2003年6月17日(火)

ウィンドウフィルムの分析 − とあーる氏から

以前に「フィルム貼り − フロントのサイドウィンドウ」と題して、フロントウィンドウに赤外線・紫外線カットの透明のフィルムを貼ったことを紹介した。その際、友人の「とあーる」氏にフィルムの分析をお願いしていたのだ。

先日、とあーる氏から分析結果を受け取ったので、紹介しよう。なお、文章はすべてとあーる氏のものである。


DDさま
とあーるでございます。ご無沙汰しております。最近は何かと忙しく、命令ご依頼のあったモールの分析やウィンドウフィルムの解析をさぼってしまい大変恐縮です。しかし、こんなことではいかん!もっと趣味にも力を入れねばいい仕事もできん(はず)!と改心し、今ここに長年の沈黙を破りまずはウィンドウフィルムの解析を行った次第です。内容はDDさまのいい加減で定性的で分かりやすいものとは大幅に異なり、若干分かりにくくになるかもしれませんが、ご了承ください。

さて、早速本題ですが、2003年5月2日のフィルム張りの時に、分けてもらったフィルムの一部を使って分光分析を行いました。分光分析というと難しく感じるかもしれませんが、まあどの波長の光をどのくらい吸収しているかを測っただけです。

使用した装置について説明いたします。最近はどの家庭にでも電子レンジなみに普及していると言われている分光光度計ですが、今回はたまたま高性能なものが落ちていたのでそれを使用することにいたしました。図1をご覧ください。


図1:たまたま拾った分光光度計

これはパーキンエルマージャパン社のラムダ900というもので、175〜3300nmという紫外〜赤外領域まで測定が可能です。迷光も少なくて感度も良くこんなものが落ちているとは不況とはいえ良い世の中になったものです。まともにかえば、330iの新車が2台くらい買えますが、こんな物が落ちているとは良い世の中に・・・(しつこい?)

で、こいつをつかって、まずは以下の二つの材料でテストをしてみました。

図2:セロハンテープとそれをマジックで赤く塗った物

見てお分かりの通り、セロハンテープとマジックを使って赤く塗ったセロハンテープで、まずはちゃんと測定できるかどうかを測ったのです。

結果はこうなりました。


図3:セロハンテープの測定結果

グラフの見方ですが、横軸が波長です。上の方にそれに対応した色を書いています。また、縦軸は吸収の度合いですが分かりにくいので、上に行くほど吸収が大きいとだけご理解ください。DDさまもよくご存じの通り、物体が赤色に見えると言うことは、その物体が赤色以外の光を吸収し、赤色の光だけが透過もしくは反射しているということです。図でセロハンテープの結果を見るとほとんど吸収がないにもかかわらず、同じセロテープで赤いマジックを塗っただけで、黄色からほぼ紫になるくらいまでの光が吸収されていることが分かります。(当たり前といえば当たり前の結果ですが、とあーるは測定後基礎的な事実を目の当たりにし、結構感動してしまったことはここだけの秘密です。)

ちなみにセロハンテープは赤色はもちろん赤外線も吸収していないことは一目瞭然ですね。(瞭然じゃないって?)紫外線のところで、すごく吸収しているように見えますが、この辺の領域は装置の感度が高すぎてあまり当てになりません。

で、装置がうまくはかれていることが分かったところで、以下の材料について測定を行ってみました。

図4:測定された試料たち

まずは、ゴミ袋に使われている透明なビニールでです。また、コンビニの袋も測定してみました(よく見ると測定用に切り取っていることが分かりますね!)後は、写真はありませんが、車のガラスを模したガラスとDDさまから押しつけられたいただいたフィルムです。(写真がなくてすいません)

で、結果がこちらです。


図5:実験結果

結果から申し上げますと、大変言いにくいのですが、DDさまのフィルムはそれほどは赤外線を吸収していないように見受けられます。いやいや、希望は捨てないでください、透明ゴミ袋ガラスよりかは有意な範囲で赤外線を吸収していることは確からしいです。あと、今回は波長を1000nmまでしか測定しておりませんが、どうもそれ以上の波長域で増加している風にもとれなくないので、今後の追加調査にご期待ください。

ただ、400nm以下の紫外領域に関しましては、装置の感度の問題を考慮してもかなりの割合で吸収をしているようですので、奥様やお子様の日焼け対策には大変有効かと思われます。

ちなみにコンビニ袋は大変優秀な成績を修めておりますが、これは炭酸カルシウムを含んでいること(白色化していますよね)が原因の一つです。けっして、「とあーるさま、今度是非コンビニ袋をウィンドウに張るから手伝ってください!」なんてメールをよこさないでください。もちろん、どうしてもと言われれば、粉骨砕身にして心を込めて手伝わさせていただきたいと思います(嘘)。

実際には測定した材料が厚さが異なるために、測定した結果を直接比較することは好ましくありませんが、DDさまのフィルムよりかなり分厚いガラスと比較してすら、DDさんのフィルムは高い紫外線吸収能力を示したことは注目に値すると思います。

追伸:
 JGさま、ファルコンさま、KAZE34さま、ご無沙汰しております。とあーるはとあーるプライベートな事情により昨年と今年にかけてなかなか顔を出せませんでした、今後BMW購入は相当難しくなっていく気配が濃厚なのですが(詳しくはDDさまより伺ってください (Y_Y))、これから折を見て顔を出していければと思っておりますので、どうぞ優しく迎えていただければと思っております。


以上、とあーる氏によるウィンドウフィルムの分析であった。

とあーる氏の分析結果によると、紫外線はともかく、赤外線はほとんど吸収されていないようだ。おいおい、これはどういうことだ、「東レ」! たしかにガラスよりはマシかも知れないが、これで「断熱」と言えるのか?



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