2003年1月3日(金)

キーレス取り付け − ローコストキーレスの改造

車を日本に置き去りにして半年以上が過ぎた。さすがに手元に車がないと「メンテナンス記録」は書きようがない(笑)。かといって、何も更新しないのも気が引けるので、半ばヤケクソで無理矢理更新している。


以前に、KAZE34さんの車にキーレスを取り付ける機会があったので、今回はその様子について報告する。

KAZE34さんから依頼を受けたキーレスは、JC Whitney等で売っているキーレスエントリーで「VALIANT」というメーカーの「2RTA」というモデルである。実は、その前にJG@げんこさんの車にこのキーレスを取り付けたことがある。KAZE34さんは、このキーレスを4,000円ほどで手に入れたらしい。送信機はキー一体式ではないが2つ付属しており、到達距離も長くなかなかよくできた製品である。このキーレスを写真1に示す。


写真1 VALIANTの「2RTA」(送信機は2つ付属している)

残念ながら、このキーレスにはロック・アンロック時にハザードが点灯するアンサーバック機能が付いていない。そこで、このキーレスを改造して、三三七拍子仕様にしてみることにした。これで、三三七拍子仕様のキーレス装着車がまた1台増えることになる(笑)。

まず、受信機のケースを開けてみると、写真2のような基板が入っていた。


写真2 受信機の基板(表)

受信機の基板には、写真2のように3個のリレーといくつかのICや電子部品が搭載されている。リレーは、ロック用、アンロック用、およびトランクオープナー用である。たま、高周波関係(電波受信部)は小基板になっていてコネクタで本体の基板に接続されている。基板を裏から見ると、写真3のようである。


写真3 受信機の基板(裏)

まずは、小基板を外して、以前に作成したPICチップを写真4のように基板に両面テープで接着する。プログラムのバージョンはRev.0.5のものである。


写真4 PICチップを両面テープで接着したところ

写真4の赤矢印で示した部分が基板上に接着したPICチップである。

次に、PICチップを配線する。PICチップのピン番号と基板上の接続点との関係を写真5に示す。


写真5 PICチップのピン番号と基板上の接続点との関係

写真5の「NC」「6」「7」は、大きなICをソケットから抜いて該当するピンを水平に曲げて、再度ソケットに挿入し、その足に接続する(「NC」は水平に曲げるだけで何も接続しない)。また、「5」「2」「3」は、基板の裏側から配線する。配線したところを写真6、写真7に示す。

 
写真6 PICチップを配線したところ(基板表)  写真7 PICチップを配線したところ(基板裏)

これで、高周波関係の小基板をもとに戻すとキーレス受信機側の改造は完成である。もちろん、基板はケースに戻しておく。

次に、受信機側の配線ケーブルを加工して、表1のように配線できるようにする。特に、オレンジのラインにはダイオードを2つ接続して、左右のウィンカーラインへ接続できるようにしておく。これによりロック時・アンロック時にハザードが点滅するようになる。

表1 キーレス受信機の配線

キーレス受信機 車両側配線

備考

常時12V電源
青/赤/黄 アンロック線
白/赤/黄 ロック線
オレンジ 青/緑 ダイオードを介してウィンカー線へ
青/茶 ダイオードを介してウィンカー線へ
GND
その他 配線せず(短く切って絶縁処理する)

このように加工した配線ケーブルを写真8に示す。


写真8 加工した配線ケーブル

後は、このケーブルを車両側に配線するだけである。

リアシートを取り外すと、左側に写真9のような黒い箱が見える。


写真9 リアシートしたの黒い箱

写真9の赤矢印で示したところに10mmのプラスチックナットがある。これを外すと写真10のように黒い箱の固定が外れる。


写真10 黒い箱の固定を外したところ

黒い箱の下の方を見ると黄色いコネクタが見える。このコネクタから、「青/赤/黄」(アンロック線)と「白/赤/黄」(ロック線)の線が出ているので、それをキーレス受信機の配線ケーブルの「緑」と「黄」に接続する。私は、車両側の配線を切断して、両端にキボシ端子のオスとメスを接続し、その一方にキーレス受信機の配線ケーブルを併せて接続することで、車両側の配線にキーレスの配線を割り込ませている(写真10参照)。割り込みコネクタで割り込ませてもいいのだが、車両側の配線が細いため、うまく接続できないことがあるので、割り込みコネクタを使用する場合には注意が必要だ。


写真11 ロック線とアンロック線の接続

同様にして、ウィンカー線を接続する(2本)。また、+12V電源は割り込みコネクタで、GNDはU型端子で、それぞれ車両側の赤線、およびシャーシに接続する。そして、配線ケーブルをキーレス受信機に接続すれば完成である。完成したところを写真12に示す。


写真12 キーレス受信機を接続したところ

なお、アンテナ線は1mほど延長して、リアシートの背もたれの後ろに入れている。こうするとキーレスの到達距離が長くなるようである。これはJG@げんこさんからいただいたアドバイスである(感謝!)。実際に試してみると、30m以上離れたところからでも、ロック・アンロックが可能であった。それ以上の距離は試していないので、実際の到達距離がどれぐらいなのかはわからない。

ちなみに、改造したキーレスの機能は、以前に報告したものと同様である。

キー一体式のキーレスでなくてもいいという方には、このキーレスはコストパフォーマンスが高くお勧めである。PICチップさえ用意できれば上記のような改造も比較的簡単である。

今回は、KAZE34さんのご好意により、このようなキーレスの改造の機会を与えていただいた。おまけに、お昼のお弁当やジュースまでごちそうになった。ここに深く感謝の意を表す。



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