2003年11月11日(火)

庭師@さんのイカリング装着レポート その2 − 反射板の加工・HI & LO編

その1 − レンズユニット分解 HI & LO編」に引き続き、「その2 − 反射板の加工・HI & LO編」を紹介しよう。


<反射板の加工・HI & LO(メッチャ大変!)>

さて、E34 のレンズユニットの分解も Part-1 で体得しましたので、次なるハードルへと突き進みます! あの大きなイカリングをレンズユニット内に完全に収納するためには反射板の加工が必要です。意外なことに、 Hi は配線用の穴さえ開ければそれで完成! 問題はLo です。 先達ぐいた〜ら氏もそうだったように、このレポートはいわゆる髭レンズの改造についての体験記となります。髭レンズでない場合は、下半分の反射板も同じように円形に加工すれば大丈夫と思います。

● ハイービーム (Hi) の加工

Hi の場合は、分解したレンズと本体の間にすっぽりイカリングが納まります(というか、元々そのような設計のようです)。すなわち、イカリングからの配線をレンズユニットの外に導く穴を開けるだけで大丈夫なのです。よって、電動ドリルで裏側から反射板を傷つけないように穴を開けます。

反射板の保護が最重要課題ですので、細いドリルで穴を開けてサイズアップするのが安全と思います。

反射板の内側はこんな感じです。ドリルでも反射板が鏡のように割れることはありません。でも丁寧に扱いましょう!

サイズアップすると内側にこのように金属片が残ります。これを反射面が傷つかないように除去しなくてはなりません。

金属ヤスリで綺麗に削ります。破片は出来るだけ反射板に当たらないように除去することが肝要です。

穴をサイズアップして、仕上げるとこのようになります。実は、向かって左側の凹が最上部分(レンズをはめて見ると分かります。)なので、少し斜め方向に配線が導かれることになります。 よい子の皆さんは、最上部分の直下に穴を開ける方が、配線が正面から見える確率が少なくなると思います。これでも全然大丈夫でしたが。。

Hi にイカリングをセットする状態です。配線を先程の穴から外へ導きます。正式にコーキングする際は配線部分にビニールチューブを被せて、ちょうどこの穴に挿入して外からコーキングします。これはコーキング剤が穴と配線の隙間からレンズ内に脱落することを予防する対策法です(後述)。

● ロービーム(Lo)の加工

反射板の加工も、大切なのはまずは訓練(または基礎実験)です! 反射板の保護シートの安全性確認も必要です。数日後に剥がす時に、反射面に何の影響も出ないことも要確認です。また、反射板を何で切るか・・・これは大変悩みました。工作用の電動糸鋸の購入も考えましたが、それは DIY 的には予算オーバー。やはり手元にあるプラスチック用手鋸と DIY の達人でもある BJ 氏に拝借した金属もキレル鋏であります。まずは、実験用の反射板と BJ鋏で記念写真!! (注釈:この鋏でL字型のこの周辺部分の切断は危険です! 必ず鋸で切ってください。)

反射板の加工実験も3枚目にしてやっと、本番の型紙が取れるようなものに到達しました。 さて、本番の加工です。これは失敗すると後がありません! だから、慎重の上に慎重に!! まずは、保護シートで加工中の反射面の損傷を予防します。これが、保護シート。
* TegadermTM (3M Health Care, St.Paul, MN, USA) 6 in x 8 in (15cm x 20cm)

しかも、1枚の反射板は無加工で本来の反射板とプロジェクターレンズ(通称:目玉!)との正確な位置関係を確認するために本体との関係を維持しつつ保存しました。

切り落とす部分はちょうど貼らないで済む大きさを選択します。これで、準備万端。

反射板の加工に使用した工具です。右側の細い鋸で円周上に切ろうと実験しましたが、逆に鋸の刃にかかるトルクで反射板が割れることがあります。ご注意下さい。よって、最終的には真ん中の鋸で直線的に切って、左の鋏で円周上に整形する方法としました。コレが一番安全!!!

その方法で、円周を5ミリ切り込んだ試作品を作ってみました。これを練習用の Lo のレンズユニットを用いてイカリングの収まり具合を確認します。最終的には現物合わせなので、型紙用のモデルは少し大きめの方がいいと思います。切り足しは、最後にいくらでも出来ますから。

小学生レベルの工作ですが、型紙を取ります。いかにも、素人っぽいですね!(笑)

さて、ここからは中学生レベルの3次元的な型紙作成となります。3次元構築に万能な、アルミテープを使用します。先述の型紙にアルミテープを貼ってカッターで切ります。

それを反射板(先述の無加工の確認用)に押し当てると、ポジション球部分の凹み鱗肌まで忠実に再現されます。ここまで来ると高校生レベルといってよいでしょう。

いよいよ、失敗の許されない本番です! まずは3次元的型紙を保護された反射板に重ねて切除ラインを描きます。保護シートの上に描くので、安心です。

反射板の周縁部分はL字になっています。そして、ポジション球の反射板部分(鱗状)は極めて華奢な構造です。まずは、その部分を直線的に切り落とします。

最上部の本体との固定部分は最後まで、折れないように残します。そのために最大限に慎重な作業が必要になります。最上部分を手に持って、空中で力がかからないように鋸を引くという難易度Cの飛び技が要求されます。

下半分の髭レンズの部分は枠ごと切り落とします。そして、中間部分の両サイドの加工をいます。まずは、鋸で直線的に切ります。ここで色気を出して・・・曲線的に切ろうとすると、プラスチックの反射板は割れます。

このように、不細工ながらも直線的な切り落としが一番安全なのです。

直線的にしか切れない、プラスチック専用鋸と記念写真。パチッ

これからが、 BJ 氏の「神の手」といわれる鋏での丁寧な整形に入ります。右側は曲線的に加工後。左側は加工前です。鋏の右側に破片が飛んでいますね。

右側に型紙。左側に整形後の反射板です。これまた記念写真。パチッ

あとは、これを Lo の本体に合わせながらイカリングが収まるかを確認します。もちろん、そのままでは無理です。しかも反射板と本体の固定部は最上部の1カ所のみ。反射板の正しい位置は、後からプロジェクターレンズを挿入して真ん中を決めます。 写真は、反射板の最も華奢な最上部をさらに薄く切って、さらに本体のレンズのはまる部分の内側のエッジを削ってイカリングの最上部を収まりやすく加工した部分です。(チョット見辛いですね。)

あとはイカリングをセッティングするだけの状態です。しかし、本当の作業はここから始まります。反射板が大きすぎると反るし、小さすぎるとイカリングの中に脱落します。ちょうど、その境界の大きさがジャストサイズと考えます。この作業安定性を保証するために、分解した Lo の本体のみを反対にして台としています。これでプロジェクターレンズを装着した後のレンズユニットも安定します。

<庭師@の感想>
いや〜〜〜この作業だけは二度とやりたくない! (これが本音です。笑) でも、この型紙作成という方法がきっとこれからの<烏賊焼き大作戦>を再現性のあるものとすることを信じております。


以上、庭師@さんからのレポートであった。「その3 − イカリングをレンズユニットへ挿入そして封印編」に続く。



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