2006年4月29日(土)

水回りの交換 − ラジエター、ウォポン、サーモ他

DD号も10万キロを越え、そろそろ水回りが心配になってきた。それに、サーモスタットは既に開固着しているので近いうちに交換しないといけなかった。

そこで、この際、ラジエター等のエンジンルーム前方にある水回りを交換することにした。交換する部品はラジエターの他に図1〜図3の赤色で示す部品である。


図1 ラジエター周辺


図2 ウォーターポンプ周辺(95年式M50では[7]を使用しない)


図3 アッパー&ロアホース

上記の図は95年式M50エンジン(525i)のものである。年式やエンジン形式によりラジエターの形やサーモスタット周りが違うので注意が必要だ。

では、95年式M50エンジン(525i)の場合の作業手順を紹介しよう。


(1)冷却水を抜く

写真1の赤矢印の先にあるホースクランプを緩めて、ロアーホースのラジエター側を抜く。


写真1 ロアホースのラジエター側のホースクランプ

写真2のようにして、マイナスドライバーでホースクランプを緩めてやると、写真3のようにホースが抜ける。


写真2 ホースクランプを緩めているところ


写真3 ホースを外したところ

冷却水が抜け始めたら、写真4のようにリザーバータンクのキャップを外してやる。


写真4 リザーバータンクのキャップを外しているところ

上記では、ロアーホースを外して冷却水を抜いたが、もちろんラジエターのドレインプラグを外して抜いてもいい。ただ、ドレインプラグはプラスチックなので、取り外し、取り付けは注意すること。

(2)クーリングファンとファンシュラウドを外す

クーリングファンは写真5のようにウォーターポンプの軸に32mmのナットで固定されている。


写真5 ウォーターポンプの軸に固定されているクーリングファン

これを外すには、写真6のような工具が必要だ。


写真6 クーリングファンを外す工具

これは、作業をご指導いただいているboven7さんにお借りしたものだ。

写真6の下側の棒状のものを使ってウォーターポンプの軸を回らないように固定し、写真7のように、大きな薄いレンチ(32mm)でクーリングファン(ファンカップリング)を時計回りに回してやればいい。逆ネジになっているので注意すること。


写真7 クーリングファンを外しているところ(1)

少しでも緩んでしまえば、写真8のようにファンを手で回すことで、ネジを外すことができる。


写真8 ファンを手で回しているところ

ファンが外れてもファンシュラウドを外すまでは外に出すことができない。ファンシュラウドを外すには、ファンシュラウドの上側左右に付いているプラスチックピン(プラスチック製のリベット)を外す(写真9)。


写真9 ファンシュラウドを固定しているプラスチックピン

このピンを抜くためには、写真10のようにピンの裏側(車体前方側)からドライバーのようなものでピンの中心を押し出してやればいい。


写真10 プラスチックピンの中心を押し出しているところ

少し見にくいので、写真10を拡大したものを写真11に示す。


写真11 プラスチックピンの中心を押し出しているところ(拡大)

うまく押し出してやれば、写真12のようにピンの中心が抜けるはずである。


写真12 プラスチックピンの中心を抜いているところ

左右のプラスチックピンが抜けると、写真13のように、クーリングファンとファンシュラウドを同時に上に外すことができる。


写真13 クーリングファンとファンシュラウドを外しているところ

(3)アッパーホースとロアーホースを外す

まず、写真14のようにアッパーホースのラジエター側のホースクランプをマイナスドライバーで緩める。


写真14 ホースクランプを緩めているところ

そして、写真15のようにアッパーホースをラジエターから引き抜く。


写真15 アッパーホースを引き抜いたところ

同様にして、写真16のようにアッパーホースのサーモスタット側のホースクランプを緩める。


写真16 ホースクランプを緩めているところ

すると、写真17のようにアッパーホースが外れる。


写真17 アッパーホースを外したところ

アッパーホースが外れたら、作業スペースを確保するため、写真18のエアダクトを外しておく。


写真18 エアダクト

エアダクトは、左側ヘッドライトカバーの方を先に上側に抜き、次に後方を抜けば、写真19のように外すことができる。


写真19 エアダクトを外したところ

エアダクトが外せたら、ラジエターの左下にあるホースを外すため、写真20のホースクランプを緩める。


写真20 ホースクランプを緩めているところ

このホースクランプには手が届きにくいのだが、エアダクトを外していると、写真21のように作業スペースが確保できる。このとき、近い位置にある水位センサーのコネクタも外しておこう。


写真21 エアダクトを外して作業スペースを確保

このホースを外すと、写真22のように冷却水がホースから出てくる。


写真22 ホースから冷却水が出てくる

ラジエターの右側にあるロアーホースも同様にして外しておく。

(4)ラジエターを外す

ラジエターを外すには、写真23のようにラジエター左右両側上部にある2箇所のプラスチック製のクリップを外す。


写真23 クリップを外しているところ

このクリップは、上部の穴にマイナスドライバーを入れ、@下向きに力を加えながら、Aドライバーを前向きに倒すと外れる。クリップの形状からすると、ドライバーを後ろ向きに倒してしまいそうになるが、後ろ向きに倒すとクリップが割れてしまうので注意が必要だ。プラスチックが硬化しているので、この際、このクリップも交換していくといいだろう。

そして、右側のヘッドライト裏側にあるカバーを外して、ファンスイッチ(テンプスイッチ、テンプセンサー)のコネクタも外す。

ラジエターを上向きにゆっくり引くと、ラジエターを少し引き出すことができる。95年式M50エンジンの場合は、写真24のように、ラジエターの前方にトランスミッションのオイルクーラーが付いているので、ラジエターを取り出すためにはこれも外さなければならない。


写真24 ラジエター前方に付いているオイルクーラー

オイルクーラーは、上部に2箇所、下部に2箇所でネジ留めされている。まずは、写真25のように手を下に入れて下部のネジの位置を確認しよう。


写真25 下部のネジの位置を確認しているところ

そして、8mmのソケットレンチを使って、写真26のように下部のネジ2本を外す。作業スペースがあまりないので、ちょっと難しい。


写真26 下部のネジを外しているところ

下部のネジが外れたら、写真27のように上部のネジ2本を外す。上部のネジも下部と同様に8mmのソケットレンチを使って外す。


写真27 上部のネジを外しているところ

上下4本のネジを外すと、写真28,29のようにラジエターを外すことができる。


写真28 ラジエターを外したところ(1)


写真29 ラジエターを外したところ(2)

なお、外したオイルクーラーは針金等で車体に固定しておく。

(5)Vベルトを外す

ラジエターが外れたら次にVベルトを外す。まず、写真30のプーリーの蓋を外す。


写真30 プーリーの蓋

これがテンションプーリーになっており、Vベルトに張力を与えている。このプーリーを動かすため、写真31のようにプーリーの中心をレンチで締める方向に力を加える。


写真31 テンションプーリーを動かしているところ

こうすると、テンションプーリが動いてVベルトを外すことができる。Vベルトは複雑な取り付け方なので、外す前にどのように付いているのかをしっかりと憶えておこう。

Vベルトが外れたら、ウォーターポンプの先(クーリングファンの根元)に付いているプーリーも外す。このプーリーは写真32のように4つのボルトでウォーターポンプに固定されているので、写真6で示したSSTを使ってウォーターポンプが回らないように固定しながら、ソケットレンチで4本のボルトを外せばよい。


写真32 ウォーターポンプの先に付いているプーリーを外しているところ

4本のボルトを外してプーリーが外れると、写真33,34のようにウォーターポンプが見えるようになる。


写真33 プーリーを外したところ(1)


写真34 プーリーを外したところ(2)

(6)サーモスタットとウォーターポンプを外す

まず、サーモスタットのハウジングを外す。写真35の上の矢印のボルトを少し緩め、下側の矢印のボルトを外す。この2本のボルトは13mmである。


写真35 サーモハウジングのボルト

そして、サーモハウジングを固定している他の3本のボルトを外すと、サーモハウジングが外れる。これらのボルトは10mmである。写真36にサーモハウジングを外したところを示す。


写真36 サーモハウジングを外したところ

95年M50エンジンのサーモハウジングはプラスチック製だ。サーモハウジングが外れれば、サーモスタットが見えるので、これを外してやる。固着していて外しにくい場合は、マイナスドライバー等でこじってやると外れるはずである(再利用する場合は壊さないように注意すること)。

写真37に外したサーモスタットと新品のサーモスタットを示す。


写真37 外したサーモスタット(左)と新品のサーモスタット

新品のサーモスタットは少し形が違うようだ。ついでに、図2の[8]のシールリングも外しておく。ちなみに、95年M50エンジンはガスケットではなく、このシールリングが付いているので、これも新品に交換しておこう。

サーモスタットが外れたら、ウォーターポンプを外す。ウォーターポンプは4つのナットで固定されているので、写真38のように4つのナットを外す。


写真38 ウォーターポンプのナットを外しているところ

ウォーターポンプのナットが外れても、ウォーターポンプは外れてこないだろう。そこで、写真39のようにウォーターポンプの左右にあるネジ穴に、サーモハウジングを固定していたボルトをねじ込んでやる。


写真39 サーモハウジングを固定していたボルトをねじ込んでいるところ

写真40のように、このボルトを左右均等にゆっくり締め込んでいくと、ウォーターポンプが徐々に浮いてきて外れてくる。


写真40 ボルトを締め込んでいるところ

写真41にウォーターポンプが外れたところを示す。


写真41 ウォーターポンプが外れたところ

写真42に外したウォーターポンプと新品のウォーターポンプを示す。


写真42 外したウォーターポンプ(右)と新品のウォーターポンプ

新品のウォーターポンプは、写真43のようにハネが金属の鋳造でできている。


写真43 新品のウォーターポンプのハネ

聞くところによると、ウォーターポンプには

(1)プラスチックのハネのもの
(2)金属の鋳造のハネのもの
(3)金属の溶接(?)のハネのもの

の3種類があるらしい。一般的には金属のハネのものの方がいいと聞いたことがある。

(7)ウォーターポンプとサーモスタットを取り付ける

新品のウォーターポンプにOリングを入れて、エンジンに取り付ける。写真44にウォーターポンプを取り付けているところを示す。


写真44 ウォーターポンプを取り付けているところ

4本のナットを締めるときは、均等に10N・mのトルクで締め付ける。写真45にトルクレンチで締めているところを示す。


写真45 トルクレンチでナットを締めているところ

ちなみに、10N・mはかなり小さいトルクなので、あまり安物のトルクレンチでは測れないかもしれない。

ウォーターポンプを取り付けたら次はサーモスタットだ。まずは、写真46、47のようにエンジンとサーモハウジングの接触面を綺麗にしておく。


写真46 エンジンとサーモハウジングの接触面を綺麗にしているところ(1)


写真47 エンジンとサーモハウジングの接触面を綺麗にしているところ(2)

取り付け時に必要なものは、写真48に示すように、液体パッキン、新品のシールリング、新品のサーモスタット(Oリング付き)である。


写真48 液体パッキン(左)、シールリング(中央)、サーモスタット(右)

写真49のように、サーモハウジングの接触面を綺麗にしてから薄く液体パッキンを塗り、新品のシールリングをセットする。


写真49 サーモハウジングの接触面

一方、新品のサーモスタットは、写真50のようにエンジン側にセットする。サーモスタットには上下の向きがあるので注意すること。通常、上側には矢印が付いていたり、「UP」と記載されていたりする。


写真50 サーモスタットを取り付けているところ

サーモスタットをセットした後、サーモハウジングを取り付ける。なお、サーモハウジングのボルトもウォーターポンプと同様にトルクレンチを使って10N・mで締め付ける。写真51にサーモハウジングを取り付けたところを示す。


写真51 サーモハウジングを取り付けたところ

(8)Vベルトを取り付ける

一旦外したVベルトを取り付ける。まず、ウォーターポンプの先端に付いていたプーリーを4本のボルトでウォーターポンプに取り付ける。

Vベルトを取り付ける場合は外したときと同じで、写真52のようにしてテンションプーリーを少し動かしてやればいい。


写真52 テンションプーリーを動かしてVベルトを取り付けているところ

(9)ラジエターに水位センサーとファンスイッチを取り付ける

新品のラジエターには水位センサーとファンスイッチが付いていないので、これらを取り付ける。

水位センサーはリザーバータンクの下側に取り付けるが、新品のラジエターには、写真53のように水位センサーが取り付けられるべきところに栓がしてあるので、これを外して水位センサーを取り付ける。


写真53 水位センサーの取り付け

水位センサーを再利用する場合には、Oリングを新品にしておくこと。新品の水位センサーには既にOリングが付いている。

一方、ファンスイッチは写真54の位置に取り付ける。新品のラジエターの場合には、ここも栓がしてあるので、栓を外して新品のファンスイッチを取り付ける。


写真54 ファンスイッチを取り付ける位置

写真55にファンスイッチを取り付けたところを示す。


写真55 ファンスイッチを取り付けたところ

(10)ラジエターを取り付ける

ラジエターを取り付ける前に、オイルクーラーを固定するネジの受け側(プレートナット)を古いラジエターから取り外し、新しいラジエターに移植しておく。写真56に4つのプレートナットの位置を示す。


写真56 4つのプレートナットの位置

ラジエターを取り付けるときには、ラジエターのフィンを傷つけないよう、写真57のように段ボールでエンジン側から保護しておこう。


写真57 段ボールでフィンが傷つかないように保護する

ラジエターを車体に入れたら、写真58のようにオイルクーラーを取り付ける。


写真58 オイルクーラーを取り付けたところ

オイルクーラーの取り付けは、特に下側のネジを取り付けるときに作業スペースが少ないのでちょっと難しい。

オイルクーラーを取り付けたら、ラジエターを上から差し込むようにして車体に取り付ける。ラジエターの左右にラジエターを支えるゴムがあるので、これを車体の所定の位置に合うように取り付ければいい。

そして、古いラジエターから写真59に示すゴム(クリップのためのラバーマウント)を移植する。できれば、これも新品にしておいたほうがいいだろう。


写真59 ラジエター上部のゴム

写真60のように、このゴムの上にプラスチック製のクリップを取り付け、ラジエターを固定する。


写真60 クリップを取り付けてラジエターを固定しているところ

(11)その他の部品を取り付ける

ここまでできれば、後は取り外した部品を順に取り付けていけばいい。

取り付けるものは、水位センサーのコネクタ、ファンスイッチのコネクタ、ホース類、ファンシュラウド、ファン等である。できれば、アッパーホースとロアーホースも新品に交換しておきたい。

(12)冷却水を入れる

最後に冷却水を入れる。写真61のようにアッパーホースのラジエター側を外し、リザーバータンクからしばらく水を流し続けるとアッパーホースから水が出てくるはずである。


写真61 水を入れているところ

出てくる水が綺麗になったら、アッパーホースを外したまま冷却水をゆっくり入れる。写真62に用意した冷却水を示す。


写真62 用意した冷却水

写真63のようにこの冷却水をリザーバータンクから入れる。今回は1.5リットルのボトルを2本入れた。


写真63 冷却水を入れているところ

最後にアッパーホースを接続して、エア抜きすれば完成である。エア抜きの詳しい手順は「ヒーターバルブ修理 − その3」を参照のこと。

 

写真64、65、66に水回りを交換したDD号のエンジンルームを示す。


写真64 水回りを交換したDD号のエンジンルーム(1)


写真65 水回りを交換したDD号のエンジンルーム(2)


写真66 水回りを交換したDD号

見た目だけから言うと、少しラジエターの上側が綺麗になったかな? という程度で、交換前と何ら変わりはなさそうに見える(笑)。

水回り交換後、数日経ってから水漏れがないかどうかをチェックしたが、今のところどこからも水漏れはなさそうだ。また、水温も写真67のように安定している。


写真67 安定している水温

なんとかうまく交換できたようだ(嬉)。boven7さんに感謝!感謝!である

今回、交換した部品は以下の通りだ。

品 名 部品番号 価 格 備 考 (G番号はIPSの品番)
ラジエター 17 10 1 728 769 $190.00 Radiator (Behr)G1000-52979
(Behr製を指定すること)
アッパーホース 11 53 1 720 678  $15.00 Radiator Hose(Upper) G2000-37264
ロアーホース 11 53 1 722 852 $15.00 Radiator Hose(Lower) G2000-37263
サーモスタット(92℃) 11 53 7 511 083 $20.95 Thermostat 92CEL
Oリング付き
ウォーターポンプ 11 51 7 527 910 $45.56 Water Pump(Metal Impeller)
メタルフィンのもの Oリング付き
レベルセンサー 61 31 1 384 739 $15.54 Coolant Level Sensor G1050-31802
Oリング付き
リザーバータンクキャップ 17 11 1 742 231 $8.7 Expansion Tank Cap G1040-67050
ファンスイッチ 61 31 1 378 073 $22.50 Auxiliary Fan Switch G5030-21136
ホースクランプ(2個) 07 12 9 952 121 $1.45 Hose Clump (価格は2個)
交換しなくてもよい
サーモスタットシールリング 11 53 1 740 437 231円 ディーラーで購入
冷却水(1.5L×2本)   4,100円 take-Mさんで購入

今回は交換してはいないが、交換した方がいいもの

品 名 部品番号 価 格 備 考
ラジエターアッパーホルダー 17 11 1 712 660 231円/個 ラジエター上部にあるクリップ
(2個必要)
ラジエターラバーマウント 17 20 1 719 414 147円/個 クリップ下にあるゴム
(2個必要)

 

今回の作業はboven7さんのご厚意により、作業方法を教えてもらいながら行った。また、ファンを外すSSTや作業場所もboven7さんにお貸しいただいた。末尾ではあるが、交換作業をご指導いただいたboven7さんに感謝する。


■ E34のパーツ ■    ■ E39のパーツ ■    ■ E60のパーツ ■
■ E46のパーツ ■    ■ E90のパーツ ■    ■ F30のパーツ ■


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