2001年9月28日(金)

キーレス取り付けレポート − Hさんより

インターネット上でお知り合いになったHさんよりキーレスエントリーの取り付けレポートが届いた。原文のまま掲載させていただく。このレポートは、以前に私がHさんにお願いしていたものである。面倒なレポート執筆を快く引き受けていただいた。


「文系でもできた!キーレス取り付け(あたりまえか〜)」 Reported by Hさん
車種 E34 525TR 96年登録(95年式)

●いままでのあらすじ

1.7月上旬(第1回目)

(1) BMW関連のBBSでキーレスの改造例を読み、カンタンそうなので取り付けを考える。どうもツーフィットなるものが評価が高いらしいので、ネットで発注。同時にBBSのキーレス関連リンクをたどってDDさんのメンテナンス記録にたどりつく。構成・画像・文章ともに一番精度が高いと思われたので、以後参考のためのバイブルとさせていただく。

(2) 作業場所を確保し、熱中症防止のため夕方作業を開始。リアシートをうんとこしょとはずした瞬間、リレーボックスそばの配線の束のあまりのボリュームに圧倒され、しばし呆然となる。中央側の束から丹念に1本1本見ていくが、メンテナンス記録のログと一致するコードがなかなか見つからない。これは無謀な試みだったか?後悔の念とともに目の前が真っ暗になる。と思ったらいつの間にか夜になっていた。すごすごと撤退。

〔敗因〕
・初見のためシート下のメカメカしい雰囲気に呑まれてしまった(誤配線の結果が予測できない惧れ)。
・12V線(赤もしくは赤黒)が複数発見され、どれにつなげばいいか確証が持てなかった。
・ロック線らしきものを発見したが、「白い線に赤い線と黄色の点々マーク」のはずなのに、他の白い線たちとくらべると、白というより「灰色がかった白」に見え、これもいまいち確証が持てなかった。

 

2.7月中旬(第2回目)

思い余ってDDさんにメールをお送りし、あれこれご教授いただく。勇気付けられてリアシートをひっぺがす。今回は緊張感をほぐすため、あれこれ見て触って馴染むことを第一の目的とする。と同時にキーレス本体の位置決めやコードの取り回しを仮に行い、日没とともに撤退。部屋でコネクタの結線や絶縁処理等の下準備を行った。

 

●ここからが本番

3.9月16日(第3回目)

(1) 涼しくなってきたので作業を再開する。なんと2ヶ月ぶり。その間ずっと横目でキーレス一式を眺めながら、イメージトレーニング(!)に励んでいたので、もうずんずん作業は進む。遠慮なくコードの束に指を突っ込み、ぐいぐい引っ張りながら丹念に探す。すると、一番太い束の奥深いところにあったじゃないですかロック線。ちなみに以前これか?と思ってマークしていたコードと見比べると、明らかに白さが違う!やはり間違えていたか、あぶないあぶないと呟きながら、アンロック線も近くにあるはずと5、6本ほぐすと、これまた出てきましたアンロック線。どうして1回目の時に発見できなかったのだろうかとおかしくなるくらい、容易に見つかりました。やっぱり緊張で視野狭窄になってたんでしょうか。
とりあえずこの2本をマークしておき、茶色のアース線を手始めに割込みコネクタで結線し、12V線は赤黒の手近のやつを選んで、えいや!ですべて結線完了。ドキドキしながらリモコンでスイッチオン!ところがドアロックはうんともすんともいいません。「なんじゃこりゃ…うそやろー」ふたたび目の前真っ暗です。しかし、よく耳を澄ますとリモコンのボタンを押すたびに、キーレス本体から「かちかち」と音が聞こえてくるではないですか。これはひょっとして…。

〔仮説〕
・何か作動しているので12V線は正しい。アース線はもとより言うまでもない。
・しかし、ロック・アンロックは動作しない。
・ということはロックモーターに通電していない? 誤配線か結線不良ではないか。さっそくロック・アンロック線のコネクタをラジオペンチで開き、コードとの接触部分を検分してみると、ビニルの皮膜が全然剥けてないではありませんか。これではロックモーターは動きません。カッターで皮膜を剥き再結線したところ、見事ロック・アンロックは作動しました。「よっしゃあ!楽勝〜(そうかあ?)」

(2) 次はウインカー点滅です。ツーフィット後期型はウインカー点滅用コンデンサーが別売で用意されていたので、同時に購入済み。ロケータ機能も付いているので、駐車場で点滅させるとさぞカッコ良かろうとミーハーな想像をしながら、余勢をかってウインカー線の探査に着手。過去ログにあったAさんのコメント『トランク側に伸びている束の中にウインカー線あり』を頼りに、探す探す凄い勢い。あったあった、一番ドア側の束に青に緑と青に茶の2本のコード。しかし、これがまた2匹のヘビのようにきつく絡まり合い、コネクタのつけいる隙がありません。しかし、勢いづいた私は無謀にも一方を切断(!)し、解きほぐして結線完了。結果は失敗でした。皮膜を
カッターで剥いたにもかかわらず点滅しません。またもや日没撤退。念のため電気系統はすべて動作確認してOKだったのですが、いったい何のコードだったんでしょう、切ったやつ。

 

4.9月22日(第4回目)

ハザード点滅はあきらめるかなーと弱気になって作業開始。ところが、トランク側に伸びている束の内側の方の結束テープを切り開き、ノリで指をべたべたにしながら探すと青に緑のコードを発見!おお、これかこれか、ここにおったかとマークし、相方の青に茶を探します。きっと近くにいるはず。どこだどこだどこにいるんだ迎えにきたよ、怖くないから出ておいで。やさしくしちゃうよー…ダメです。見つかりません。とりあえず、人によって色の表現に差があるのかも・ツーリングは仕様が違うのかもと、自分に都合よく解釈し、青ベースのコードで茶に近い色彩のものをピックアップして結線。結果は1勝1敗です。左側しか点滅しません。どうやら青に緑は正解らしい。その後、手当たり次第に青系のコードに結線してみましたが、どれもこれも空振りに終わり、あまつさえロック・アンロックの基本機能までも調子がおかしくなる始末。もう一度基本に立ち返り、すべてのコードを精査するも前回切断したコード以外に青に茶は見当たりません。存在しないのです。「なんでー?」 この日も日没と共に撤退。

 

5.9月24日(第5回目)

しかし連休の神はお赦しくださいません。時間だけはあるのです。最後のチャンスです、気力的にも。で、前回寝ながら考えたのですが、

〔仮説〕
・右ウインカー線は、左ウインカーと同じ属性のコード群と一緒にまとめてあるはず(世界に冠たるドイツ人でなくともそうするはず)なのに、存在しない。ということは、右ウインカー線は別の色の可能性が濃厚。トランク側に伸びている束の、青系以外のコードをすべて試してみよう。
・でも、本当に青に茶は他の束に存在する可能性はないのか?左側の可能性は低い。ん?左側に左ウインカー線…。ということは、右ウインカー線はリアシート下の右側にあるのかも!

さっそくシートをはずし、初めて右ドアから覗き込んでみると、トランク側に伸びているコードの束があるではありませんか。希望と期待をこめてコードをほぐすと、あっけなく出てきました青に茶。なーんだここにいたの、さがしたんだよきみー。もー、気をもたせてからによろしく頼むよひとつ。ダイオードのコードが短いために右側まで届きませんが、もはやたいした問題ではありません。以前に切って保存していたコードをコネクタで延長し、結線。リモコンを押すと見事に両方のウインカーが点滅しました。「楽勝〜!(もっと早く気付けよ)」

秋の青空の下、陽光に照らされてもなお燦然と輝くオレンジ色のウインカー。その日はサルのように何度もリモコンを押して、バッテリーを消耗させたことは言うまでもありません。

最後になりましたが、黎明期のキーレスに独力でチャレンジし、その過程で得られた貴重なノウハウをネットで公開・伝授いただいた、DDさんをはじめ先達のみなさまに感謝いたします。本当にありがとうございました。おかげさまでワンランクアップの34ライフが実現いたしました。

 

6.付録 ブランクキー君とイモビライザーさん

(1) 今回ブランクキーを2本購入していましたが、もちろん彫り込みをしなければ使えません。目標は2本で8000円。見積りをタウンページ片手にあちこちに依頼したのですが、地方のことゆえ1本7000円位!が相場のようです。スケールメリットが無いので2本でも格安にはならないとのこと。大手?は避けて、個人経営の合鍵屋さんにアタックすることにしました。その結果、夫婦で経営しているお店で2本で8000円の破格値でやってもらえることに成功。ただし、ご主人が出張中なので奥さんが作業するという条件つきでした。1本失敗しましたが、店の在庫の同等品で後日ご主人に作ってもらいました。

彫り込みもですが助かったのは、キーとリモコンの取り付けです。細いビスでねじ止めするのですが、工作精度が悪く双方のねじ穴がずれており、ねじこもうとするとビスが曲がってしまいます。素人では無理と判断し合鍵屋さんでねじこんでもらいました。やはり道具は重要ですね。少々ぐらついていたので瞬間接着剤で固定。いまのところイグニッションの動きが固い時も耐えています。

(2) 私のE34は最終型なのでイモビライザーがついています。DDさんのテキストにもあるように、スペアキーからチップをはずして移植しなければエンジンはスタートしません。私は金属のスペアを2本分解し、DDさんと同じようにチップをリモコンの中に両面テープで貼り付けました。ワクワクしながらスイッチオン!ところが「ぽーんぽーんぽーん」と警告音が鳴るだけで、エンジンはうんともすんともいいません。「またかよー」。キーレス本体の作業が難航していたこともあり、これはもう根本的に自分と相性が悪いのかと思いつつ、翌日、ネットで検索。金沢BMWのHPでイモビの構造を理解し、またもDDさんにメールで助言を仰ぎ、チップをリモコンの筐体の一番奥に、オリジナルの状態と同じ角度で貼り付けたところ、無事エンジンがスタートするようになりました。「楽勝じゃん!(をいをい)」


Hさん、貴重なレポートありがとうございました。Hさんの努力が感じられる力強いレポートで、思わず読み入ってしまいました。

このようなレポートは、私を含む初心者にはありがたく心強いものである。これからも掲載していきたいと考えている。



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