2003年9月15日(祝)

前輪ショック交換&バネカット − ファルコン大魔王のご指導で

以前より、ショックアブソーバーを交換するのと同時に、車の前側を少しだけ下げたいと思っていた。それも、できればチープに自分でやってみたいと無謀なことを考えていたのだ。そんな話をファルコン大魔王にすると、快く「手伝ってあげるよ」とありがたい申し出をいただいた。

そこで、今回はファルコン大魔王のご指導をいただいて、前輪のショック交換とスプリングのカットに挑戦してみた。というよりも、ほとんどの作業をファルコン大魔王にやってもらった。まず、大魔王に感謝の意を表する。


DD号の前輪サスペンションの構造は図1のようになっている。今回は、アッパーマウンド(図1の4)、上下のラバースプリングパッド(図1の6)、バンプストップ(図1の11)、保護チューブ(図1の12)を新品に交換し、さらにショックアブソーバー(図1の9)はモンローのリフレックスにする。同時に、スプリング(図1の8)は下を一巻きカットすることにした。


図1 DD号の前輪サスペンションの構造

図1の前輪ストラットは、図2のような構造で車両に付いている。


図2 前輪ストラットの付き方


前輪ストラットを車両から取るには以下のような手順で行う。

  1. 前輪ホイールのナットを緩める。
  2. 前両輪をジャッキアップしてウマを掛ける。
  3. 前輪ホイールを取り外す。
  4. ブレーキパッドを少し押し戻す。
  5. ABSセンサーを外す。
  6. ブレーキキャリパーを固定している2本のボルトを外す(左側はブレーキパッドセンサーも外す)。
  7. ストラットにくっついているブレーキライン、ABSセンサーハーネス、ブレーキパッドセンサー(左側のみ)を外す。
  8. スタビライザーリンクの下側を外す。
  9. ストラットの下に付いているボルト3本を外す。
  10. ストラットの上部に付いているナット3個を外す。
  11. コントロールアーム(ロアアーム)を足で押し下げて、ストラットを外す。

以下では、これらについて簡単に説明する。

まずは、写真1のように17mmのクロスレンチでホイールナットを緩める。ロックナットが付いているところは、トランクの工具箱にあるロックナットを使って緩める。


写真1 ホイールナットを緩めているところ

次に、前の両輪を写真2のようにジャッキアップする。


写真2 前輪のジャッキアップ

ジャッキアップできたら、写真3の位置にウマを掛ける。


写真3 ウマを掛けたところ

ジャッキだけでは不安定なので、ウマは必ず掛けないといけない。先日、ガレージNさんでオイル交換をしてもらっているときに聞いたのだが、近くの自動車整備の人がウマを掛けずに作業していて、車の下敷きになってお亡くなりになったようだ。

そして、写真4のように前輪のホイールを外す。外したホイールは万一のときを考えて、車の下においておく。


写真4 ホイールを外したところ

次に、写真5のように、ウォーターパイププライヤーを使ってブレーキパッドを少しだけ押し戻す。


写真5 ブレーキパッドを押し戻しているところ

ABSセンサーは、ブレーキローターの裏側にある5mmの六角ネジを外すと外れる(はずである)。

ブレーキキャリパーを固定している19mmの2本のボルト(図2の赤矢印)は、写真6のようにキャリパーの裏側にあるので、これを外す。


写真6 ブレーキキャリパー固定ボルト

これは結構固く閉まっているので、写真7のように、鉄パイプを使って梃子の原理で緩めなければならない。


写真7 ブレーキキャリパー固定ボルトを緩めているところ

また、左側のブレーキには、ブレーキパッドセンサーが付いているので、そのコネクタも外しておく。

ストラットには、ブレーキライン、ABSセンサーハーネス、ブレーキパッドセンサー(左側のみ)等のホースやケーブル類が固定されるようになっているので、これを手で無理矢理外しておく。

なお、外したブレーキキャリパーは、そのまま地面に落としてしまうとブレーキラインが切れてしまうので、どこかに針金等で吊っておいた方が無難だろう。

次に、スタビライザーリンクの下側の17mmのナット(図2の青矢印)を外す。ただ、そのままレンチで回すとボルトとも回ってしまうため、ボルトが回らないように、平型のスパナで押さえておかなくてはならない。コイツも固く締まっているので、鉄パイプでレンチを延長しないと外れない。

そして、写真8に示すストラットの下側に付いている19mmの3本のボルト(図2の緑矢印)を外す。コイツも固いので鉄パイプのお世話になる。


写真8 ストラットの下側に付いている3本のボルト

ここまでできれば、後は写真9のようにして、エンジンルーム内にあるストラットの上部の3本のボルトを外す。これは13mmである。


写真9 ストラット上部のボルト

これで、ロアアームを足で踏んづければ、ストラットが外れてくれるはずである。外れにくいときは、ストラットの下側にマイナスドライバーを入れてこじればいい。


ストラットが外れた後の作業は以下の通りである。

  1. スプリングコンプレッサーでスプリングを縮める。
  2. ストラット上部に付いているキャップ(図1の1)を取る。
  3. その下に付いているナット(図1の2)をインパクトレンチで外す。これで、スプリング(図1の8)が外れるようになる。
  4. ショックアブソーバーを固定しているカラー(図1の7)を外す。
  5. ショックアブソーバー(図1の9)を新品に交換する。
  6. ショックアブソーバーを固定しているカラー(図1の7)を取り付ける。
  7. スプリングコンプレッサーを緩めて外す。
  8. ディスクグラインダーでスプリングの下側を一巻き切る。
  9. スプリングパッドにうまく合うように、切断したスプリングを少し削る。
  10. スプリングの削った部分にさび止めを塗る。
  11. 新品のバンプストップ(図1の11)を切断して短くする。
  12. 新品の保護チューブ(図1の12)とバンプストップをショックアブソーバーの上部の軸に入れる。
  13. スプリングコンプレッサーを使って、スプリングを縮める。
  14. 新品のスプリングパッド(図1の6)と新品のアッパーマウント(図1の4)を使い、元通りに組み上げる。この際、上部のナット(図1の2)はインパクトレンチを使って締める。
  15. スプリングコンプレッサーを緩めて外す。

以下では、これらの作業について説明する。

まずは、スプリングコンプレッサーを使ってスプリングを縮める。今回は2本のスプリングコンプレッサーを使ったが、この際に左右がきっちりと対角になっていて均等に縮めていかなくてはいけない。

次に、ストラット上部のキャップをマイナスドライバー等で外し、その下のナット(図1の2)が見える状態にする。そして、このナットをインパクトレンチで外す。今回は12Vの電動インパクトレンチを使って外した。普通に緩めようとすると、ショックアブソーバーの軸まで一緒に回ってしまうため、インパクトレンチは必須である。また、ナットのサイズは22mmであり、少し特殊なものなので注意が必要だ。

ナットを外せば、写真10のようにスプリングまで外れるはずである。


写真10 スプリングを外したところ

そして、ウォーターパイププライヤーのお化けのようなツールを使って、ショックアブソーバーを固定しているカラー(図1の7)を外す。これでストラットからショックアブソーバーが外れるはずである。ストラットの中にはオイルが入っているので、ストラットを横倒ししてはいけない。

今回は、モンローのリスレックス(センサトラックの後継)というショックアブソーバーに交換した。写真11に古いショックアブローバーと新しいショックアブソーバーを示す。


写真11 新旧のショックアブソーバー

上側が古いショックアブソーバーなのだが、左車輪側のものは完全に抜けていて、軸を押しても全く戻ってこなかった。

新しいショックアブソーバーをストラットに入れたら、再びカラー(図1の7)を付けておく。

そして、いよいよバネカットである。まずは、スプリングコンプレッサーを緩めて外す。左右で均等に緩めていかなくてはいけない。

スプリングコンプレッサーが外れたら、写真12のようにディスクグラインダーでスプリングの下側を一巻きカットする。


写真12 ディスクグラインダーでスプリングを切断

ディスクグラインダーを使うと、ものの1分もかからずにスプリングを切断することができる。なお、ディスクグラインダーを使うときには必ず保護眼鏡をかけなければいけない。目に鉄粉が入ると洒落にならない。

写真13は切断したスプリングである。


写真13 切断したスプリング

図1をよく見てもらうとわかるのだが、スプリングは端の部分がスプリングパッドにうまくフィットするように水平になっている。この部分を切断するということは、切断したところが水平にならずに、スプリングパッドにうまくフィットしないようになる。そのため、少しでもフィットするように、写真14のように切断したスプリングの端をディスクグラインダーで削っておく。


写真14 削ったスプリングの端

切断した部分や削った部分は、鉄の肌が見えているので、錆びないように錆止めペイントを塗っておく。

次に、写真15のように新品のバンプストップ(図1の11)の上部をカッターで切断して、少し短くしておく。


写真15 バンプストップの切断

これに新品の保護チューブ(図1の12)を付けて、写真16のようにショックアブソーバーの軸に組み付ける。なお、保護チューブはほとんど劣化していなかったので、新品に交換する必要はなかった。


写真16 新品の保護チューブと新品のバンプストップを組み付けたところ

そして、写真17のようにスプリングコンプレッサーを使ってスプリングを縮める。


写真17 スプリングコンプレッサーでスプリングを縮める

このとき、スプリングコンプレッサーの頭側(レンチで締める方)を下側にしておかなくてはいけない。これは、後でスプリングコンプレッサーを緩めるときに、スプリングが回ってスプリングパッドにうまくフィットしないのを防ぐためである。

後は、新品のスプリングパッド(図1の6)と新品のアッパーマウント(図1の4)を使い、元通りに組み上げる。なお、新しいアッパーマウントと古いアッパーマウントの比較を写真18に示す。


写真18 新しいアッパーマウント(左)と古いアッパーマウント(右)

古いアッパーマウントが潰れているのがわかってもらえるだろうか。

そして、最後に、上部のナット(図1の2)はインパクトレンチを使って締め、スプリングコンプレッサーを緩めて外せば、ストラットは完成である。

後は、このストラットを車両に組み付ければ完成である。車両に組み付ける際には、くれぐれも締め忘れのないように、元通りに組み付けなければならない。

今回、スプリングを一巻き切断したのだが、これによる車高の変化はほとんどなかった。前述のように、スプリングの端は半巻き分が水平になっており、実質的には半巻き分しか車高を下げる効果がない。さらに、アッパーマウントを新品に交換したため、潰れていない分だけ車高が上がる結果となった。総合すると、1cmほどの車高ダウンとなった。ショック交換前後の車高の比較を写真19に示す。

写真19 ショック交換前 交換後

購入したパーツのほとんどは、ドイツのSPEEDから輸入したものであるが、片側のアッパーマウントとしてOEM部品を購入した(もう片方は、ファルコンさんから純正部品を譲ってもらった)。しかし、これは上側の穴が純正部品より少し小さくて、22mmのソケットレンチが入らなかった。そのため、片側のアッパーマウントは交換していない。いつか、機会があれば交換しよう(そのときは、もう少しバネを切ろう)。


ショック交換費用

購入物品 パーツナンバー 個数 価格 備考
前輪アッパーマウント 31 33 1 139 452 2 9,635 1つはファルコンさんより譲ってもらった。
もう一つはOEM製品(F7560)
アッパースプリングパッド 31 33 1 128 523 2 795  
バンプストップ 31 33 1 124 449 2 1,649 ダンパー
保護チューブ 31 32 1 125 878 2 2,587 ベローズ
ロアスプリングパッド 31 33 1 124 322 2 736  
上記送料 German Mail Standard 1 8,412 他に購入した物品もあり。
保険代を含む
モンロー・リフレックス E3803 2 16,550 消費税、送料込み
合計     40,364  


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