2002年3月18日(月)

イカリングへの道 − 試作第1号 その1

以前から、岩野さんがE34にイカリングを装着されたということを聞いていて、「どうやって装着するの?」と不思議に思っていた。もしかして、現行5シリーズのヘッドライトをE34に移植されたのだろうか、などと思っていた。岩野さんならやりかねないし(失礼!)、その技術も持っておられるであろう。

ある日、岩野さんがこのWebサイトの掲示板に書き込まれていたので、ついでにイカリングについて質問してみた。すると、丁寧なご回答があった。どうやら、電界発光チューブをいう光るチューブ(Electro-luminescent Wire以下、ELチューブと呼ぶ)をレンズ内側の外周に沿って入れられているようだ。これは、100〜200Vの交流を印可すると光るらしい。岩野さんは、12Vから交流電源に変換するインバータまで自作されているようだ。う〜〜ん、相変わらずすごい人だ。

ご存じのように、私は電気周りのおもちゃが大好きである。ここは一つ、私もイカリングを作ってみなければならない(論理展開不明?)。

なお、最初に断っておくが、私はE34にイカリングを取り付けても格好いいとは思っていない。いわゆる「一発芸」的なギャグのつもりである。それに、電気周り大好き人間としては、チャレンジしてみるに値するものではないだろうか? 「そこにイカリングがあるから装着するのだ」というところか?

くだらない前置きはさておき、イカリングを取り付けるにあたって、以下の2点を目標とした。

この目標の元に、イカリングを試作してみる。本ページのタイトルが「イカリングへの道 − 試作第1号 その1」になっているのは、イカリングを取り付けるために、これから待ち受ける数々の困難を乗り越えていく様を連載で報告することを意味している(超大げさモード)。

今回は、イカリング装着の下準備として、ELチューブ関連の電気周りについて報告する。


(1)材料

材料としては、まずELチューブが必要である。私はφ3.2mmの白色のものを手に入れた。これを写真1に示す。これの詳細な仕様は、発売元のELAMのHPで見ることができる。


写真1 ELチューブ

そしてこれを駆動するためのインバータが必要である。岩野さんのように自作してもよかったのだが、ELチューブ用のDC12VからAC100Vへ変換するインバータが売られているので、「比較的簡単に取り付けられること」という目標を実現するため、これを購入した(ちょっと言い訳)。写真2に購入したインバータを示す。


写真2 インバータ

そして、ELチューブとインバータを接続するコネクタも購入した。これは別に無くてもいいのだが、後でELチューブだけ取り替えたり、インバータだけ取り替えたりできるように、コネクタを使用することにした。購入したコネクタを写真3、写真4に示す。

   
写真3 コネクタ(オス) 写真4 コネクタ(メス、二分岐)

また、配線の接続の際に用いる透明の熱収縮チューブ(φ2mmとφ5mmのもの)も用意した。これを写真5に示す。


写真5 熱収縮チューブ


(2)回路

回路というほどのことはないのだが、一応説明しておく。図1のように、左右のヘッドライト用としてそれぞれにインバータを設け、それぞれのインバータでロービーム用ELチューブとハイビーム用ELチューブの二つを駆動する。


図1 イカリング試作第1号の回路図


(3)配線の接続

図1の回路図を実現するため、配線を接続する。ELチューブは、端の被覆をうまく剥くと写真6のように中心に入っている1本の電線(赤矢印)と、その周囲から出ている2本の髪の毛より細い線(緑矢印)がある。


写真6 ELチューブの電極線

この2つが電極になり、ここにAC100Vを印可すると光るわけである。まずは、これに2本の電線を半田付けする(写真7)。


写真7 電線を半田付けしたところ

この2本が接触してはいけないので、それぞれを熱収縮チューブでカバーする(写真8)。


写真8 それぞれの電極線を熱収縮チューブでカバーしたところ

そして、これら全体をさらに太めの熱収縮チューブでカバーする(写真9)。


写真9 全体を熱収縮チューブでカバーしたところ

このELチューブがヘッドライトレンズの内側にちょうど一周する長さに切断し、その切断面を熱収縮チューブで保護する(写真10)。なお、熱収縮チューブの端は熱いうちにラジオペンチでつぶしておく。


写真10 ELチューブの端点処理

そして、ELチューブに接続した2本の電線は、購入したオスコネクタに接続しておく。

一方、インバータ側は写真11のように、二分岐のメスコネクタに接続する。


写真11 二分岐のコネクタに接続したインバータ

以上のようにして、インバータ2個とELチューブ4本に電線やコネクタを接続する。接続したところを写真12に示す。


写真12 インバータ2個とELチューブ4本

ここで、試しにインバータに+12Vを接続して点灯させてみる(写真13)。


写真13 試しに点灯させたところ

なんか暗い。なんか青白い。試作第1号だし、まぁいいか・・・。とりあえず、次のステップへ。


(4)レンズへの取り付け準備

さて、これをどうやってロービームやハイビームのレンズに入れるかが問題である。まずは、手持ちのロービームのリフレクタを外し、レンズ内に無理矢理押し込んでみた。これを写真14に示す。


写真14 手持ちのレンズに入れてみたところ

やっぱりなんか青白い・・・。イカリングってこんなんだっけ? 深く考えないことにしよう・・・。

ロービーム側はリフレクタさえ外せばなんとかなりそうである。配線もスモールランプが付いている穴を通せばいい。しかしハイビーム側はそうはいかない。ロービームのようにリフレクタの部分が外せない構造になっているからである。配線はH1バルブが付いているところの隅を通せばなんとかなるであろう。しかし、H1バルブのところからELチューブを入れてもうまくレンズの外周に沿って入ってくれるとは思えない。

岩野さんに聞いてみると、レンズの横から穴をあけて、針金で補強したELチューブを入れられたそうである。「なるほど!」である。しかし、レンズの横に穴をあけると、目標のうちの「後で簡単に元に戻せること」が実現できなくなってしまう。さりとて、針金で補強したELチューブをH1バルブの穴から入れても、レンズの中でうまく外周に沿って入ってくれるとは思えない。レンズの中に入れるときに針金が変な風に曲がってしまうからである。

う〜〜ん。

○△□×◇♪☆◎〒(←考えているところ)
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そうだ! 形状記憶合金を使おう! これならレンズに入れるときに曲がっても温度を上げてやれば元に戻る。

そんなわけで、どこの家庭にもある普通の形状記憶合金を用意した。これは、φ0.8mmのNi-Ti系形状記憶合金の未記憶線である(写真15)。


写真15 Ni-Ti系形状記憶合金の未記憶線

用意したものは、Niの含有量が56%で、変態温度が25〜40℃程度のものである。形状記憶合金は、低温でのマルテンサイト相と高温でのオーステナイト相があり、マルテンサイト相では柔らかいのだが、マルテンサイト相では固く超弾性を示す。平たく言えば、25℃以下でいくら曲げても温度を上げると記憶した元の形状に戻るわけである。形状を記憶させるには、無理矢理ある形にして炉の中に入れ、数百℃で何分か維持すればいい。

まずは、普通の針金で形状を記憶させるための枠を作る。この枠はレンズの内径より少し大きめの円形の形状とする。そして、この枠に形状記憶合金の未記憶線を通す。これを写真16に示す。


写真16 針金の枠に形状記憶合金を固定したところ

わかりにくいので一部を拡大すると、写真17のようになっている。枠のところどころで針金をループさせて形状記憶合金線を通せるようにしてある。


写真17 針金の枠に形状記憶合金を固定したところ(一部を拡大)

これを形状記憶合金専用の炉に入れて20分ばかり加熱する。この様子を写真18に示す。


写真18 形状記憶合金専用の炉で加熱しているところ

写真18の炉は、形状記憶合金の形状記憶専用に開発されたものだが、私は毎朝パンを焼くのにも使用している。たまにピザも焼いている。非常に便利な炉である。

この炉で20分ほど加熱したら、炉から取り出して水を入れた金属製のボールにジュッと入れて急冷する(写真19)。


写真19 加熱後、水に入れて急冷しているところ

十分に冷えたところで形状記憶合金を取り出すと、写真20のように形状が記憶されている。さすが形状記憶合金専用炉である。


写真20 形状を記憶した形状記憶合金

この形状記憶合金とELチューブを透明の熱収縮チューブで束ねて固定する。写真21のように、ELチューブも形状記憶合金と同じ形になる。


写真21 形状記憶合金とELチューブを透明の熱収縮チューブで束ねたところ

これをハイビームのH1バルブの穴から入れて、加熱すればうまくレンズの内周に沿ってELチューブが固定されるはずである。我ながらナイスアイデアである(?)。

 

なお、次回は「イカリングへの道 − 試作第1号 その2」と題して、車両への取り付けについて報告する。


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