが外れて、ばねの力で写真のようにゆっくりと出てくる。


収納した状態


使用時

ところが、車の購入時から右側だけが出ない状態だった。E90の定番トラブルのようだが、新品部品は5,600円もする。これはなんとか修理で再生したいところである。E39のドリンクホルダーもそうだったが、あまりにも弱すぎませんか、BMWさん。

 

1 取り外し

化粧パネルははめ込んであるだけなので、引っ張るだけで外すことができる。


化粧パネルの取り外し1


化粧パネルの裏側

ドリンクホルダー本体は、左右2個のビスで固定されているだけなので、簡単に取り外すことができる。


ドリンクホルダーの取り出し

 

2 ドリンクホルダーの分解と故障箇所の特定

まずは外周の固定用爪を外していくと、ふたに当たる部分が外せる。


爪をはずしているところ

ふたを外すと、写真のような巻取り式のばねが外れてきた。このばねは、伸ばすと30cmくらいの長さがあり、結構な力で巻き取ろうとする力がある。本来は、このばねの端が写真の赤線の位置に伸ばされて固定されていなければならない。スライドしてせり出してくる部分が収納されているときはばねが伸びている。プッシュしてロックが外れると、ばねが巻き戻る力を利用してせり出してくる構造だ。


板ばね

スライド部分を分離するには、動作をゆっくりに制限するギアを取り外す必要がある。はめ込んであるだけなので、引っ張るだけで外すことができる。


ダンパー役のギアの場所


ダンパー役のギアを取り外したところ

次に抜け止めの2箇所のロックをドライバーでこじって外してやれば、スライド部分は抜き取ることができる。


抜け止めのロック爪


分解したところ

ばねの固定部分は、本来は切り欠き部分を差し込むだけで固定できるようになっているはずだ。しかし、きわめて薄いプラスチックで形成されているだけなので、折れてしまい、ただの穴になっていて固定ができない。常にばねの強いテンションがかかる部分がこれでは折れて当然である。この部分を補修してやることで修理は可能だ。


ばねの固定部分

 

3 固定方法の工夫

プラリペアなどで折れた部分の再生をすることも考えたが、また折れるに決まっている。ここは、金属を使いたいところだ。いろいろ考えた結果、写真のような特殊な金属棒を用意した。


固定用の金属棒

この特殊超合金の金属棒、別名を「ゼムクリップ」ともいう。この固定金具を下の写真のようにセットしてばねの端を固定する。


金属棒でばねの端を固定したところ

次にスライド部分を差し込んで、ふたをはめると、固定用の爪によって金属棒が固定される仕組みである。


ふたをして固定された様子

最後にダンパー役のギアをはめ込めば修理完了である。分解すると分かるが、スライド部分やばねにはグリスが塗布してある。このグリスを拭き取ってしまうと、スムーズに出てこなくなるので、組み立ての際にはスライドの抵抗になりそうなところには、少量のシリコングリスを塗布しておくとよい。

後は、取り外した逆の要領で車両にセットすればよい。こんな修理は、ディーラーでは絶対にやってもらえない。部品代+工賃で1万円近い出費となるはずだ。こういった細部のクオリティは、国産車に及ばないのが残念である。


ミッチョさんのレポートは、何か不具合があると、とりあえずその部分を分解してみるところが面白い。でも、まさらこんなものまで分解するとは・・・(笑)。

末尾ではあるが、いつも面白いレポートをいただいくミッチョさんに感謝する。



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