2009年7月6日(月)

サーモスタットの交換 − medama1goさんより

今回は、medama1goさんよりサーモスタット(他)交換のレポートをいただいたので紹介しよう。


今年の2月にファンベルトが切れてオーバーヒートして以来、4月のクーラント吐血に引き続き、5月頃から水温が高めに推移してと、水周りの当たり年のようなmedama1goでございます(笑)。

ブログにも書いていたのですが、水温はまぁ誤差もあるし、視差による読み取り誤差もあるからしばらく様子見を... なんて思っていたら、気が付けば停車時にかなりヤバイ域まで水温が上昇することが発覚しました。

どのくらいかと言うと、純正水温計読みで110度超位。120度でオーバーヒートと言われていますので、残りのマージンはたったの10度。走れば下がるものの、停車するとまた110度超まで上がるという状況になってきました。

さすがにまずいと思い、先ずはファンカップリングを点検。新車時ままと思われる代物ですが、温間時にはしっかりと抵抗もあり、とりあえずは問題なさそう。

そこでラジエータを触ってみると、上半分に比べ下半分が随分とつめたいのです。さてはラジエータが詰まったな。

そう思った私は、早速ラジエータを下ろして内部を洗浄&確認。これが思ったほど詰まっていなくて、拍子抜け&いやな予感がしてきました。

とりあえず、ラジエータを一度交換してみることを視野に、水のみを規定量補充して、フラッシング剤を投入、30分のアイドリング代わりに買い物に出かける途中で、オーバーヒート!

まさに120度の大台に飛び込まんばかりの勢いで針が上昇します。とりあえず路肩に寄せボンネットを開けて冷やします。その間に、あちこち触ってみて温度を確認すると...

と言う状況。そこで出てきたのが、サーモの位置。

これはロアーホースの付け根にサーモが付いていたなぁ... って事は、サーモが閉じっぱなし!?

だましだまし自宅まで戻って、急いでサーモを外して鍋で煮ると... 見事に開きません。と言うことで、サーモの交換と相成りました。

ついでに、ヘッドガスケットを交換した時にガスケットを注文し忘れ、液体ガスケットでお茶を濁していたウォーターポンプ、さらに駄目押しにサブタンクのキャップも交換することにしました。

今回用意したのはこちらの部品。

左上から、サブタンクキャップ、サーモスタット(小さい箱)、ウォーターポンプ(大きい箱)、純正クーラント3L、ホースバンド(手前のビニール)、ヒーターポンプ、固定用バンド、ヒーターポンプ用ヒーターホース、自分用クーラント。

先ずはファンとファンシュラウドを外します。

M30エンジンはここに少々の余裕があるので、専用工具が要りません。

大型のモンキーレンチを掛けて、この写真だと左方向へハンマー一発。32mmのスパナがあればなおOKなのは言うまでもありません。

ファンクラッチが外れたら、ファンシュラウドと一緒に撤去。

隙間が出来たところで、ウォーターポンププーリーの取り付けネジ10mmX4本を緩めてから、ファンベルトを外します。

ファンベルトが外れたところで、ドレンボルトを外し、クーラントを抜きます。

続いてサーモカバーを外します。

この辺りの固定ボルトは結構さび付いたり腐食したりしていますので、ねじ切らないように注意です。

ロアーホースのホースバンドを緩めて、ロアーホースごとサーモカバーを撤去。

ついで、サーモハウジングとウォーターポンプを繋ぐエルボーホースを外したいのですが... エンジンハンガーが邪魔でホースバンドにアクセスできません。

仕方ないのでエンジンハンガーを外し、ようやくホースバンドにアクセス成功。

エルボーホースが外れたら、ウォーターポンプ部から水を流し込み、エンジン内を徹底的に濯ぎます。

さすがにクーラント容量12Lは伊達ではなく、かなり時間が掛かりますが、根気良く水が無色透明になるまで水を流し続けます。

水が綺麗になったら、6本の10mmボルトを外してウォーターポンプを外します。

M50エンジンと違い、はまり込んでいるわけではないので、ボルトを全て取れば簡単に取れます。ガスケットの固着等で取れにくい場合は、軽くハンマー等で叩いてみてください。交換するウォーターポンプ。新品はテスト済みだそうです(笑)。左が古いほう。特に異音等は無いのですが、若干ゴロゴロする「感じ」がします。

裏側も、液体ガスケットの色で赤茶けているのと、全体に茶色っぽくなっている以外は、特に損傷は無いようです。

まだまだ使えそう!?

こちらはウォーターポンプ撤去後のエンジン。

ポンプの跡地、水が溜まって見える辺りに、エンジンへのクーラントの戻り口が見えます。

そこから水を入れて、もう一度すすぎを。

上のサーモハウジングから出てきますので、特に汚れが無いことを確認します。

これが今回の原因となったサーモスタット。

左が新品です。

裏側を見てみると、古いほうはワックスの入っている部分(太いばねの内側)が焼けたような色合いになっていますね。

新旧のサーモを一緒に煮てみました。

この様子はブログにアップしていますので、興味のある方はどうぞ。カメラが固定できていないので、見づらい点はご容赦ください。m(__)m

こちらは煮沸後の新品サーモ。

意外と速い速度で閉じていくので、熱いながらも急いで撮ったのですが、こんな程度の隙間しか撮影出来ませんでした。まぁそれでもかろうじて開いているのが分かりますか?

同じくこちらは旧サーモ。

死んだ貝のごとく、全く開きませんでした。ワックス部を良く見ると、なにやら白いものが付いている様子。どうやらワックスが外に流出したためにその機能を果たせず、閉じっぱなしになったようです。

サーモは壊れると開きっぱなしになる、と言う話もありますが、時と場合に拠るみたいですね。現にウチの車両は閉じっぱなしでオーバーヒートしましたから。

サーモスタットには新品のOリングが一緒についてきましたが、ウォーターポンプには新品のガスケットが一緒についてきました。

これがなんとも頼りない、ペラペラの紙ガスケット。そのままでは取り付けるもの一苦労で、結局ポンプ側に液体ガスケットで貼り付けてから、エンジンへ取り付けることになりました。

ウォーターポンプが付いたところ。新しいアルミの輝きがまぶしいです(笑)。

ウォーターポンプが付いたら、今度はエルボーホースを取り付けてから、エンジンハンガーを取り付け。

逆にすると、泣きを見ます。

サーモは、この矢印のところに矢印のマークがありますので、ここを上に向けて取り付けします。

ただ、構造的にこれでエアが抜けるとも思えず、何の意味の矢印なのか理解に苦しみます(笑)。

サーモハウジングに収めたところ。Oリングも忘れずに。

サーモカバーを4本のボルトで固定したら、ロアーホースをつけて、ウォーターポンプにプーリーをつけます。が、このときにプーリー固定ボルトに向きがあるので注意。

写真の青矢印と緑矢印で間隔が違います。良く見て間違えないように付けてください(経験者談)。

後はベルトを滑らない程度に張ってプーリーを本締め、ファンクラッチとファンシュラウドを元に戻してここは終了。

今度はヒーターポンプへ。

ひょんなことから、Mゴロー君から譲り受けたヒーターポンプ。取り付けバンドでヒーターバルブに固定します。

向きはこんな向きにしないと、ヒーターホースが止まりません。

何とか強引に押し込んで、ヒーターポンプも完了。

Mゴロー君に感謝!

純正クーラントを全量投入した後、水道水を規定量まで補充します。

時々Webを見ていると、市販のミネラルウォーターなどを使う人がいますが、あれは絶対にダメです。井戸水と同様不純物が多く、最悪の場合はヘッドガスケットの損傷やポンプインペラの溶損などを招きます。

M30エンジンの場合は、サーモカバーのエア抜きボルトのほかに、サーモハウジングの2個の水温センサーの間に19mmのボルトによるメクラ蓋がありますので、ここを外して、ここから水があふれてくるまで水を入れてください。

あふれているうちにメクラ蓋を締めて、サーモカバーのエア抜きから泡が無くなるまで水を補充してからエア抜きを締めてください。その後はアッパーホースをモミモミして、ホース内のエアを抜きましょう。

また、今回のウチのようにヒーター配管まではずした場合、ヒーター周りのエアはなかなか抜けません。一度リターン側のホースをバイスグリップなどで止めておいて、ヒーター回路途中で1箇所ホースを外し、供給側から水を流してやり、ヒーターポンプを作動させて外したところから水が出てきたのを確認して、出ている間に外した部分を繋いでやるなど、かなり面倒なことになります。

こちらはサブタンク(エクスパンションタンク)のキャップ。

新旧なんですが、どっちがどっちだったか...(苦笑) 裏側を見ても、ガスケットに跡が付いている以外は変わりません。

買った以上は交換しますけど(苦笑)

後はエンジンを始動し、適温になるまでヒーター前回でアイドリング。針が異常に上昇したり、また上がらなかったりしないことを確認して、ヒーターから熱風が出ることを確認したら、エンジンを止めます。

冷めてから、エア抜きを開いて泡が出なくなるまでエア抜きしたら、ネジを確実に締め、クーラントを補充して終了。

1週間後くらいにもう一度クーラント量を点検して、異常が無いことを確認してください。

 

さて、今回サーモスタットが固着する3日ほど前に、いやな予感がしていたのでペリカンパーツに部品を発注していました。ところが到着前に壊れてしまったわけで、到着まで何とかしのがなくてはいけない事態になってしまいました。

そこで取った応急処置をご紹介します。あくまでも緊急での応急処置ですから、これでずっと乗ろう等とは考えないでください。また、エンジンの設計からも外れた使い方ですので、万人にお勧めできる方法でもありませんし、また不具合がおきても一切責任は負いかねますのでご了承ください。

壊れたサーモです。

ひっくり返すと、この部分で組み立ててあるのが分かります。

この組み立て部分をつめを外し分離させます。物によっては溶接してあるのもありますので、その場合はヤスリや金鋸などで加工してください。

このように分離できました。

分離したら、Oリングを外して、綺麗に掃除します。

Oリングを戻して、サーモハウジングへ取り付けて水を補充してください。

気になる処置後ですが、意外と真ん中付近で安定しています。

メーター下部を見ると34.5度と出ていますが、その外気温でこの水温ですから、まぁよほどのことでもない限り、大丈夫なようです。この辺りもブログで考察していたりしますので、興味がある方はご覧ください。

 

最後に不精してインパクトで締めたホースバンドの成れの果てを。

写真矢印で示したところの山が削られてしまっています。充電インパクトで締めると、手で締めるよりも数倍能率が上がるので楽なのですが、簡単にオーバートルクになるので、注意しないとこのようなことになります。もしこのようになった場合は、きちんと純正のホースバンドを使用しましょう。社外品、特にホームセンター等の汎用品は、ホースを傷つける恐れがあります。

これで、今年の水周りは一段落した模様で、ヒーターポンプのおかげか、エアコンからも生暖かい風も出てくるようになり、水温のトラブルと同時に空調トラブルも解決できたので、オーナーさん大満足の結果となりました。


おおっ! 水周りのトラブルはこれで一旦終了か!?

末尾ではあるが、いつも丁寧な作業レポートをいただいく medama1goさんに感謝する。



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