2011年2月20日(日)

E90 アディショナルウォーターポンプの修理 − ミッチョさんより

E90に乗り換えてもDIY絶好調な(?)ミッチョさんより、アディショナルウォーターポンプ修理のレポートをいただいたので紹介しよう。 ヒーターが不調な人は、一度チェックしてみる必要があるかも・・・?


ヒーターの効きが悪く、助手席側は温風が出るのだが、運転席側の温度が安定しない。十分な温風が出ず温まらないことが多いのだけれども、たまに温風が出ることもある。これは、足元だけでなくベンチレーター吹き出し口でも同じである。冬にこれではつらいので、まずは原因を探ってみることにした。

 

【エアコンの仕組み】

E90のエアコンシステムは基本的にE34やE39と同じ「リヒート式」である。エアーはすべて最初にエバポレーター(クーラーの熱交換器)を通過し、その後ヒーターコアを通過する。このクーラーの冷風とヒーターの温風をミックスして温度調節をする。

ダッシュパネル正面のベンチレーターの吹き出し口だけは、吹き出し口近くの温度調整ダイヤルによって、ヒーターコアだけをバイパスしたエアも出すことができる凝った構造だ。

E34 「オートエアコン温度調節の修理(1) トラブルシューティング編」にDOP-GUNさん提供の図がある。E90も基本的には同じ構造のようだ。

 

【考えられる故障箇所】

助手席側(左側)は温風が出て、運転席側が出ないという症状から考えられるものを、確認が容易なものから列挙してみた。

  1. ヒーターバルブの不良
  2. アディショナルウォーターポンプ(補助ポンプ)の不良
  3. 右側の温度調節フラップが十分に働いていない。
  4. エアコン制御コンピュータの不良
  5. エアコンコントロールパネルの不良
  6. ヒーターコアのつまり

まずは、アクセスが簡単な1,2番から確認をしてみることにした。

 

【ヒーターバルブ】

ヒーターバルブとはエアコンを最冷のポジションで作動させたときに、暖かい冷却水が車内のヒーターコアに流れていかないようにする電磁弁である。E34のメンテナンス記事に、ヒーターバルブの修理記事が複数ある。E34やE39の場合、この電磁弁は左右独立していて、やはり左右独立しているヒーターコアへ送る温水を制御している。したがって、ヒーターバルブの不良はエアコンに左右の温度差が出る原因のひとつである。

ところが、E90のヒーターコアまでの冷却水系統を調べると、ヒーターバルブらしきものが存在しない。構造を調べると、次の図のようになっていた。


ヒーターへの冷却水系統

ヒーターバルブはなく、ヒーターコアもシングルである。ヒーターパイプの途中にあるのは、温水をヒーターコアに送るアディショナルウォーターポンプ(補助ポンプ)だけである。5シリーズと比べると、ずいぶんとシンプルな構造である。冷房をするときに温水の遮断はどのようにしているのだろう。

 

【アディショナルウォーターポンプ】

次にアディショナルウォーターポンプの動作を調べてみた。
全オーナーから受け継いだ、前回の車検見積もりには、ダイアグノーシス診断に「アディショナルウォーターポンプの故障履歴あり」の記載があったので怪しい部分である。


アディショナルウォーターポンプの取り付け場所

この補助ポンプは、フェンダー部分の切り欠きに3個のゴムブッシュで引っ掛けられているだけで、ビスなどで固定されてはいない。2Pのコネクタを抜き、ホースバンドを緩めてINとOUTの2本のホースを抜き、上方に引き上げるだけで外すことができる。


ホイールハウス側からみたポンプの取り付け部


アディショナルウォーターポンプ(1)


アディショナルウォーターポンプ(2)

取り外したポンプに安定化電源を接続してみると・・・回らない。電流計も振れないので、断線か接触不良だと思われる。こういうときは、叩いてみるに限る。すると、やはり回りだした。

その後何度もテストすると、たまに回転するくらいでほとんど自力では回らない。しかし、叩くと回転し始めるという状態であった。どうやらこれがトラブルの原因のようだ。このポンプ、新品は24,000円もするので、ダメモトで分解してみた。


ポンプ部分の分離

ポンプ部分は4本のビスでモーターに固定されている。分離した様子が上の写真である。ポンプの回転部分とモーターは直接つながっておらず、ポンプ部分は密閉されている。モータに取り付けられたカップ状の磁石の磁力で、ポンプ内部のフィンを回転させる構造だ。

モーター単独で回しても症状は変わらない。しかも、叩くとカップ状磁石の隙間から、カーボンの粉がバラバラと落ちてくる。ドライバーの柄で叩いては回転させることを繰り返すと、下の写真の2倍ほどの黒い粉が出てきた。


モーター内部から出てきたカーボンの粉

どうやら、カーボンブラシの磨り減った粉の堆積で、接触不良を起こしてモーターが止まっていたようだ。カーボンが出てこなくなるまで叩く・回すを繰り返したところ、止まることはなくなった。

モーター自体を分解しようとも思ったが、ボディの鉄板をかしめて固定してあるし、分解したところで、替えのブラシがあるわけでもないので断念した。これは、交換部品を入手して後日交換しようと思う。

ポンプを元通りに取り付け、少し流れ出たクーラント分を補充してモーターの回転を確認してみる。長めのドライバーをモーターに当て、反対側を耳に当ててみると力強い回転音が聞こえてきた。その後、エア抜きをしてヒーターの温まり具合を確認してみると、以前とは全く違って、ちゃんと左右とも温風が出てくるようになった。

ヒーターコアがシングルなのに、助手席は温風が出て運転席は出ないので、てっきり温度調節機構の不良だと思っていた。しかし、ヒーターコアの温水の入り口が右ハンドル車の助手席側にあるため、助手席側は運転席側よりヒーターコアの温度が高かったためだと思われる。

 

【感想】

技術的に難しいことではないが、このような小さなポンプの動作まで、コンピュータに故障履歴が残ることに少々驚いた。また、3シリーズは5シリーズより各所でシンプルな作りになっていることが良く分かった。


壊れた部品があると、とりあえず分解してみるミッチョさんって・・・?(笑)。でも、それで修理してしまうのが凄いところだ!

末尾ではあるが、いつも有用なレポートをいただいくミッチョさんに感謝する。


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