2007年4月26日(木)

CCM改造による「TRANS PROGRAM」警告回避 − まるおさんより

今回もまるおさんより、非常に面白いレポートをいただいたので紹介しよう。何が面白いかって!? それは読んでからのお楽しみ・・・(笑)。


今回MT化を行ったことによりATがなくなってしまったので、当然のことながらキーを捻れば「ポーン」という音と「TRANS PROGRAM」というメッセージが表示されます。

「人間は環境に慣れる」とは言いますが、自分はどうもこの音には慣れることが出来ません。

さて、どうしよう?

電気素人の自分は「ATのコントローラーユニットを外しちゃえば良いのでは・・・」と考え実際に外してみたのですが、やはりいつものように音と表示が・・・

何故だか全く理解できない日々がつづいていましたが、ふとDDさんのメンテナンス記録を眺めていると、似たような記録があるではないですか。

「よしっ、ここは一つ同じようにしてしまおう」と考え、早速CCMのふたを開けてみましたが、「う〜ん、何がなんだかさっぱり解らん」という訳で、とりあえず元に戻しました。やはり何事にも準備が必要ですね。

まず、「CCMの配線はどうなっているのか調べよう!!」

ということで、ベントレーの配線図で該当するページを1ページずつ見ながら、CCMとつながっている線を確認し、エクセル表にまとめてみました。

でも、ここで問題が。ベントレーには自分の車に該当する年式(1993年)の540を見ても、単にチェックコントロールへという記載しかありません。

ただ、ここで立ち止まる訳には行きません。「恐らく93年式の535のページを参考にすれば何とかなるだろう」と思い、その配線図を見ると5番という文字を見つけることが出来ました。(この時点ではx18、x19のどちらのコネクターだか分かりません。)

引き続き配線図を探しているとインテリアライトの配線図のページ(EWD−185)にDOOR OPEN SIGNAL(x19−5)という記載がありました。よって、CCMのx18の5番だということになります。

次に、「コネクターと配線図の関係はどうなっているのか」の確認です。

CCMには緑と青のコネクターがありますが、これが配線図上のx18とx19のどちらなのか解りませんでした。

ただ、この疑問はメンテナンス記録を読むことで、あっさり解決。何故なら、ブレーキスイッチの配線が緑のコネクター側にあるということが書かれていたからです。(ありがたや、ありがたや・・・)

コネクター(青)    X18 コネクター(緑)    X19    
1 運転席ドアスイッチ     1   BRN/GRY/YEL   ?
2   2 パワステoilレベル   ?  
3   3 ウォッシャー液レベル   ? BRN/GRN
4   4 クーラントレベル   ? BRN/WHT
5 リヤドアスイッチ   5 EGS GRY/BRN BRN/VIO/YEL
6 アース   6   BRN ?
7 DATA LINE LKM OBC インスツルメンタルパネル 7 ブレーキライト   BLU/BRN/YEL BRN/GRY
8 常時電源   8 オイルレベル   RED/YEL BLU/WHT
9 DATA LINE  インスツルメンタルパネル 9 アース   WHT/BLU BRN
10 DATA LINE LKM   10 イグニッション   GRN/BRN ?
11 DATA LINE LKM   11 シートベルト警告   GRN/VIO BLU/VIO/YEL
12 電源   12   VIO/YEL ?
13 DATA LINE  インスツルメンタルパネル 13 トランクスイッチ   WHT/GRN  
14 未使用   14 DATA LINK LKM   - GRN/GRY
15 未使用   15 未使用   - -
16 未使用   16 未使用   - -
17 未使用   17 未使用   - -
18 未使用   18 未使用   - -
19 未使用   19 未使用   - -
20 未使用   20 未使用   - -
21 未使用   21 未使用   - -
22 未使用   22 未使用   - -
23 未使用   23 未使用   - -
24 未使用   24 未使用   - -
25 DATA LINE LKM OBC インスツルメンタルパネル 25 ライトスイッチON   WHT/BRN GRY/BLK
26 オイルレベル   26 助手席ドアスイッチ   BLU/YEL BRN/BLU/YEL

※ベントレーではこちらが「リヤドアスイッチ」になっている。

基盤の裏側から見ると、
26        14
:         :
:         :
:         :
13         1

よって、x18が「青」、x19が「緑」ということになります。

いくつか「?」な箇所がありますが、「これで何とかなるだろう」と思い、ひとまず作業を中断。この表をもとに再び素人の発想へ・・・

「要するに配線がつながっているからいけないんだ。その線を切ってしまおう!!」

とはいうものの基盤ですから配線はありません。そこで考えたのが、「配線を切る代わりに抵抗やダイオードを取ってしまおう」というやり方です。

自分の車についているCCMです。(93年5月製のようです。)

早速、青のコネクターの5番の配線をたどり、その先にある抵抗を取り去りました。

「よし!! これで大丈夫」

車に取り付け、イグニッションON!! 間髪おかず、「ポーン」「TRANS PROGRAM」

「何故?」

回路の見方が違っているのか???

そこで、ネットで調べていると、海外のE32のサイトでx18の5番が「リヤドアのスイッチ」となっている資料を見つけました。そして、そのまま見てみると、x19の5番が「EGS Signal」との記載が。。。 ベントレーが間違っているのか? この資料が間違っているのか?自分には分かりません。

「さっきx18でダメだったから、今度はx19でやってみよう!!」

初めに取り去った抵抗を元に戻し、x19の5番の配線の先にある抵抗を撤去!!

「よし!! これで大丈夫」(2回目)

車に取り付け、イグニッションON!! 間髪おかず、「ポーン」「TRANS PROGRAM」

「何故?」(2回目)

初日は完敗です。

翌日、もう一度、DDさんのメンテナンス記録を読んでみると、CCMの改造に関するレポートがっ!!

「よし、これだっ!!」

昨日取り去った抵抗を元に戻し、まずx18の5番の配線の先につながっているチップの端子とアース端子を接続!!

「よし!! これで大丈夫」(3回目)

車に取り付け、イグニッションON!! 間髪おかず、「ポーン」「TRANS PROGRAM」

「何故?」(3回目)

「ぞれじゃ、今度はx19の5番だっ!!」

先ほど接続した配線を取り、x19の5番の配線の先につながっているチップの端子とアース端子を接続!!

「よし!! これで大丈夫」(4回目)

車に取り付け、イグニッションON!! 間髪おかず、「ポーン」「TRANS PROGRAM」

「何故?」(4回目)

ここでさらにもう一度メンテナンス記録を読んでみると、「アース側で駄目ならプラス側で・・・」という文言がっ!!

「よし、これだっ!!」

先ほど接続した配線を取り、まずx18の5番の配線の先につながっているチップの端子と電源端子を接続!!

「よし!! これで大丈夫」(5回目)

車に取り付け、イグニッションON!! 間髪おかず、「ポーン」「TRANS PROGRAM」

おまけに、その他の表示も・・・ (これはいかん。ということですぐにイグニッションをOFFにしてCCMを外してしまったので、何が表示されたのかは忘れてしまいました。)

「何故?」(5回目)

「ぞれじゃ、今度はx19の5番だっ!!」

先ほど接続した配線を取り、x19の5番の配線の先につながっているチップの端子と電源端子を接続!!

「よし!! これで大丈夫」(6回目)

車に取り付け、イグニッションON!! 間髪おかず、「ポーン」「TRANS PROGRAM」

「何故?」(6回目)

そこで、もう一度メンテナンス記録を眺めてみると何か自分の接続している配線とは違います。
何と、何も知らない私は、常時電源とチップを接続しているではありませんか!!!

「何ということしてしまったのか、チップ壊れたかな?・・・(ドキドキ)」 「やっぱり触らぬ神にたたり無しか・・・(ガクッ)」

おまけに常時電源が入力されるピンの基板を破損・・・(とりあえず、線でつなぐことに・・・)

落ち込んで2日目も完敗。

でも、翌朝には復活している自分。

通勤途中の電車の中で悶々としながら、(別に、若い女の子がいたからではありません!!)会社に着く頃には「チップの回路図がどこかにあるかもしれない。」との思いが・・・

会社に到着し、すぐにチップに書いてあった番号を思い出してネットで検索。(CD4021BE) ありました回路図が!! でも意味が理解できない(^^;

ただ、アース(8番)と電源入力(16番)の場所は判明。

「よ〜し、昨晩のリベンジじゃっ!!」

帰宅後、昨日の配線を外し、まずx18の5番の配線の先につながっているチップの端子(4番)とチップの電源入力端子(16番)を接続!!

「よし!! これで大丈夫」(7回目)

車に取り付け、イグニッションON!! 間髪おかず、「ポーン」「TRANS PROGRAM」

「何故?」(7回目)

「ぞれじゃ、今度はx19の5番だっ!!」

先ほど接続した配線を取り、x19の5番の配線の先につながっているチップの端子と電源入力端子を接続!!

「よし!! これで大丈夫」(8回目)

車に取り付け、イグニッションON!! 間髪おかず、「ポーン」「TRANS PROGRAM」

「何故?」(8回目)

 

いい加減に嫌になってきました。そして、手元にあるのは、段々と壊れつつあるCCM・・・

「3日目も完敗か。」

いやいや、まだ、諦めない自分がそこに。

もういちど、メンテナンス記録をじっくり眺めていると、岩野師匠のLKMに関する記録を発見!! そこにあるチップは「CD4021BE」です。

「CCMと一緒だ!!これで、何とかなるかもっ!!」

間違えている配線を外し、まずx18の5番の配線の先につながっているチップの端子(4番)とチップのアース端子(8番)に接続!!

次に、チップのところまで信号が来ないように、初日と同じように抵抗を取り外す。

「よし!! これで大丈夫」(9回目)

車に取り付け、イグニッションON!! 間髪おかず、「ポーン」「TRANS PROGRAM」

オー、マイゴッ〜

「何故?」(9回目)

「今度はx19の5番だっ!!」、でも、これで駄目だったら・・・

先ほど接続した配線を取り、外した抵抗を元に戻し、x19の5番の配線の先につながっているチップの端子とアース端子を接続!!

次に、チップのところまで信号が来ないように、初日と同じように抵抗を取り外す。

「よし!! これで大丈夫」(10回目)

車に取り付け、イグニッションON!!

シ〜〜〜〜ン

「あれっ?CCMが壊れたのかな?」 でも、それ以外はいつもと変わらない様子・・・

ついに、「ポーン」という音と「TRANS PROGRAM」の表示が消えました!!!

ようやく状況を理解したところで、思わず「岩野師匠、そして、DDさんのHP、ありがとうございます。」 「ありがとうCCM、よくぞ壊れずに耐えてくれた!!」と心の中で叫びました。

ようやく、改造が完了したCCMの基盤裏側

その日も深夜の作業となっていましたので、とりあえずそのまま作業を終了させ、次の休日、イグニッションON。

「お〜っ、音がしないし表示もされない。」(いい感じです。何とも言えません。)

最初はATモード「E」とセレクターレバーの位置「N」が右下に表示されますが、しばらくするとこの表示は消えます。何故だろう?

そのままエンジンを掛けて運転席のドアを開け少し前進。

「ポーン」という音と「DOOR OPEN」の表示が・・・

次に、サイドブレーキを引いたまま少し前進。

「ポーン」という音と「HAND−BRAKE ON」の表示が・・・

そして、最後にライトをONにしたまま、イグニッションをOFFにすると、

「ポーン」という音と「LIGHT ON?」の表示が・・・

とりあえず、CCMは機能しているようですので、これにて作業終了です。

この後、「DIP BEAM」という表示に悩まされることになっていますが、これにて今回のレポートを終わりにしたいと思います。

注)一番初めにも書きましたが、自分の車にはATがありません。従ってこの改造しても問題ないと勝手に判断していますが、ATがある状態で「TRANS PROGRAM」が表示されているからと言って同じような改造は決してなさらないでください。(普通はしないか・・・)

また、自分のように何度も繰り返してミスをしていると、基盤が剥がれるなど、思いも寄らない状況に陥る可能性が高くなります(笑)。電気回路に手を加える際には、十分な分析や調査などの準備を予め行なっていただくことをお勧めします。


久しぶりに感動するレポートを読んだ。何が感動するかって、まるおさんの執念とも言えるチャレンジ精神だ! レポートの最後にも書いてあるが、「普通はしない」だろう・・・(笑)

末尾ではあるが、面白すぎるレポートをいただいた まるおさんに感謝する。



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