2003年8月4日(月)   2003年8月6日(水)追記    2003年8月7日(木)追記

ブリス施工 − スーパースキーヤーさんより

先日、スーパースキーヤーさんからメールをいただいた。どうやら、いま話題のブリスを施工して満足な結果が得られたようだ。「ブリス」は比較的簡単に施工できるコーティング剤である。

スーパースキーヤーさんからのメールは写真が数多く添付されており、解説も非常にわかりやすかった。これは有用な情報と思い、本ページに掲載することにした。ただし、DDはブリス製造会社の回し者ではないことを明記しておく。また、説明文は基本的に原文のままだが、少し文体や言い回しを変更したところがある。

なお、スーパースキーヤーさんにはHP掲載の許可を取っていないが、イヤとは言わせないので、あらかじめ感謝の意を表しておくことにする(笑)。


DD様

今日は、この土曜日にポリラックに勝るのではと思われるコーティングを施工したのでそのご報告を。

その名は「ブリス」。最近徐々に雑誌でも取り上げられつつあるものだ。

私の友人がたまたまブリスの「西日本地区総代理店」でもあることから、「今日、暇ならブリスやってみませんか?」と電話で誘われた。この電話から私のブリス初体験が始まったという次第だ。無精者の私は、カーショップでコーティング剤を買って、3ヶ月に1回ほど汗だくになって施工して、後はずぼらをかましていたのだ。しかし、その人が自らブリスを試してみてその効果にほれ込んで、その人からいろいろ聞いていたのでいつか試してみようとは思っていた。そして、ついにその日が来てしまった(ずぼらな私を放っておくと、そのうちに、といいつつ、いつまでたっても施工しないという事がバレているようだ)。

なんでも、従来のコーティング剤にはほとんど必ずと言っていい程「石油溶剤」が含まれているそうだ。石油溶剤と書かれてなくても「植物油」とか「油脂成分」、あるいは「界面活性剤」(これも泡切れを良くする為含まれていることが多いが、塗面に良くない)が含まれている。これらを塗布するということは、この油分が酸化して塗面を痛めたり(粘土で鉄粉を取った際、黄色い色が付くのは酸化した油分)、油でクリアー層の一番上の5ミクロンのホーロー層を溶かして、一見ピカピカに見えるがコーティング剤が切れると艶がなくなり、結局は塗面を痛めている事になる。しかし、ブリスは油分を一切含まずに、ボディーの上にガラス繊維層を作るため、ホーロー層も破壊せず、つるつるピカピカになるといる点で、画期的と言えるそうだ。

ポリラックが樹脂層なのに比べ、ブリスはガラス層なので、硬度も違う。施工を重ねることで線傷が減っていく点は同じでも、走行を重ねる上での鉄粉の付着の度合いの違いや、一度施工すると(約0.2ミクロン。最高でも0.6ミクロンしか付着しない。3回重ね塗りすれば、それ以上はこまめに塗っても無駄になるだけで、あとは3ヶ月ごとに塗るのが良いらしい)洗車機にガンガン入れても平気な点で違いが出てくるそうだ(但し効果は最高3ヶ月ほど)。

聞きかじりの能書きはこの位にして、施工をしてみた様子を報告しよう。以下は、施工の手順である。

(1)シャンプーで洗車する。

(2)ホースですすいだ後、濡れたままの状態で液体コンパウンドで磨く(写真1)。


写真1 液体コンパウンドで磨く

(3)またすすいで、同じく濡れたままの状態で粘土で鉄粉を取る。

(4)水で流した後、濡れたままの状態で、スポンジにオイルバスターを吹きかけ、ボディー全体の油分を取り除く(写真2、3)。


写真2 スポンジにオイルバスターを吹きかける


写真3 オイルバスターでボディーの油分を取り除く

(5)ホースで余分な油分を洗い流し、塗れたままの状態でボディーにブリスを直接吹きかけ、ブリスを塗布する(写真4、5)。


写真4 ブリスを直接ボディーに吹き付ける


写真5 スポンジでブリスをボディーに塗り延ばす

(6)ホースで余分なブリスを洗い流す。

(7)最後にスーパークロスでブリスの余剰成分を拭き取り、完成(写真6)。


写真6 スーパークロスで余分なブリスを拭き取る

(1)〜(4)までは、初めてブリスを施工する場合の下地処理である。一度塗ると48時間で完全硬化するので、以降は2週間位後にシャンプー洗車後ブリスを吹きつけ重ね塗りし、また2週間位後にもう一度重ね塗りすれば、あとは3ヶ月ごとに下地処理なしにシャンプー洗車ブリスを施工すればいいようだ。

施工後は、ボディーへの写り込みがすごく、なおかつボディーの手触りがつるつるになった(写真7、8)。


写真7 ブリス塗布後のトランク


写真8 ブリス塗布後のボンネット

見た目のピカピカ感は今まで見たこともないものであった(ポリラック施工の車を見たことが無いので比較は出来ないが・・しかし仮に見た目は同じだとしても、塗面にはこちらの方が良いようだ、詳しくは分からないが・・)。

なお、今回使用したものは、写真9の右から、

  1. カーシャンプー(私の友人のもの。車屋が使用している業務用のもの。皆さんが施工する際はママレモン等の中性洗剤で十分だそうだ)

  2. 液体コンパウンド(ソフト99の細目)

  3. 粘土(これらの前に写っている青いスポンジは液体コンパウンドでボディーを磨くために使ったもの。ホームセンターで128円で購入。なお同じ形のもので別のものをブリス塗布にも使った)

  4. スーパークロス(1500円。ブリスの分子は細かいので、ブリス塗布後に洗い流した後、ブリスの余剰成分を拭き取るのだが、雑巾では水は吸い取るがブリスの分子は吸い取れないため、ムラが出来る場合がある。そこで、ブリスの分子まで拭き取れるスーパークロスを使用する。なお私は特別に当日阪神百貨店で買ってきたミディアムボディーの美味しい赤ワインとの物々交換でgetした)

  5. 黄色いスポンジはオイルバスター塗布用(ホームセンターで98円で購入)

  6. オイルバスター(100ml、980円)

  7. ブリス(320ml、5800円)


写真9 今回使用したもの

あと、下地処理の段階でのホイール洗浄には、プロスタッフのホイールクリーナーを使用(写真10)。


写真10 ホイールの下地処理に使用したもの

施工してみた感想は、まず「楽!」。拭き取りが最後の段階でしか出てこず、基本的には濡れたままで行うため、めちゃくちゃ楽である(拭き取りにも力は要らない)。

しかも「経済的」。オイルバスターは1回目の下地処理に使うだけで、あとは使わなくても済ませられるし、ブリスもボンネットに5回プッシュして振りかけるだけ。ドア1枚も2回プッシュで十分なので、1本で12回くらい使えると思う。

さらに、ガラスには効果はないが、別に付いても問題は無いので施工の際に気を使わなくて済み、なおかつ樹脂部分には使えるのでその点もいいと感じた。

但し、注意が必要なのは、ブリスを使用する際は良く振ってから使用する事。それと汚れ落としが不十分だとボディーとブリスのガラス層の間に汚れまでコーティングしてしまい、ブリス効果が無くなるまで(約3ヶ月)汚れが取れなくなる事。

意外とブリスの塗布は少なめで良い様であった。べったり付ける必要は全く無い。ササッとあっけない程軽く塗布するだけで十分だ。

なお、ブリスも最初2週間ほどは雨を弾いたりするが、その後は親水性なので、雨ジミができず、非常に塗面に良い(その点はポリラックも同様であるようだが)。


以上が、スーパースキーヤーさんからのメールの内容である。

どうやら、ブリスを使用することで、スーパースキーヤーさんの車は見違えるように綺麗になったことは事実のようだ。耐久性については未知だが、少なくとも艶と輝きは抜群のようである。

ただ、スーパースキーヤーさんが聞いてきた能書きは、セールストークのため話半分程度だろう(たとえば、「界面活性剤の油分」とは?→炭化水素鎖などの疎水基のことか? 「ホーロー層」とは?→ホーロー(琺瑯)とは表面にガラス質の皮膜を被せ高温で焼きつけた物だが・・・)。

ブリスとポリラックとの違いも一度比較してみたいものだ。近いうちに、スーパースキーヤーさんの駐車場に侵入し、左半分だけポリラックを施工して比較テストをしてみよう(嘘)。


2003年8月6日(水) 追記

上記で、ブリスの能書きに関する疑問を書いたら、スーパースキーヤーさんの友人から、親切にもDDの疑問に回答をいただいた。折角なので、疑問点と回答を掲載する。

Q1:「界面活性剤の油分」とは?→炭化水素鎖などの疎水基のことか?

A1:これは、スーパースキーヤーさんの説明不足であり、界面活性剤には油分はない。ここで言いたかったのは、界面活性剤が塗装面に残ると、塗装を侵食して痛めるということである。

Q2:「ホーロー層」とは?→ホーロー(琺瑯)とは表面にガラス質の皮膜を被せ高温で焼きつけた物だが・・・

A2:高級車のクリア層は30〜40μmほどあり、焼付け塗装の際にその表面5μmほどの硬度が高くなる。その部分をコーティング業界では「ホーロー層」と呼ぶ。決して、「琺瑯」そのものではない。

 

なお、ついでと言ってはなんだが、もう一つ疑問があるので質問しておこう。

Q3:ブリスは塗装表面にガラス層を形成するようだが、いわゆるPHPSを主成分とし、アミン系触媒を使ってSiO2に転化させる方法なのか?

企業秘密かもしれないが、ご回答いただければ幸いである(この際、溶媒が何であるかまでは聞かないでおこう)。


2003年8月7日(木) 追記

またまた、親切にもすぐに回答が届いた。企業秘密に関わることのようなので、詳しくは説明できないらしいが、回答を掲載しておこう。

Q3:ブリスは塗装表面にガラス層を形成するようだが、いわゆるPHPSを主成分とし、アミン系触媒を使ってSiO2に転化させる方法なのか?

A3:その通り。

PHPS(ペルヒドロポリシラザン)は、素人のDDも知っているぐらいだから、そんなに珍しいものではない。組成や低温硬化の仕組みなども特に難しくはない。しかし、これを0.2μmになるように皮膜を形成させる溶媒や、実際の車への簡単な施行方法等は立派なノウハウである。このノウハウがなければ車に施行することはできない。材料だけでなく、そのノウハウも販売していると考えれば、ブリスの販売価格は安いぐらいではないだろうか。



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