2003年11月10日(月)

庭師@さんのイカリング装着レポート その1 − レンズユニット分解 HI & LO編

それでは早速、4回に分けて、その手順を紹介しよう。以下は、庭師@さん直筆のレポートである。


<レンズユニット分解 HI & LO(通称:烏賊焼き!)>

DIY の基本は「いか(烏賊)に安く、完成度の高い製品を自作するか」と確信しているので、ド素人の自分には中古レンズユニットの分解・加工に関する訓練(いわゆる基礎実験)が必要となります。訓練期間は約1ヶ月、試行錯誤しつつレンズユニットを分解しその構造を把握致します。万が一、レンズが割れてもコーキング剤の充填状態が断面で理解できたり、大変勉強になりました。

これが真夏のベランダでの片手にヒートガン、片手にデジカメの作業でしたので、熱いの何のって・・・名付けて「烏賊焼き!」と相成りました。(*^_^*)/****

また、先達である岩野電気博士(世界初E34・イカリング・タコヤキ・イクラちゃん等作品多数!)とぐいた〜ら氏(本邦初E30・イカリング装着)には数々の貴重なアドバイスを頂いた。この場を借りて、深く感謝申し上げます。

●ロービーム (Lo) の分解

まず準備したモノは、天下無敵の「ヒートガン」(某所より拝借!)と溶接用の牛革手袋(ホームセンターで300円以下)とその中にはめる軍手です。そして、分解訓練用の中古レンズユニット。これはお仲間のご厚意で E28 用のモノも含めて10個(Hi4個、 Lo6個)を準備しました。(SAG 丼、浦部師匠、某所=マッ○スさんに深謝致します。)

さて、いよいよヒートガンで烏賊焼きです!

庭師@式<烏賊焼き法>は段ボール内での<薫製法>(岩野法・ぐいた〜ら法、後述)と違って、段ボールの上で電子レンジのターンテーブルのように回しながら表から裏から、サイドから炙ります。そのためにレンズ面に傷を付けないように、○療用の保護シートを貼りました(高価なため、一般の方はマネしないで下さい。笑)。しかし、レンズユニット全体を素手では持てないほどに熱するので、周りから少し縮れてしまいましたが、ガラス面の保護という目的は達成されました。

じっくり、火傷しないように炙って下さい。ゆっくり・ゆっくり。。Lo の本体はプラスチック製なので、レンズ受けの部分をめくるように変形させつつレンズの裏のコーキング剤を除去します。全体に、まんべんなく・・・です。さぁ〜〜〜、がんばって焼きましょう!(*^_^*)!

ひと炙り(5分間)すると、コーキングの表面部分はこんな感じで簡単に除去されます。それからまた、炙って、炙って、炙り続けます。。じっくり、火傷しないように炙って下さい。

Lo の本体はプラスチック製なので、完全に溶かさないように気を付けつつレンズと本体の間のコーキング剤を除去します。全体に、まんべんなく・・・です(変形した本体は、分解後にまた元に戻します)。レンズが外れると、こんな感じです。ここにビッシリ、コーキング剤が塗られています。コレを全て溶かしつつ、除去するわけです。

レンズを割らないように外すと、反射板(これもプラスチック製!)が本体と3カ所でコーキング剤で接着されています。反射板は非常にデリケート(指で触ると指紋が残って曇る・熱で剥がれる)なので、この部分はカッターで切って外すのが安全です。分解後は、早めに先述の保護シート*を貼って、今後の加工に備えます。これは、次なる反射板加工においては必須のツールです!
* TegadermTM (3M Health Care, St.Paul, MN, USA) 6 in x 8 in (15cm x 20cm)

レンズと反射板を本体から外すと、こんな感じです。残ったコーキング剤をカッターとマイナスドライバーで削ぎ落とします。

これで、Lo レンズユニットの分解完了です。これを2個も練習すれば大丈夫と思います。意外と、古くてコーキングが劣化した個体の分解は簡単です! 私もコレで自信を付けました。しかし、今回の本番用は HELLA純正品でまだ1年使用だったのでコーキングもしっかり為されており苦労しました!!!

Lo のレンズと本体の状態を確認します。本体は熱で変形している可能性がありますので、最終的にコーキングする時の隙間を最小限にすべく本体を熱しながら変形した周辺部分を整形します。金属メッキ製のリングがカチッとはまることをこの段階で確認するのが肝要です。反射板を加工して、イカリングを納めてからの熱を与えての整形は不可能だからです。

<岩野さんのコメント>
経験から・・・ って、2個しか分解しませんでしたけど・・・基本は、暖めている時間ですね 一個を1時間以上長く・・・長く暖めていると簡単に分解できますね。

<ぐいた〜らさんの失敗談>
あるサイトで鍋で煮てレンズを剥がしていました(シール剤が熱によって柔らかくなります)。私もまねしてみたらリフレクターのメッキが剥げてしまいましたこの方法は危険です(笑)。で、メッキが剥がれたのは水蒸気のせいでした!(御本人談)

また、岩野さん方式で段ボールの中に入れてヒートガンによる<薫製・放置プレイ>をされていて 、Lo の本体のプラスチック部分が溶けたそうです。みなさん、ご注意下さい!

●ハイビーム(Hi)の分解

さて、次は Hi の分解です! Hi の Lo との違いは本体部分がプラスチックではなく金属製であることです。これは好きなだけ炙ることが出来る反面、レンズを外す際に注意しないと本体の強度に負けてレンズが割れることがあります。私も2枚割りました!(2勝2敗)

まずは、ひと炙り(5分間)。最上部分の本体の数センチをマイナスドライバーでめくります。コーキングをキリで除去しつつやさしくめくって下さい。レンズは周辺部分も割れやすいです。ココがキッカケをなります。ここから炙ること5分間×3〜4回となります。忍耐の作業です!

何とかこじ開けた部分に、やさしくドライバーを挿入。ゆっくり&やさしく・・・挿入して下さい。Hi の場合はここでこじ開けようとすると、レンズが本体の強度に負けて割れます。また忍耐強く・・・ヒートガンで炙りましょう!

写真にあるようにレンズの内側のこのコーキングが鬼門!! 外から見て厚く残っている部分は最後に剥がしましょう。とにかく炙って、炙って、炙るしかないのです(笑)。隙間からのカッターでの切除も効果的ですが、反射板を傷つけないように注意が必要です。 最近の HELLA 製はしっかりコーキングされており、昔とは違って水漏れによってはそう簡単に曇らないと思います!

Hi レンズユニットの分解終了! めくった本体の部分は、ペンチで戻しておきましょう! 使用工具は、こんなもんです。 Lo 同様に残ったコーキングを除去し本体を整形し、金属メッキのリングがカチッとはまることを確認して下さい。

<岩野さんのコメント>
私は、1時間以上暖める為に、ダンボールの中で、 ヒートガンの熱風から20cm位い離して放置プレイ をしておきました。その後、接着部分を直に熱風であぶり、 一気に開きました。 ローより簡単で、拍子抜けでした・・・(偶然?) でも・・・1個は割りました(秘密)。

<庭師@の感想>
確かに、Hi レンズユニットに関しては<薫製法>がベストのような気がします。ただ、小1時間、段ボール内で放置プレイをしても火災の心配のない場所で安全に行って下さい。Hi の場合に、ついついバルブの挿入口から熱風を吹き込んで内部のコーキングを溶かしたいという誘惑に駆られますが、絶対に止めて下さい。反射板は金属でありながら、表面は非常にデリケートなので曇りや変性の責任を負いかねます。


以上、庭師@さんからのレポートであった。「その2 − 反射板の加工・HI & LO編」に続く。



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